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わが社の一押しシリーズ
vol.36 東洋製作所 CO2/NH3自然循環冷却システム


自然冷媒を使い、無風冷却で 乾燥を防止する新技術

今回の訪問先は、東洋製作所です。ここで開発された冷却システムが、「愛知万博」で話題を集めるマンモスの冷却保存設備に採用されたと聞きました。いったい、どんな冷却システムなんでしょうか。

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「マンモスにわずかな変化も生じさせず、ロシアに送り返すのが、私たちの責務」と吉井さん

「輻射熱による無風冷却システムは、特許申請中の新技術なんですよ」と語る薮下さん


「愛知万博」にマンモスがやって来ました。化石でも復元でもなく、ナマですよナマ! シベリアの永久凍土から発掘され、国外に持ち出されるのは初めてとのこと。そのマンモスが万博に来る噂を耳にした時点で、プラント事業本部乳業・食品プラントユニット長の吉井一(よしい・はじめ)さんは、自社の冷却システムが保存・展示にはうってつけと確信していたと言います。

「まず、もともと自然界に存在するアンモニア(NH3)と二酸化炭素(CO2)を冷媒として使用した自然循環システムであること。フロンと違ってオゾン層を破壊することもなければ、地球温暖化の要因にもなりません。これぞ、環境を大きなテーマとする愛知万博にふさわしい冷却システムではないですか。さらに冷風を送らない無風冷却であること。冷風をマンモスに当てて、乾燥させるわけにはいきませんからね」

具体的には、どのような冷やし方をするのですか?教えてくださったのが、技術部・技術課長の薮下敏正(やぶした・としまさ)さん。

「まずNH3を冷凍機で冷やし、その冷やしたNH3でCO2を冷やすのです」

そんな玉突きみたいなことをしないで、最初から最後までNH3で冷やせばいいと思うけど…。

「NH3は冷媒としての特性は優れているが、毒性があり可燃性の高い物質。そのような物質を大量に循環させるわけにはいきません。ですからNH3はCO2を冷やすためだけに、できるだけ少量化を図っています」

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長久手会場のグローバル・ハウスに展示されている冷却設備。右側に牙と頭部、左側に足の一部。室内は常時マイナス15℃以下に保たれている。天井並びに壁面は、凹凸をつけた鋼板製のパネルを採用し、輻射による冷却効果のアップを図っている。また、正面のガラスは3層になっていて、層間に特殊なガスを入れ、結露を防いでいる



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左の写真が、自然冷媒コンデンシングユニット。右のイラストでは左上のピンクにあたる。カスケードコンデンサー内でNH3によって冷却液化されたCO2は天井内設置空気冷却器に供給され、天井内の空気を冷却し、輻射パネルによりマンモス展示室を冷却する イラスト提供:東洋製作所

自然冷媒使用が今後の大きな流れ

技術的に一番苦労したのが、CO2の圧力制御だったらしい。「フロンと違い、CO2は配管の中でかなりの高圧になります。このCO2の圧力を下げること。さらに、その圧力を正確に制御する技術がクリアになった時点で、新システムの誕生が見えてきたわけです」

もうひとつ、ポンプを使わず自然に循環して、かつ冷風を送らないで冷やすとは、どういうこと? 技術部・技術課の北浦利治(きたうら・としはる)さんが答えてくれました。

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「採用の決め手となったのは、自然冷媒使用と無風冷却の技術だと思います」と北浦さん

「産業用の冷却装置が、自然冷媒化へと進むことは間違いないでしょう」と山本さん

「マンモスの展示室は輻射(ふくしゃ)パネルで覆われています。そのパネルの内側をCO2により冷却された空気が流れ、冷気が輻射パネルを通じて、降下熱移動し展示室内を冷却します。これを輻射冷却と呼びます。空気を冷却して温まったCO2は気体となり、上昇して屋上機械室設置NH3冷凍機で冷却され液体となり、重力により再びCO2冷却器に送られます。すなわちCO2の潜熱(せんねつ)利用ができるため、冷凍機なしで冷凍サイクルが成立。だから自然循環と言うわけです」

この自然循環冷却システムは、もちろんマンモスのためだけに開発されたものではないようです。その用途について、中部支店プラント営業グループ長の山本弘(やまもと・ひろし)さんは、自信を持って言います。

「CO2を使った大型の冷却システムは、当社しか製造できないものです。適用範囲はプラス5℃〜マイナス52℃と幅広く、どのような産業用冷凍倉庫、冷凍食品の保存にも活用できます。脱フロン、地球温暖化防止の世界的な流れを加速させる画期的な冷却システムなんですよ」
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(問)東洋製作所・東京本社
電話番号 03-3474-2111
http://www.h.toyo-ew.co.jp



一押しくんの取材日記
プロフィール 一押し太郎(いちおし・たろう)
1981年3月3日生まれ。うお座。『マンスリーみつびし』新米記者。 2005年4月号から「わが社の一押し」を担当。まだまだ未熟でドジな面もあるが好奇心とヤル気だけは旺盛。ただ今、恋人募集中


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東洋製作所(東京都品川区)の工場内で記念撮影。右端に上原さん、その隣が佐藤さん。この日のために薮下さんと北浦さんは大阪から、山本さんは名古屋から上京してくださいました。どうもありがとうございました
マンモスだけじゃない。 注目に値する最新の 冷却システム登場

「マンモス、マンモス」と勝手に盛り上がっていたボク。取材の窓口になっていただいた総務部の佐藤信介(さとう・しんすけ)さん、上原理佳子(うえはら・りかこ)さん、ご迷惑をおかけしました。マンモスの写真を撮りたい、撮りたいとせっついてしまって…。皆さんの話を聞いて、この冷却システムが、マンモスの展示・保存にとってどれほど画期的なものなのかよく分かりました。「体毛ひとつ乾燥させませんよ」と満面の笑みで話された吉井さん。マンモスを大事に見守るお父さんのようでした。
生のマンモスは、ぜひとも見てみたい。でも、その時はマンモスだけではなくCO2/NH3自然循環冷却システムもじっくり見てきます。