本年8月1日、気象庁が始めた緊急地震速報をピンポイントで配信希望者に提供する新サービス、MJ@lertを三菱スペース・ソフトウエアが開始しました。それはどんな仕組みで、何を伝えてくれるのでしょうか?本年8月1日、気象庁が始めた緊急地震速報をピンポイントで配信希望者に提供する新サービス、MJ@lertを三菱スペース・ソフトウエアが開始しました。それはどんな仕組みで、何を伝えてくれるのでしょうか?
地震の後で震度を教えてもらっても、私たちにはあまり役立ちません。けれど、揺れが来る少し前に警報が来たらどうでしょう? 火を消したり、倒れやすい物のそばから離れる。コンピューターを使用中なら、データを保存することも可能でしょう。
「こうした可能性を探る試みが気象庁の緊急地震速報です。緊急地震速報を混乱なく利用・活用できる事業者などに対して、8月1日より先行的に提供されています」と現状を解説してくれたのはつくば事業部、第四技術部・第一グループの川越政良(かわごし・まさよし)さん。
利用者側に設置される「緊急箱」内訳はコンパクトな本体に警告灯とスピーカー
では、どうやって地震をあらかじめ察知できるのでしょうか。少し専門的になりますが、一般的に地震波は、速く伝わり揺れの小さな初期微動=P波と、遅い代わりに大きく揺れる主要動=S波から構成されます。
気象庁はこのP波を感知する地震計を全国に設置し、揺れた途端震源、マグニチュード、主要地域の震度、S波到達予測時刻などを速報します。「気象庁が発表するこれらのデータのうち震源とマグニチュード、さらにMJ@lert端末(緊急箱)を設置する地点の地形などの状態から評価された揺れの増幅率より計算した警報を、1秒でも早くお届けするのが当社のMJ@lert(エムジェイ・アラート)なんです」
つくば事業部第四技術部・第一グループ
グループマネージャー
川越政良さん

MJ@lertに申し込み、気象庁の事前確認が完了すると、緊急箱一式(右ページの写真)が届きます。緊急箱は音声と警告灯の点滅でS波到達までの残り時間を告げますが、音声を館内放送にも接続できるので、右ページの図のように多彩な職場で有効に活用できるはず。また、「導入される会社によって異なるニーズにきめ細かく対応するため、ホームページのユーザー画面から、震度に対する発報条件が設定できるようになっています」と使い勝手のよさを披露するのはつくば事業部、営業部・第一グループの宮崎慎一郎(みやざき・しんいちろう)さん。
日本全国約200カ所の観測点には地震計が設置されていて、ここで地震の揺れのうち速く伝わるP波を感知すると、そのデータはたちどころに気象庁に送られる。気象庁は観測点からのデータをもとに緊急地震速報を配信する
「同じくユーザー画面から、トレーニングモードの設定もできます。いざという時、適切に行動できるよう、これは日頃からぜひ、ご活用いただきたい機能ですね。緊急箱と当社は回線で結ばれ、常に状態をチェックしています。万一マシントラブルが生じても、こちらから利用者に即座に通知できるから安心ですよ」
気になるのは料金だが、緊急箱の装置一式が20万円、地震情報配信サービス料(通信回線料含む)が月額3万5000円(ともに税別)といたってリーズナブル! 多種多様な職場でも導入可能な金額です。「将来的にはさまざまな防災情報を盛り込んだ総合防災システムに発展できればと思っています」と川越さんの夢はさらに広がるのでした。
つくば事業部営業部・
第一グループ
グループマネージャー
宮崎慎一郎さん
P波を感知した気象庁は約3〜4秒で震源、地震の規模、各地でのS波到達予想時刻・予想震度を配信。これを受けたMJ@lertは0.1秒以内で利用者の所在地ごとに異なるピンポイントの詳細な予測を解析・再配信するP波を感知した気象庁は約3〜4秒で震源、地震の規模、各地でのS波到達予想時刻・予想震度を配信。これを受けたMJ@lertは0.1秒以内で利用者の所在地ごとに異なるピンポイントの詳細な予測を解析・再配信する 2005年8月16日、宮城県沖を震源とするマグニチュード7.2の地震では、気象庁の緊急地震速報は本格的な揺れの到達前に、地域によってはこれだけの時間を生み出すことに成功しています。※時間は小数点1位以下を切り捨て


●プロフィール
一押し太郎(いちおし・たろう)1981年3月3日生まれ。うお座。『マンスリーみつびし』新米記者。
大揺れ直前10秒前の警報でも、このMJ@lertが普及すれば、きっと多数の人命を救えることでしょう。それだけではありません。産業の現場でも製品や設備の被害を減らすことにつながるはず。それを鋭く見抜いた各企業の安全管理者、防災担当者からいま問い合わせが続々と寄せられているそうです。そんな中には、揺れそのものが品質を左右するような、デリケートな製品を取り扱う企業の、品質管理者からの問い合わせもあるとか。このサービスはこれから、予想を超えた普及を見せそうですね。
地震国、日本ならではの需要を掘り起こし、製品化したMJ@lertですが、スピーカーから流れる警報は実は同社男性社員(写真のふたりではなく!)の音声だとか