ライフスタイル企画

2023.11.09

健康企画 「ビジネスパーソンのためのヘルスケア」

飲み会シーズン到来!
太らない&ヘルシーな食べ方&飲み方

新型コロナウィルス感染症の分類がインフルエンザと同じ5類に移行した今年。ノーマスク姿も飲み会も復活。年末には多くの忘年会が開催されることでしょう。久しぶりの会に、弾けすぎないよう、飲み会で何をどう食べたらいいのか、メニューのオーダーから食べ方まで、管理栄養士の菊池 真由子さんに聞きました。
忘年会シーズン到来! 楽しく食べて健康になりましょう!

最初に言っておきたいのは、一つのメニューやカロリーにこだわらず、食事全体で栄養素のバランスを考えることです。

例えば、「鶏のから揚げ」。飲み会の定番メニューですね。
カロリーは高いけれど、鶏肉には筋肉の材料となるたんぱく質とビタミンB群が豊富です。ビタミンB群には糖質と脂肪を分解する力があります。プロポーションのよさをつくるには鶏肉は非常に理想的な食材です。
亜鉛やタウリン、たんぱく質など栄養素が豊富な「牡蠣フライ」もおすすめです。タルタルソースなどを控えめにすればカロリーが抑えられます。
揚げ物で注意したいのは、「ポテトフライ」です。これは糖質(じゃがいも)と脂肪(揚げ油)の組み合わせで、注意が必要です。同様に「オニオンリング」も思っている以上に玉ねぎの量が少ないので、野菜として考えず、スナック感覚で少量にとどめましょう。

飲み会の場での最強メニューは、ずばり「枝豆」です。食べすぎや飲みすぎは「枝豆でリセット」できます。枝豆は、大豆として熟す手前の軟らかい状態のものです。野菜でありながら、大豆と野菜の栄養素を兼ね備えたスーパー食材です。さらに食物繊維も豊富で、ビタミンB₂が脂肪を燃やし、ビタミンB₁が糖質を分解します。
飲み会ではぜひ注文していただきたいです。
同様に、「ごぼう」もおすすめです。ごぼうには水溶性食物繊維の一種のイヌリンが多く含まれるため、腸内環境の改善と、脂肪の分解、血糖値の上昇抑制効果も期待できます。
メニューに「ごぼうサラダ」とか「ごぼうフライ」があればぜひオーダーしましょう。

お店ごとのおすすめメニューは―。

焼き鳥屋では、「もも」がいいです。「つくね」は脂肪が多いので、食べすぎに注意が必要です。「皮」は脂肪の塊です。内臓系(「レバー」や「ハツ」)はOKです。好みにもよりますが、カロリーを抑えたいのであれば、タレより塩で食べたいところです。

お寿司屋では、「ぶり」「あじ」「中トロ」がおすすめです。DHAやEPAが豊富なマグロは積極的に摂りたいのですが、「大トロ」になるとちょっと脂肪が多めです。「中トロ」が理想的です。
「えび」「ほたて」「たこ」もよいと思います。気をつけたいのは「ツナマヨ」系。意外とマヨネーズが多く入っていて、マヨネーズは消化吸収が良い脂肪で、太りやすいからです。

寿司屋など、野菜がほとんど提供されないお店の場合は、メニューのなかから野菜を摂ることを諦め、食前に野菜ジュースを飲んで準備しましょう。200mlサイズのパック一つぐらいで十分です。食前に飲めなかったら食後でもOKです。フルーツジュースは果糖が多いので、野菜ジュースを選びましょう。

意外とおすすめ 韓国冷麺

焼肉店や韓国料理店では「タン」「ロース」「ナムル」「クッパ」「冷麺」「やみつきキャベツ」を強くおすすめします。
冷麺はそば粉が原料ですから、食物繊維が豊富でさらに糖質も少なくて、意外とカロリーが低め。また、噛み応えもあります。酢もしっかりかければさらにヘルシーですね。
定番「カルビ」は脂が多く、食べすぎには注意が必要ですが、お好きな方であればサンチュで巻いて食べたり、野菜が多めのサイドメニューを選んだり、ちょっとした工夫でカロリーは抑えられます。

