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「マンスリーみつびし」創業150周年関連記事

特集
三菱創業150年
丸の内 今昔物語

三菱広報委員会「マンスリーみつびし」より 撮影/松尾成美、大内香織(人物) 写真提供/三菱地所

広大な野原だった丸の内をビジネス街に変貌させた三菱。
三菱グループの発展とともに、国内屈指のビジネス街へと進化。
その丸の内が歩んだ歴史を紹介する。

明治・大正・昭和の代表的建築物がそろい踏み

江戸時代には大名屋敷が立ち並んでいた丸の内周辺は、明治維新の混乱後、整地されていなかった。
1890(明治23)年、三菱社は明治政府から丸の内に加え神田三崎町で陸軍の練兵場だった土地の払い下げを受ける。丸の内ならびに神田三崎町の総坪数は10万坪余(33万㎡)だった。
「そうした雑草生い茂る広大な土地を買い受けて、丸の内を近代的なオフィス街に生まれ変わらせたのが、三菱第二代社長である岩崎彌之助です。丸の内を、日本のビジネス街の中心にするという長期的なビジョンを持っていました」
と話すのは、三菱地所の谷川拓さん。現在、大手町・丸の内・有楽町エリア活性化の施策に取り組んでいる。
94(明治27)年に丸の内最初のオフィスビルである「第一号館」が竣工。設計は英国人建築家のジョサイア・コンドル。その後、次々に「第二号館」「第三号館」…と建設が進められていく。

谷川 拓さん
たにかわ・たく●三菱地所 エリアマネジメント企画部 ユニットリーダー エリアマネジメント推進室 兼 プロジェクト開発部
丸の内の最初のオフィスビル「第一号館」。後に「東九号館」と名称を変更した

「英国式の赤煉瓦の建物がズラリと並んだことから、当時は『一丁倫敦(ロンドン)』と呼ばれるようになっていきます」
岩崎彌之助がもくろんだ通りのモダンなビジネス街が誕生した。
1914(大正3)年、東京駅が開業。この頃より米国式の鉄筋コンクリートビルが増え始める。
20(大正9)年には「日本工業倶楽部会館」が竣工し、コンクリートビルが林立。この頃には「一丁紐育(ニューヨーク)」と呼ばれるようになっている。
23(大正12)年には、鉄筋コンクリートビルの決定版といえる「丸ノ内ビルヂング」が完成する。「旧丸ビルは『一丁倫敦』時代のビルと異なり、ワンフロアを広くした米国式の機能的なオフィスを求める声に応じて生まれました。完成直後の関東大震災にも、旧丸ビルはその強固な構造のおかげで被害は限定的なものでした」

鉄筋コンクリートビルの「丸ノ内ビルヂング」。竣工当初は地上9階、地下1階だった

昭和期に入ると、34(昭和9)年には「明治生命館」が竣工。これで、「第一号館」「日本工業倶楽部会館」そして「明治生命館」と、明治・大正・昭和の代表的建築物がそろい踏みしたことになる。

建築法が改正され、高層ビルが続々、誕生

戦中・戦後は苦難の時代を迎えるが、丸の内は徐々に復興を遂げていく。大きなきっかけとなったのが、「建築基準法」の改正である。
「それまで、建物の高さは最高で31m(100尺)と定められていましたが、64(昭和39)年に開催される東京オリンピックを前に、高さから容積率へと規制が変わります。それまで、丸の内のビルは大半が31mにそろっていましたが、それ以上のいわゆる高層ビルの建築が認められるようになりました。その第1弾として、74(昭和49)年に『東京海上ビルディング本館』が竣工しています。続いて、80(昭和55)年には『三菱銀行本店』が竣工しています」
こうして丸の内は、ビルの“表情”だけではなく、高さに関しても進化を遂げていく。

丸の内エリア進化の歴史
1890
丸の内陸軍省用地ならびに神田三崎町練兵場土地の払い下げを受ける
1894
丸の内最初の事務所建築「第一号館」竣工
1914
東京駅開業
1915
「東京ステーションホテル」開業
1920
「日本工業倶楽部会館」竣工
1923
「丸ノ内ビルヂング」竣工
関東大震災
1929
町名地番の改正
銭瓶町・道三町→大手町
永楽町・八重洲町→丸ノ内
1934
「明治生命館」竣工
1952
「新丸ノ内ビルヂング」竣工
1970
住居表示の変更
丸ノ内→丸の内
1972
丸の内ストリートギャラリー開始
1974
「東京海上ビルディング本館」竣工

商業的なにぎわいを含め丸の内のまちづくりに貢献

住居表示の変更に伴い、1970(昭和45)年に丸ノ内が丸の内へと改名される。丸の内は本格的な復興期に入り、新しいビルが建設される一方、老朽化したビルも少なくなかった。

88(昭和63)年、三菱地所は「丸の内再開発計画」を発表する。「ただ、発表された計画が実に大胆なものだったこともあり、各方面から議論が巻き起こりました。これを受けて、地権者が集まって街の将来像を考えていこうと『大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会』が設立されました」(前出・谷川さん)

