今月、ドイツで行われる世界最大のサッカーの祭典。その開幕試合が行われるスタジアムがミュンヘンにある〈アリアンツ・アリーナ〉だ。まるで宇宙船を思わせる膜構造建築物には、超高機能フッ素フィルムが用いられている。
今月サッカーの世界的祭典の開幕試合が行われるアリアンツ・アリーナ。未来的な外観が建築物として高い評価を受けている
今回は旭硝子におじゃましました。まず写真を見せてもらって、美しさに感動。へー、フッ素樹脂フィルムって青いんですね。
「いえ、元は白い半透明のフィルムなんですよ。当てた光の色がフィルム全体に拡散し、このように見えるのです。赤い光を当てれば赤く見えます」と教えてくれたのはクロロポリマース事業 グループリーダーの宮崎淳(みやざき・じゅん)さん。一見、すりガラス風に見えるけど、実は透明のフィルムでは光線の95%も通す、優れた光線透過性を持っているとか。
「ですから、普通の外壁で覆うより太陽光線が芝生に届きやすいのです。一方で、もともと透明なフィルムに半透明の白色を着色する開発に成功したことにより、光の演出に無限の可能性を付与しました」と、機能フィルム加工グループ 主幹の有賀広志(あるが・ひろし)さん。
化学品カンパニー
事業統括本部
フッ素化学品事業部
クロロポリマース事業
グループリーダー
宮崎 淳さん
化学品カンパニー
事業統括本部開発部
機能フィルム加工
グループ主幹
有賀広志さん
驚くほど丈夫! 切れにくい燃えにくいフィルムなのです
千葉工場
ファインケミカル部
樹脂加工課 課長補佐
高橋直也さん
化学品カンパニー
事業統括本部
機能フィルムグループリーダー
堀部善久さん
でも、やっぱり気になるのが、ホントにフィルムで平気なの? 破れないの? ってことです。
「そこが、いわゆる普通のフィルムとフッ素樹脂フィルムの違いなんです。切れにくく、穴が空きにくく、マイナス100℃から200℃までの幅広い温度領域で使用できる耐熱性も備えています。アリアンツ・アリーナに施工した例では、2枚のフィルムを重ね、その間に空気を詰めています。それにより、風や積雪などにも耐えられる強度を保っています」と千葉工場ファインケミカル部樹脂加工課 課長補佐の高橋直也(たかはし・なおや)さん。試しに見せてもらった現物の<フルオン®ETFEフィルム>を引っ張ったり、裂こうとしてみたのですが…ホントだ! 信じられないほど丈夫です!
最後に機能フィルムグループリーダーの堀部善久(ほりべ・よしひさ)さんから一言。
「夏には世界中の人たちに、当社のフッ素樹脂フィルムが醸し出す夢の空間を楽しんでいただけると思うとワクワクします」
上 アリアンツ・アリーナを上空から見ると、芝生に十分な日光が注がれていることが分かる。日光が入る部分は透明、光をカットしたい部分は半透明白色のコンビネーションだ
左下 非粘着性にすぐれ、200℃の高温にも耐えることから、プリント基板や電子部品などの離型フィルムにも多数用いられている
右下 フッ素樹脂フィルムは光線透過性、長期耐候性などに加え、UVカット、流滴処理などを施すことで、グリーンハウスなどの施工にも用いられている
一押しくんの取材日記
プロフィール 一押し太郎(いちおし・たろう)
1981年3月3日生まれ。うお座。『マンスリーみつびし』新米記者。 2005年4月号から「わが社の一押し」を担当。まだまだ未熟でドジな面もあるが好奇心とヤル気だけは旺盛。ただ今、恋人募集中
化学品カンパニー事業統括本部 機能フィルムグループのみなさんがそろってハイ・チーズ! お忙しい中、取材にご協力いただき、ありがとうございました!
日本でもフィルムを用いた 建物ができる日も近い?
いやあ驚きでした! ペラペラのフィルムで屋根や外壁が造れるなんて! 今回紹介したスタジアムはヨーロッパにあるんですが、実は日本で、こうした大規模膜状建築物を造るのは、法制上、まだまだ難しいのだとか。でも、この夏にテレビでアリアンツ・アリーナが紹介されれば、日本でも少しは防災面などの規制が緩やかになって、実現する日が来るかもしれませんね! そうすればフッ素樹脂フィルムがもっともっと身近になることでしょう。例によって初歩的な質問に丁寧に答えていただき、ありがとうございました。