三菱財団とは

三菱財団は「自然科学研究助成」「人文科学研究助成」「社会福祉研究・事業助成」「文化財保存修復事業助成」の4つの分野の助成事業を実施している民間助成財団です。
1969年三菱創業100周年事業として設立され、1970年より助成事業を開始以来、個人・団体に累計約4,900件、209億円にのぼるさまざまな支援を行ってきました。
助成プログラムは、4分野をカバーし領域が広いこと、1件あたりの助成額が比較的大きいこと、民間財団ならではの採択に努めていること、助成金という評価に加え、プライス(賞)的な側面があるとの評判があることが特色です。
学会推薦などのない完全公募制で、研究費確保が年々厳しくなっている中、新しい発想も受け入れうる助成として多数の応募と大きな期待が寄せられています。

三菱財団のあゆみ

三菱財団設立まで

戦前の三菱グループの社会活動について

三菱グループは以下の通り、戦前から寄附をはじめ多様な社会貢献活動を活発に展開してきました。三菱財団のみならず、三菱グループの公益法人はこうした活動をルーツにして、現在に至っています。

三菱財団設立まで

戦前の寄附委員会の活動を示す資料(三菱史料館所蔵)

寄附委員会議事録表紙
寄附委員会議事録表紙
寄附委員会議事録 資料1
寄附委員会議事録 資料1
寄附委員会議事録 資料2
寄附委員会議事録 資料2

三菱グループ100周年と財団設立

1969年、三菱創業100年を記念して、三菱財団が設立されました。「三綱領」をはじめとするそれまでの三菱グループの理念を基に、また、当時の社会情勢を踏まえて、設立趣意書が作成されました。この趣意書は三菱グループの社会に対する姿勢を明確に記し、現在も財団の基本理念として運営のベースになっています。

設立趣意書

三菱事業の発生は、1870年(明治3年)10月に遡る。この時、創立者岩崎弥太郎が、彼の郷里土佐において海運業の経営に着手した。三菱企業は、近代日本の曙と共に生まれ、爾来日本経済と運命を共にして、幾多の苦難を経ながらも今日に至った。
即ち、今やわが国は、全世界を瞠目させる高度成長を遂げ、本格的国際化時代を迎えて、さらに大きく雄飛せんとしているが、三菱グループもまた、今日の姿を土台として、さらに国民経済の発展のために前進しようとしている。
しかしながら、周知のごとく、このような急速な経済発展の陰において、避け難いひずみとも見られる社会資本の不足があり、また国民生活の向上が、必ずしも国民福祉の向上と共存、均衡していないという問題がある。
更には、精神文化の退潮、自然科学特に基礎科学部門における頭脳流出現象、次代を託すべき青少年教育、発展にとり残された社会階層の存在等々今後克服さるべき問題は少なくない。
これらの不均衡の是正こそ国の政策と相まって、社会的責任ある代表的企業にとっての重大なる責務であり、関心事であるといわねばならない。
三菱グループは、創業以来公益に奉ずることを以て経営の基本理念として来た。たまたま明年秋、創業百周年の記念日を迎えるにあたり、伝統の精神を生かした最も有意義な事業を以ていささか社会に報い、一層の国民経済発展に資するため、関係各社相集い、財団法人三菱財団を設立せんとするものである。
当財団は、わが国社会の学術、教育、文化ならびに福祉の向上に資することを目的として、さしあたっては学術研究の助成、社会福祉に関する事業の助成を主たる事業とし、当初250百万円を以て発足するが、将来はさらに時代に適合した事業をも加え、今後10年間にわたり相当額の寄附を重ねて事業規模ならびに財団基礎を拡大強化せんとするものである。

第1回助成金贈呈式
第1回助成金贈呈式
第1回助成金贈呈式における財団役員・評議員・選考委員の皆様
第1回助成金贈呈式における財団役員・評議員・選考委員の皆様

設立後のあゆみ

財団設立以来、助成先数累計は約4,900件、助成金額累計は209億円にのぼります。
1990年以降20年間にわたり年間4億5千万円の水準を維持してきましたが、三菱グループ各社からの拠出金が運用原資として、2014年より5年間にさらに100億円増額され、2019年度、2020年度には50周年記念特別助成も実現することができました。