村野修二さん
むらの・しゅうじ●三菱地所 プロジェクト開発部 有楽町街づくり推進室 兼丸の内開発室 統括

同協議会には丸の内エリアの多くの地権者が参加。その後、官民一体でまちづくりを考えようと、千代田区と東京都、JR東日本と「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会」を発足。現在も懇談会が発行するガイドラインに沿って、まちづくりが進められている。
95(平成7)年に発表された「丸ノ内ビルヂング」の建て替えも、このガイドラインを踏まえている。「その当時の丸の内界隈は平日こそ人の往来があるものの、土日・祝日は人がいませんでした。もっと、商業的なにぎわいを含めて街を活性化できないかと。その一方で、オフィスの床面積は頭打ちで、企業の移転や増床ニーズに応じられていない上に、建物も老朽化。再構築に踏み切るタイミングと判断しました」と話すのは、三菱地所の村野修二さん。現在は丸の内や有楽町のまちづくりに従事している。
こうして、商業施設とオフィスなどを兼ね備えた「丸の内ビルディング」が、2002(平成14)年にオープン。商業施設だけでなく、イベントや展示会を開催できる場も整備した。

JR東京駅前に立つ「丸ビル」(写真・左)と「新丸ビル」(写真・右)。前者は37階建てで、高さは179m。後者は38階建てで、高さは198m。共に低層階に飲食店、物販店がある

また、丸の内再構築では、公共の道路の再生も視野に入れていた。例えば、丸の内仲通りでは歩道を拡幅して路面の石を張り替え、通り沿いの低層ビルの足元にはレストランやブランドの店舗を誘致し、食事や買い物が楽しめるようにした。丸の内仲通りでは、企業対抗の綱引きやイルミネーションなど、数々のイベントが開催される。

例年だと、11~2月に丸の内仲通りで開催される丸の内イルミネーション
丸の内エリア進化の歴史
1988
丸の内再開発スタート
「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」(現・大丸有協議会)設立
1996
「東京国際フォーラム」竣工
2002
「丸の内ビルディング」竣工
丸の内イルミネーション開始
2005
音楽のイベント『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン』開始
2007
「新丸の内ビルディング」「ザ・ペニンシュラ東京」竣工
2009
「丸の内パークビルディング」竣工
2010
「三菱一号館美術館」オープン
2012
「丸の内永楽ビルディング」竣工
東京駅復原開業
2015
「大手門タワー・ENEOSビル」竣工
2017
「大手町パークビルディング」竣工
東京駅丸の内駅前広場完成
2018
「丸の内二重橋ビルディング」竣工
2020
「丸の内テラス」オープン

「丸の内NEXT ステージ」で、丸の内のさらなる活性化を推進

次のステージに向け新たな取り組み

三菱地所は丸の内の再構築について、02(平成14)年の「丸の内ビル」の竣工から07(平成19)年の「ザ・ペニンシュラ東京」「新丸の内ビル」の竣工までを第一ステージと位置づける。第二ステージは09 (平成21)年の「丸の内パークビル」の竣工から18(平成30)年の「丸の内二重橋ビル」の竣工まで。その第二ステージの目玉は、煉瓦造りで復元された「三菱一号館美術館」。丸の内には文化や芸術の魅力も備わっているのだ。

2018年に竣工した「丸の内二重橋ビル」。地下4階、地上30階建てで、高さは約150m。三菱重工業、三菱マテリアルなどの本社が入居している

そして、「丸の内 NEXTステージ」と命名された新たなまちづくりが始動している。「このステージでは、人・企業が集まり交わることで新たな価値を生み出すまちづくりを目指しています。具体的には有楽町エリアと、JR東京駅に近い常盤橋エリアを重点的に整備。有楽町エリアでは“まちづくりのショーケース”化をテーマに、クリエーティブな人々を中心としたハードやソフト両面の整備が進んでいます。一方、常盤橋街区『TOKYO TORCH』では、常盤橋タワーが建設中。
2027年度には、日本一の高さとなる約390mのTorch Tower(トーチタワー)が竣工します」(村野さん)
すでに「丸の内 NEXT ステージ」の第1弾「丸の内1-3計画」が20(令和2)年9月に竣工。計画内には、来街者に豊かな時間やライフスタイルを提供する個性的な「丸の内テラス」があり、20年11月に開業予定。「丸の内初のルーフトップレストランやエンターテインメント施設、プライベートクラブなどが入居します。エリア内では希少な低層建物で外観もユニークなものとなっています」

左/2020年11月に開業予定の「丸の内テラス」
右/東京駅前常盤橋街区「TOKYO TORCH」(外観イメージ)。イメージ図右がTorch Tower(トーチタワー)で2027年度竣工予定、高さは約390mと国内最高。イメージ図左は常盤橋タワー(2021年6月竣工予定)
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