食べたいものを我慢するのではなく、食べ方や食べる量を注意するだけで、うんと楽しい&ヘルシーな飲み会になると思います!
ありがちな「締めご飯」も避けましょう。「ビビンバ」などご飯ものを食べたいのであれば、途中で、お肉を食べながら摂ることをおすすめします。そうすることで満腹感を得られ、食べすぎを防げます。「キムチ」は一皿にとどめましょう。お食事やお酒が進んでしまうからです。

締めにご飯を食べたい場合は、おにぎりやチャーハンの代わりに「お茶漬け」「クッパ」などの軽めの料理を選びましょう。ただし、「締めのラーメンに行きそうだな」と感じた場合は、我慢して、できる限り締めのアイスクリームも避けましょう。深夜のアイスクリームは太る原因となります。せめてシャーベットを選びましょう。

飲みに行く前にチーズ一口

よく「飲み会の前に牛乳を飲むと胃に膜ができて悪酔いしない」と言う方がいますが、これは正しくありません。牛乳はそのまま膜を形成せず、胃を通過します。代わりに、消化に時間がかかるチーズの方が胃の停滞時間が長いため、空腹時に一口チーズを食べるだけでも効果があります。それができない場合は、飲み始めにピザを食べることも有効です。ただしピザをオーダーする際には注意が必要です。たとえば、「てりやきピザ」はマヨネーズをかけてあり、カロリーが高いことがあります。

駆けつけ一杯! といきたいところですが、できれば最初は、30分かけて中ジョッキ1杯飲みきるぐらいのペースがいいです。その際の最強のおつまみが「枝豆」や「スティック野菜」「ごぼうサラダ」です。わかめが入った「チョレギサラダ」もいいですね。おでんの「こんにゃく」もOKです。これらの食材は噛み応えがあるため、食べすぎを防ぐのに役立ちます。

それでも食べすぎてしまった、飲みすぎてしまった、という場合でも、悲観する必要はありません。その後の3日間は、「ちょっと物足りないな」ぐらいの食事量を腹8分目以下に抑えることで体を整え、トータルで1週間かけて調整すればよいからです。
せっかくの飲み会です。おいしく食べて、おいしく飲んで、会話も料理もお酒も楽しみましょう!

ハイボールは、低カロリーで低糖質

お酒の種類でいえば、最近人気のハイボールは、低カロリー・低糖質で意外とおすすめです。
アルコールを飲むなら、ハイボールにしましょう。
カクテルでいえば「カシスオレンジ」も、使用するオレンジジュースが100%であれば、悪くない飲み物です。オレンジジュースに含まれるビタミンCはストレス対策や、疲労回復にも有効です。お店のメニューに「オレンジジュース100%」があれば、おそらく、「カシスオレンジ」に含まれるオレンジジュースも100%と期待できるので、カクテル系で迷った場合は「カシスオレンジ」もよいと思います。

日本酒に力を入れている店なら安心!

やはり、飲み会はお酒も食事もメニューが豊富なお店を選びたいところです。
私の感覚では、日本酒に力を入れているお店は、おつまみ全体に低脂肪で高たんぱくな食材が多い傾向があると思います。例えば自家製の漬物があったり、筑前煮など野菜豊富なメニューがあったり。こういうお店は、看板を見れば分かります。
ヘルシーメニューで飲み会をしたい! というときはそういう観点でお店を選ぶのもよいでしょう。

冒頭でも述べましたが、一つの料理だけにこだわる必要はありません。豊富なバリエーションの料理をバランスよく楽しむことが大切です。これには費用がかさむかもしれませんが、それは健康投資ととらえましょう。そのためにも、忘年会は大勢だといいですね。

プロフィール

菊池 真由子さん(きくちまゆこ)

管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。大阪大学健康体育部(現保健センター)退職後、プロ野球団、国立循環器病センター集団検診部(現予防検診部)を経て厚生労働省認定健康増進施設などでの栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防・改善対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。

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