ライフスタイル企画

2023.08.10

旅企画「目的旅のススメ」

渡って、上って、走って、圧巻のパノラマを目に焼き付ける!
ダイナミックな「橋」をめぐる旅

人間の知恵と技術、そして情熱によって造られた建造物の中でも、橋ほどロマンを駆り立てられるものはない。時代によっては近代化を役目を担ったり、人や物の流通に大きな変化を起こしたり、映画や小説では物語の重要なシーンに登場することもある。でもきっと、私たちが橋に惹かれてしまうのは、“普段は見られない景色を見せてくれる存在”だからだ。ただ遠目から眺めるのではない、橋ならではの絶景を見に出かけよう!

【橋を渡る】
全長400m! 富士山をバックに撮影もできる、
日本一長い歩行者専用吊り橋『三島スカイウォーク』

“富士山と駿河湾を一望するこの場所を、もっと多くの人に見てほしい。それが生まれ育った町への恩返しになる”

地元の一民間企業が描いた夢が、10年越しに形になったのが静岡県三島市にある『三島スカイウォーク』だ。

とはいえ、“日本一の山、富士山を日本最長の大吊り橋から眺める”という壮大な事業計画は、前例がないのはもちろん、スケールが大きすぎて当初は誰もが半信半疑。

だが粘り強く、行政や地元住民にその存在意義を説明して回った結果、三島市が大吊り橋事業のバックアップを表明。

構想から10年の時を経て、2015年に日本最長の吊り橋として完成した。

四方を緑豊かな山々に囲まれた大吊り橋の全長は400m。歩道幅は1.6mと広く、車椅子同士がすれ違うことができる。また、透過性の高いメッシュ構造の高欄を採用し、橋の上から望む富士山、駿河湾をできるだけ遮らないように工夫されているなど、細かい配慮が至るところに。

秋には美しい紅葉が眼下に広がり、極彩色のカーペットの上を歩いているような感覚を味わえる。何枚でもシャッターを切りたくなるはずだ。

他にも富士山をバックに写真を撮るなら、南側にある展望エリアのフォトスポットへ。晴れた日であれば、澄み切った空のブルーと富士山のコントラストが美しい1枚が収められる。
また、夕暮れ時には、グラデーションを描く空を背景に、沈んでいく太陽と吊り橋というドラマティックなシーンが見られることも。

朝から1日遊びたい、という人は橋を渡った先へ。フォレストアドベンチャーやセグウェイガイドツアー、バギー、ドッグランなど、家族そろって遊べるアクティビティが充実。

なかでも市街地の街並みを見下ろしながら、大吊り橋に向かって一気に滑り降りる往復560mのロングジップスライドは、スリル満点! ラインは3本あり、友人や家族と同時に滑ることも可能だ。

大自然の中に身を置けば、抱えている悩みなどちっぽけだと思えるはず。心身ともに疲れたら、リフレッシュに出かけよう。

『三島スカイウォーク』

施設写真

〒411-0012 静岡県三島市笹原新田313
☎ 055・972・0084
営業時間:9時〜17時
年中無休
入園料:大人1,100円、中高生500円、小学生200円(幼児無料)

【橋を上る】
約1kmを空中散歩!
いつもと違う角度で眺められる『明石海峡大橋ブリッジワールド』

徳島県産の朝採れ野菜が関西のスーパーに午前中には並ぶ。今となっては当たり前の光景だが、それを可能にしたのは1998年に供用を開始した『明石海峡大橋』だ。

神戸市垂水区と淡路島を結ぶ全長3,911mの吊り橋は、世界最大級の規模を誇り、主塔の高さは海面上約300mと東京タワーとほぼ同じ高さ(!)。

写真提供/本州四国連絡高速道路(株)

潮流が激しく水深が深い明石海峡を横断する橋を架けるのは、想像を絶する難工事。完成までに約10年、建設費は約5,000億円をかけた一大プロジェクトだった。

そんな当時の話を聞きながら、通常では立ち入ることのできない管理用通路を通り、主塔に上ることのできるツアーが『明石海峡大橋ブリッジワールド』だ。

写真提供/本州四国連絡高速道路(株)

