災害に見舞われると、電話やネットがつながらないことがある。でも、そんな時でも通信可能なサービスを始めたという。どんなシステムなのか。早速、伺ってきました。
キッカケは、1995年の阪神・淡路大震災にあった。通信網が寸断された反省から、やはり災害時には、衛星通信を確保しておく必要があると、多くの電力、ガスなどのインフラ企業が衛星通信を導入したそうです。ただ、それらの通信設備が老朽化したため、設備を替える時期が迫っていました。そこで、Esbirdの登場です。
「実は3年ほど前から、新しい衛星通信として、どういうものなら使いやすいか。各社集まっていただき、会議を重ねていたのです」
と説明してくれたのは、植木順(うえき・じゅん)さん。それまでは、衛星通信を導入する企業側が、大型パラボラアンテナを備えたセンター基地局を自前で設置。また、VSATと呼ばれる小型のアンテナを備えた通信局も各メーカーから購入し、通信回線だけを衛星通信事業者から借りていた。
「それだと、初期投資が大変。つまりコスト高だったため、映像通信の利用もそれほど進んでいなかったのです。そこで、誰か代表してセンター基地局を持ってもらえないかという話になり、ならば私どもが引き受けましょうと」
センター基地局だけではありません。アンテナを備えた通信局も宇宙通信がメーカーに一括発注し、お客さまに貸し出すことで初期投資を軽減。さらに、通信規格はIP(インターネットプロトコル)を活用。これだ
事業カンパニー 
営業本部長
植木 順さん
Esbirdのセンター基地局
宇宙通信が茨城県に設置しているネットワーク制御局。24時間体制で運用・監視を実施。自然災害時でも万全の体制を維持できる
と、大容量の通信が可能で、災害時にも確実に通信可能。また、映像の伝送も低コスト。衛星は2000年に打ち上げられた『スーパーバードB2号機』を使用。
「このエスバードサービスを導入すれば、衛星通信のトータルコストを2〜3割削減することができます」
2006年4月からサービス開始。現在、関西電力や東北電力など5社、1放送局が導入しているそうです。
小型軽量化し、操作も簡単な可搬局
でも本社や支店などに設置された固定局VSATが、地震などに直撃されたらどうなるのだろう。
「それでも心配ありません」
と答えてくれたのは、瀬尾淳(せのお・すなお)さん。阪神・淡路大震災の際、150基ほどの固定局があったそうだが、そのうちソッポを向いたアンテナはひとつかふたつ。
「あらかじめ地震や強風に対して、アンテナが動かないように強度を持たせてあります」
それでも、想像を超えた災害に見舞われることもあるのでは。
「万一、固定局がダメージを受けても、移動可能なVSATである可搬局でバックアップすることが可能
事業カンパニー 
営業本部 官公営業部
マネジャー
瀬尾 淳さん
です。エスバードのため、複数の国内メーカーさんが工夫を凝らしてくれました。ひとりで背負える可搬局VSATも登場しています。しかも、今までの可搬局に比べると格段に使いやすく、ひとりでも簡単に操作できます」
ひとりでも、中継局になれるとは、スゴイ。サービス開始1年強で、すでに全国で120局が稼働中だとか。東海、東南海地震などの危険性も言われています。サービスを導入するなら急いだ方がいいみたい。


●プロフィール
一押し太郎(いちおし・たろう)1981年3月3日生まれ。うお座。『マンスリーみつびし』新米記者。
2005年4月号から「わが社の一押し」を担当。まだまだ未熟でドジな面もあるが好奇心とヤル気だけは旺盛。ただ今、恋人募集中。
現在、赤道上空を4機の『スーパーバード』が回っているそうです。今回は、そのうちの1機『スーパーバードB2号機』を使ってのサービス。話のタネにと思って、1機打ち上げるのにどれぐらいの費用が必要なのかを聞いてみました。みなさん、いくらだと思います。
一般的に、300億〜400億円ですって。さすが宇宙。
それから、今回の取材にあたり、総務人事部の田村奈々(たむら・なな)さんには、大変お世話になりました。いつか、宇宙でランデブーできる日が来るといいですね。
東京都品川区にある宇宙通信のオフィスの前で。向かって右から、植木さん、田村さん、瀬尾さん。後ろにあるのが『スーパーバードB2号機』の模型