また、2020年度は三菱創業150周年にあたり、その記念事業として新たに5億円が拠出され、新型コロナウイルス感染症関連特別助成を実施しました。ここ数年は毎年5億円を超える水準で通常助成を行っています。

助成実績の推移

助成実績の推移

三菱財団の取り組み

1. 助成実績

自然科学・人文科学・社会福祉・文化財保存修復各分野の“2023年度助成実績”は以下の通りです。
2023年度も、通常助成では、全分野総数1,555件と多数の応募の中から、選考委員による厳正な書類審査・面接等を経て、139件・総額564百万円の助成を行いました。
また、社会福祉特別助成として、中央共同募金会との共同助成により、63件の応募の中から42件・40百万円(当財団拠出分)の助成を行いました。

2023年度助成実績

分野 応募件数 助成件数 助成金額(百万円)
自然科学研究助成 1,122 66 365
一般助成 771 51 305
若手助成 351 15 60
人文科学研究助成 254 29 69
社会福祉事業・研究助成 通常助成 155 33 100
特別助成 63 42 40
文化財保存修復事業助成 24 11 30
合計 1,618 181 604

2. 助成金贈呈式

2023年9月11日、丸の内の東京會舘で、助成金受領者と来賓、選考委員、財団役員合わせて約230名が出席し、2023年度助成金贈呈式が開催されました。
今回の贈呈式は、コロナ禍の影響による開催見合わせを挟み、2019年9月以来4年振りの開催となりました。

3. 研究成果報告会

2023年9月11日、丸の内の東京會館で、2023年度助成金贈呈式の開催に先立ち、助成金受領者と来賓、選考委員、財団役員合わせて約170名が出席し、2023年度研究成果報告会が開催されました。今回の研究成果報告会は、コロナ禍の影響による開催見合わせを挟み、2018年9月以来5年振りの開催となりました。
今回は、過去の助成先の中から、自然科学分野・文化財保存修復分野の2分野で成果報告をいただきました。

4. 研究・事業報告書

毎年8月、助成先からご提出いただく成果報告書をまとめ「研究・事業報告書」を発刊しています。

研究・事業報告書

5. 新型コロナ感染症関連特別助成

2020年に、三菱創業150周年記念事業の一環として、新型コロナウイルス感染症に関る社会的課題解決を通じた社会貢献を目的に、三菱グループ各社から当財団宛てに新たに拠出された寄附金をもとに、下記の2分野で新型コロナ感染症関連特別助成(総額5億円)を実施しました。
また、下記(2)社会福祉分野特別助成については、2021年・2022年・2023年にも第2回・第3回・第4回を実施しました。

(1)自然科学分野
「新型コロナ感染症関連学術研究助成」

新型コロナウイルス等感染症により惹起したわが国の様々な社会的課題に対する自然科学分野を中心とした幅広い分野に関る研究を対象として、「新型コロナウイルス等感染症に関する学術研究助成」を実施しました。

・応募:374件
・採択件数:20件
・助成金額:4億円

(1)自然科学分野 「新型コロナ感染症関連学術研究助成」

(2)社会福祉分野
「~新型コロナウイルス感染下において困窮する人々を支援する~
外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」

2020年に、新型コロナウイルス感染拡大下での生活困窮者支援等を目的に、社会福祉法人中央共同募金会と共同で助成を実施しました。様々な生活困窮者の中でも特に支援ニーズの強い、国内在住の「外国にルーツのある人々」を支援するNPO法人や社会福祉法人等を対象として、「~新型コロナウイルス感染下において困窮する人々を支援する~外国にルーツがある人々への支援活動応援助成(第1回)」を実施しました。また、2021年・2022年・2023年にも、第2回・第3回・第4回を実施しました。

2020年(第1回)
・応募:82件
・採択件数:55件
・助成金額:1億円

2021年(第2回)
・応募:56件
・採択件数:43件
・助成金額:40百万円(当財団拠出分)

2022年(第3回)
・応募:64件
・採択件数:45件
・助成金額:40百万円(当財団拠出分)

2023年(第4回)
・応募:63件
・採択件数:42件
・助成金額:40百万円(当財団拠出分)

(2)社会福祉分野 「~新型コロナウイルス感染下において困窮する人々を支援する~外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」