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わが社の一押しシリーズ
vol.23 東洋製作所 自然冷媒CO2/NH3二元冷凍システム


フロンではなく炭酸ガスを使用する、地球と人にやさしい冷凍システム。


photo ずいぶん前から、「特定フロンを使わない〜」というフレーズをよく見聞きします。
そこで登場したのが、フロンの代わりに、自然界にあるものを使った冷凍方法です。

今回のテーマ、名前を見るだけでなんだか難しそうです。不安を抱えながら、東京・品川にある東洋製作所の本社へ向かいました。私の心中を察してか、取材に対応してくださった方々は、まず、東洋製作所がどんな事業を行っているのかをお話しくださいました。
1952(昭和27)年に設立された同社には、3つの事業部があります。ひとつ目が、冷凍、冷蔵などを産業用に提供している事業部で、冷凍食品などを作る装置、クリーンルーム、環境試験装置、アイススケートリンクなど、さまざまな装置の設計・施工を行っています。ふたつ目は、ビルの空調機器の製造・販売。そして3つ目が、それら設備のアフターサービスを担う部署。つまり、“冷やす”ことのエキスパート! 私たちは、生活のさまざまな場面で、その技術に触れていたんですね。
左上から時計回りに、合田さん、赤間さん、園さん,木村さん。この冷凍システムの開発に携わったプラント事業本部の方たち。


炭酸ガスを冷媒に

さて、今回の一押しプロジェクトを行っているのは、先にご紹介したひとつ目の事業部、プラント事業本部の方たちです。
「自然冷媒CO2/NH3二元冷凍システム」という設備ですが、いったいそれは?
「新たに開発した大型の冷凍設備です。従来、冷凍システムには、冷媒としてフロンが使われていましたが、その代わりにCO2とNH3を使用するのが、このシステムです」と、プラント事業本部・園敏文(その・としふみ)さん。
フロンは大気中に放出されると、オゾン層を破壊するため、以前から使用には規制がかけられてきました。地球環境を守るため、それに代わる冷媒として着目したのが、CO2、つまり炭酸ガスでした。
「このシステムは、CO2をメインに、補助的にNH3、つまりアンモニアを使用し、冷凍するものです。炭酸ガスもアンモニアも、自然界にあるものですね。人工物ではなく、自然にあるものを冷媒として使用すれば、大気中に放出されても安全です」とは、同・木村忠吾(きむら・ちゅうご)さん。確かに、それならオゾン層破壊の心配もありません。とはいえ、自然界にある物質は数え切れないほどあるのに、なぜCO2に白羽の矢が立ったのでしょう。
「CO2は、口に入っても無害です。これは、食品の冷凍に使うシステムですから、安全性を第一に考えなければなりませんでした。地球にも人にも安全である、そういうものを世の中に出していかなければという姿勢で、冷媒探しをし、CO2にたどり着いたわけです」というのは、同・合田好雄(ごうだ・よしお)さん。


省エネ、コスト削減も

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冷凍食品を作る機械を見せていただきました。この冷凍室を流れ、食品は冷凍されます。
では、地球に優しいこと以外に、何か利点はあるのですか?
「まず、効率がいいことが挙げられます。カスケードシステムという、CO2を段階的に冷やしていくシステムなので、一気に冷やす従来のものよりも効率よく冷やすことができます。また、設備費や消費電力を従来より抑えられるよう工夫し、省エネ、コスト削減も実現することができました」(園さん)
CO2とNH3を冷媒にした大型の冷凍設備としては、日本初。他社に先駆けての完成を実現させた秘訣はなんだったのでしょう。
「冷凍機には、潤滑油が必要です。この潤滑油がCO2と一緒に配管に流れるのですが、この油を配管から冷凍機に戻さなくてはなりません。この回収するシステムは非常に難しい作業でした。さらにこの潤滑油に何を使用すればよいのか、CO2と相性のいい油を探し当てるか、CO2と相性のいい油を探し当てるのにも苦労しました」と同・赤間正伸(あかま・まさのぶ)さん。
潤滑油探しが最も難しい作業であったとのこと。それをじっくり探し当てた努力が、一歩先を行く結果をもたらしたのでしょう。


未来の冷媒をリード

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HCFCと2つの新冷媒は、フロンの種類。HCFCは、96年に規制が開始され、2020年には全廃の予定。HCFCは、オゾン破壊係数及び温暖化係数が高め。新冷媒は、オゾン層を破壊しないものの温暖化に影響を与える。これに対し、NH3とCO2は、これらの心配がない、安全性の高い冷媒だということが、この数値からわかる。
さて、このシステム、開発されて間もないのですが、早速、コーヒーで有名なネスレのコーヒープラントに採用され、現在、設備を建設中です。インスタントコーヒーには、濃縮したコーヒー液を冷凍させてから乾燥させて作る〈フリーズドライ〉という製法がありますが、この製造過程で、このシステムが活躍するというわけです。
「マイナス50℃でコーヒー液を冷凍し、乾燥・粉砕してインスタントコーヒーを作るコーヒープラントです。この製法だと香りが損なわれることがないんですね。マイナス50℃という超低温まで下げることができる技術も、この冷凍システムの特徴です。人の口に入るものを作っている食品業界では、安全性の高い設備の導入が進んでいます。われわれも、もっと食品業界で採用していただけるよう、アプローチしていきたいと考えています」(合田さん)
今後、フロンへの規制はますます厳しくなっていきます。2020年には、現在一番使われているフロン冷媒(R22等)は全廃になる予定です。
「これから、自然冷媒がフロンに取って代わる時代になると予想しています。産業用の冷媒だけでなく、冷蔵庫やエアコンなど家庭電化製品の冷媒も、そうなっていくと思っています」(園さん)
その動きをリードしていくのが、この冷凍システムであり、東洋製作所のたゆまぬ努力が、環境を美しくしていく℃という超低温まで下げのですね。


まりんの取材日誌

photo 東洋製作所の本社には、マイナス60 ℃にまで温度設定のできる冷凍室や、食品を冷凍加工する装置などがあります。実際に拝見し、そのダイナミックさと緻密さに感心しました。冷凍食品を開発する方がここへやってきて、実際にシステムを使って新商品を試作する、というようなことも行われているそうです。東洋製作所では、スキー場の人工雪や、自動車の耐久性実験用にあらゆる環境を作り出せる装置、本文でご紹介したような、半導体工場のクリーンルームなど、さまざまなものを製作しています。きっとみなさんも、知らないところでその技術の恩恵を受けているはずですよ。