港の見える丘公園、外国人墓地、洋館や教会、それにフェリス女学院や横浜雙葉学園などがあるのが山手。最も横浜らしいエリアかもしれない。
坂を下れば、そこは元町。昭和30年代までは英語で用が足りる世界だった。高度経済成長期、「ハマトラ」がファッション誌でもてはやされたころから変貌し、今日ではちょっと大人っぽい街になっている。楽しそうなカップルや家族連れとともに、犬を連れた人が多い。しゃれた衣装を着たさまざまな犬が、お互いすれ違うときにあいさつを交わしている。ところどころにお犬様の水飲み場がある。外国人も行き交う元町通りは、自由でアットホームである。
最近のこと、喜久家のティールームで米国人の子が、ケーキ「モカ」を口にして「ママ、おばあちゃんのケーキと同じだ」と叫んだという。先代が戦後間もないころ山手の米国人の家庭で覚えたケーキだ。明治21年創業の「ウチキパン」はもっと古い。家伝の食パンはホップを使った発酵種で長い時間をかけて作る。そもそもは英国の家庭で作るもので、初代の打木彦太郎がパートナーの英国人職人から教わったもの。山手の各国領事館関係者御用達だった。
紳士服のポピー、食器のタカラダ、毛皮の山岡、バッグのキタムラ、家具の松下信平商店、と19世紀から続く店が健在なのも元町らしい。古い店、新しい店が織り交ざって今日の元町がある。婦人服の「ラヴニュウ」は固定客の多い落ち着いた店だが、ご主人の林さんがいう。
「元町は米国の中流の良き家庭をイメージした街といえるんじゃないでしょうか。うちもやたらに最先端をいくファッションは置きません。あくまでもスタンダードです」
米国の中流の良き家庭?そういえば、夜が早い元町通りである。
横浜はキリンビール発祥の地。鶴見区にある工場は、ビアビレッジといっているが公園の中の工場といった感じ。見学したあとレストラン「ビアポート」で地中海マリネやビール漬けピクルスをとって乾杯すれば、盛り上がること間違いない。
桜木町の駅から動く歩道で結ばれた「みなとみらい」地区は三菱重工横浜造船所跡地。ここには、ランドマークタワーに代表される巨大ショッピングセンターやホテル、国際会議場などがある。三菱地所も開発に参加した。
ドック跡は大道芸などのイベント広場になっている。科学少年必見の「みなとみらい技術館」は三菱重工ビルにある。ちなみに横浜造船所はというと、本牧と金沢の両工場に移って横浜製作所と名を変えた。環境装置やエンジン、修繕船などを取り扱っている。
港・横浜、海岸通り。コリント様式の円柱が16本立ち並ぶのが郵船ビル。「日本郵船歴史博物館」が浅間丸など豪華客船の模型や本物の羅針盤をそろえて船大好き人間を虜(とりこ)にする。館長代理の野崎さんは元「飛鳥」の船長さん。思い出話が楽しい。
横浜港の大さん橋ふ頭から望むみなとみらい21中央区
澄んだ空に青い海がまばゆい
元町商店街には、ペット連れの人がいっぱい。
街角にはペットが水を飲めるPET BARも
[アクセス]
東京−横浜はJR東海道本線または横須賀線で約30分。地下鉄みなとみらい線で横浜駅からみなとみらい駅まで約3分、元町・中華街駅まで約8分

ビアポート
キリンの横浜ビアビレッジ内にあるレストラン。
横浜で生まれたキリンビールは今年2月、100周年を迎えた。ここ横浜工場でおいしいビールを。
鶴見区生麦1-17-1
TEL:045・506・3013
日本郵船歴史博物館
日本郵船とカレーの意外な関係、豪華客船の食事とは、昔の客船の運賃はいくら?
船をめぐる歴史のなぞ解きを楽しむのもいい
TEL:045・211・1923
 


関連三菱史
1875 三菱蒸汽船会社、横浜・上海航路開設。
横浜に三菱製鉄所開設。
1885 日本郵船発足。
1888 ジャパン・ブルワリー、キリンビール発売。
1893 横浜船渠設立。
1896 日本郵船、欧州/北米/豪州
各航路開設。
1907 麒麟麦酒株式会社発足。
1983 三菱重工、横浜造船所本牧・金沢移転、
横浜製作所に。
三菱地所みなとみらい21着工。
1993 ランドマークタワー完成。


成田×雄太
取材旅行 道中記
●プロフィール
成田誠一(なりた・せいいち)(財)三菱経済研究所常務理事。専門は三菱史。これまで本誌に『岩崎彌太郎物語』『岩崎彌之助物語』などを連載。朝比奈雄太(あさひな・ゆうた)。フットワーク抜群のフリーランスカメラマン

三菱ゆかりの地であふれる横浜の街

成田
雄太
成田
雄太
成田
雄太

ほんと、横浜は三菱ゆかりの地が多い。
上海航路も、横浜からなんですよね。
そう、横浜の波止場で岩崎彌太郎は感無量だったろうね。
郵船歴史博物館には九十九商会の天水桶がありますね。
なんと言っても、三菱の海運を引き継いだのは郵船だからね。
歴史と伝統ですね。

文・ 三菱史料館 成 田 誠 一
  これまでの連載をホームページでご覧いただけます。
http://www.mitsubishi.com/j/history/series/『岩崎彌太郎物語』『岩崎彌之助物語』
『岩崎久彌物語』『岩崎小彌太物語』『ゆかりの人シリーズ』

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