ヒートアイランド現象は、アスファルト舗装面上の高温化が一因と指摘されています。その高温化を抑制するシステムを、三菱マテリアルと東京鋪装工業(株)が共同開発。路面の温度を平均15度ほど下げる舗装とは?早速、話をうかがってきました。
正式名称「アースクールブロック舗装システム」。どのようなシステムなのか。セメント事業カンパニーの川畑耕一(かわばた・こういち)さんが、丁寧に説明してくれました。
「昔から気温が高くなり路面が熱くなると、打ち水をして涼しさを呼び込みましたね。このシステムは、その打ち水効果を機能として取り入れたものと考えてください。わざわざ水をまかなくても、2週間は打ち水効果が持続するのです」
要は雨が降った際に、この舗装システムを採用していると、雨水をため込み、日が照ってくると、その雨水が蒸発することで路面の温度が下がるのだとか。
三菱マテリアル
セメント事業カンパニー
生産管理部 上席技術主幹 
川畑耕一さん
システム導入の具体的な方法は、保水性の路盤を敷き、導水シートを張り、その上にブロックを敷くための砂を入れること。
「ただ日本の夏は、10日以上日照りが続くことはザラ。そこで路盤にも保水性のある材料を入れて、厚さ6cmのブロックを敷くだけで打ち水効果が持続できないか。そこから生まれたのは、昨年10月に新発売した、アースクール舗装システム。歩道に敷き詰めれば、車道と一体になってヒートアイランド現象を抑制することができます」
雨が降った際、ブロックだけでなく、その下の保水性路盤にまで水を蓄えさせる。晴れて路面の温度が上昇すると、まずブロックに蓄えられた水が蒸発。さらに路盤の水が導水シートに導かれ上昇し、蒸発
都市部では気温約30度で、アスファルト舗装面は60度以上になる。「アースクールブロック舗装システム」なら2週間以上効果持続
1平方メートル当たり、約56リットル蓄える
宇部三菱セメント研究所
コンクリートグループ 
主任研究員
黒岩義仁さん
東京鋪装工業(株)
技術研究所 
所長
佐々木昌実さん
でも、車道にしろ歩道にしろコンクリートの塊のようなブロックに、どのようにして保水性を持たせるのだろう。答えてくれたのは、宇部三菱セメント研究所の黒岩義仁(くろいわ・よしひと)さん。
「どんなに固いように見えても、実は無数の空隙があるのです。表面に多数の空隙を持つ保水性のある材料を入れることで、ブロック全体の保水性を高めることができる。このアースブロックを1m2敷き詰めると、約15リットルの水をためることが可能になりました」
現在の技術では、この15リットルが限界と話すのは、東京鋪装工業の佐々木昌実(ささき・まさみ)さん。
「夏場で路面の水の蒸発量は、1日当たり3〜4リットル。ブロックだけだと4日ほどしか持ちません。ただ
し、ブロックの下に水を保持する路盤を敷くなど、システム全部を取り入れれば、1m2当たり約56リットルの水をためることができます」
過去5年の東京都心部のデータによると、夏場の晴れた日は、平均14日ほど続く。「アースクールブロック舗装システム」があれば、その間、保水性を持続させることが可能。
「舗装ブロックとしての物理的な性質、つまり強度とか磨り減らないといった基本的な条件を維持しつつ、保水性という機能を追加しなくてはならない。そこが一番苦労した点ですね」(前出・川畑さん)
この舗装システムに並々ならぬ自信と意欲を示すのが、佐々木さんだ。
「大都市の中心部の温度上昇を抑える有効なシステムであり東京、名古屋、大阪などの市街地は、ぜひこのシステムで舗装したいですね」
うだるような夏場を前に、皆さん大いに期待していますよ。
車道用の保水性舗装(ホソーエース)が採用された国会議事堂周辺
 


●プロフィール
一押し太郎(いちおし・たろう)1981年3月3日生まれ。うお座。『マンスリーみつびし』新米記者。
2005年4月号から「わが社の一押し」を担当。まだまだ未熟でドジな面もあるが好奇心とヤル気だけは旺盛。ただ今、恋人募集中。
ボクの頭の方が、よほど固いんだな。コンクリートブロックに水をためることができるなんて想像すらできなかった。でも実際、手に取ってよく見ると、無数の空隙がある。そこに目を付け、保水性の機能を付け、かつ持続させるなんて、エライ。頭の固いボクに、皆さん本当に根気よく説明していただき、ありがとうございました。また、取材の労を取っていただいた広報・IR室の平井蘭子(ひらい・らんこ)さん、お世話になりました。今回で「一押しくん」は卒業です。三菱各社の皆さん、ありがとうございました。
後列、右から川畑さん、黒岩さん。前列、右から生産管理部の松村和宜(まつむら・かずよし)さん、佐々木さん、平井さん。三菱マテリアル本社受付にて