三菱の歴史

2023.10.26

漫画「千年くすのき」彌太郎編

第2話 土佐の彌太郎

千年くすのき プロフィール

原作:成田 誠一(なりた・せいいち)
『マンスリーみつびし』冊子時代に連載していた歴史エッセイ『千年くすのき』著者。本連載はこのコラムの漫画化。

漫画原作:星井 博文(ほしい・ひろぶみ)
漫画原作者、漫画家。『まんがでわかる 伝え方が9割』(ダイヤモンド社)など経済から歴史ものまで著書多数。「なんでもマンガにしちゃう男」

@hoshiihirofumi(X、旧twitter)


漫画作画:上川 敦志(かみかわ・あつし)
漫画家。小学館「少年サンデー」などで活躍。同社の学習まんがシリーズでも著書多数。『小学館版 学習まんが人物館 スティーブ・ジョブズ』(小学館)など。実は女性。


題字:藤田 紅子(ふじた・こうし)
書道家。毎日書道会審査会員、南不乗発会、現日会副会長、高知現日会長、安芸全国書展審査会員。安芸全国高校生書展審査員。

「若し志を得ずんば 再び帰りて此の山に登らじ」
彌太郎が立身出世を誓った、星神社へ行ってみた

岩崎彌太郎の故郷、高知県安芸市。彌太郎の生家の裏山といってもいい位置関係の、背後にそびえるのが、妙見山。標高448mの小高い山に、若かりし頃の彌太郎はよく登っていたそうです。今も生家近くに妙見山登山道があり、そこから徒歩で片道1時間ほどのところに、星神社があります。かなりの山道なので、車で行きたいかたは、安芸市営球場から約6Km(車で約25分程度)で向かうこともできます。駐車場からは歩いてすぐ。山道なので真冬や雨天、夕方から夜にかけてのドライブはおすすめしません。

鳥居と狛犬と石段、苔むす岩や高い木々に歴史が感じられます。石段を上り切った奥に、拝殿が見えます。石段はそんなに長くなく中央に手すりもありますが、急なので気をつけて上ってください。

基本的に無人でお参りは自由です。拝殿は普段閉じられています。この拝殿の扉に、彌太郎が志を書いたのは安政元年(1854年)。
「吾今回江都に遊学す 若し志を得ずんば 再び帰りて此の山に登らじ」
毎日のように登った妙見山に、志が叶わなかったら二度と登らない。たいへんな決意と覚悟をもって故郷を後にし、江戸へ向かった彌太郎。実際に書いた扉は焼失してしまったそうですが、生家の裏山の星神社に立身出世を誓った彌太郎の息吹が今も感じられるゆかりの場所だと思います。
彌太郎の決意を模して書かれていた扉は、現在拝殿内に残されています。

星神社の駐車場のあたりからは、安芸市が一望できます。海と山に囲まれたこの地で、生まれてから32歳までこの場所を基点として過ごした彌太郎。弓なりの湾のはるか先には室戸岬が見える日もあるとか。ちなみに写真では見えませんが、この山のほぼ真下に生家があります。岩崎彌太郎生家についてはまた別の回で詳しく解説します。 岩崎四代をわかりやすくコミック形式で綴る歴史連載『千年くすのき』、今後もどうぞお楽しみに!

撮影・文/マンスリーみつびし編集部

星神社

〒784-0051 高知県安芸市井ノ口甲2927番地