橋の建設に携わったツアーリーダーが世界最大級の橋の建設について、その技術や歴史などを、分かりやすく楽しくガイドしてくれることもあり、1年を通して大人気。

ツアーの内容はというと、まずは管理用通路に向かって高さ約40m、ビル10階相当(!)の階段を上るところからスタート。

写真提供/本州四国連絡高速道路(株)

幅広い管理用通路に出たら、海面上約50mの場所を主塔に向かってひたすら歩く。日頃の運動不足を悔やみながらも、すぐ下が海、というロケーションはハラハラドキドキ。

そして、海面上約300mの塔頂、98階(!)までエレベーターに乗ること約2分。

写真提供/本州四国連絡高速道路(株)

普段何気なく見ている橋の、それも一番上にいるなんて、にわかには信じがたいけれど、そのビューを見れば一目瞭然。

天気のいい日はあべのハルカスや関西空港、小豆島までも一望。360度広がるパノラマは、これまで見たどの絶景よりも爽快感たっぷり。

一生忘れることのない思い出として、目と心に刻みつけよう。

『明石海峡大橋ブリッジワールド』

施設写真

集合場所:明石海峡大橋 淡路島側アンカレイジ
参加費用:大人5,000円(土日祝6,000円)、中学生2,500円(土日祝3,000円)
実施日:HPの申し込みページで要確認
開催時間:午前の部は9時半受付開始、ツアー9時45分〜11時45分。午後の部は13時05分受付開始、ツアー13時20分〜15時20分。
※2023年は、集合場所を淡路島側に変更。また、淡路島側の主塔をご案内するコースに変更して実施。

【橋を走る】
コバルトブルーの海の上を渡る爽快感!
ドライブするなら『角島大橋』

誰もが車の窓を全開にして、空の青、道路の白線と島の緑が織りなす大パノラマの一部になりたいと願う。

そんな“日本一の絶景スポット”と言われるのが『角島大橋』。

非日常感たっぷりの美しい景色は、CMや映画のロケ地に使われるだけでなく、SNSを通じて海外にも広く知られている。

下関から『角島大橋』に向かうまでのおすすめのドライブコースは、まず腹ごしらえから。

フグやタイ、ハマチが揚がる港の市場として有名な『唐戸市場』に立ち寄り、新鮮な魚介類を使った定食を食べるもよし。
週末であれば、立ち並ぶ屋台から、寿司やどんぶり、揚げ物をテイクアウト。市場の屋上にある芝生に座って、関門海峡を眺めながら食べるのもいい。

お腹がいっぱいになったところで、いよいよ出発。車で約1時間10分ほど走れば、目的地の『角島大橋』が見えてくるはずだ。

左右に広がるコバルトブルーの海を切り拓くように架けられた橋を走ること10分。

渡った先にある角島は人口約700人の小さな島。取り囲む海の美しさに惹かれ、夏ともなると海水浴やキャンプを楽しむ人で賑わい、活気に満ちる。

橋を渡ったら、立ち寄りたいのが島の西端にある『角島灯台』。明治9年にイギリス人技師のR・H・ブラントンによって設計された歴史ある石造りの灯台の高さは約30m。

全国に16しかないのぼれる灯台と聞けば、のぼりたくなるのは必至だ。

人がやっとすれ違える幅の螺旋階段を105段。息を切らしながらのぼると、そこには灯台の踊り場があり、橋から見る景色とはまた異なる爽快感たっぷりのパノラマが広がっている。

他にも角島には、島の自然環境を紹介する『つのしま自然館』、海水浴場に面したレトロな趣の『礼拝堂ロケセット』、北端の岬に位置する『牧崎風の公園』など、見どころたくさん。

日本海をオレンジに染めながら沈んでいく太陽と共に帰路につけば、昼とは全く異なる『角島大橋』の姿にも感動するはずだ。

『角島大橋』

〒759-5331 山口県下関市豊北町神田~角島
通行料:無料

構成・文/一寸木 芳枝