千年くすのき プロフィール
原作:成田 誠一(なりた・せいいち)
『マンスリーみつびし』冊子時代に連載していた歴史エッセイ『千年くすのき』著者。本連載はこのコラムの漫画化。
漫画原作:星井 博文(ほしい・ひろぶみ)
漫画原作者、漫画家。『まんがでわかる 伝え方が9割』(ダイヤモンド社)など経済から歴史ものまで著書多数。「なんでもマンガにしちゃう男」
漫画作画:上川 敦志(かみかわ・あつし)
漫画家。小学館「少年サンデー」などで活躍。同社の学習まんがシリーズでも著書多数。『小学館版 学習まんが人物館 スティーブ・ジョブズ』(小学館)など。実は女性。
題字:藤田 紅子(ふじた・こうし)
書道家。毎日書道会審査会員、南不乗発会、現日会副会長、高知現日会長、安芸全国書展審査会員。安芸全国高校生書展審査員。
サスティナブル、フェアネス、グローバル。
三綱領は令和の今も生きるビジネスの基本的精神だった
「所期奉公、処事光明、立業貿易」。三菱に今も伝わる社是、三綱領です。岩崎小彌太社長の訓示を、当時三菱商事会長の三宅川百太郎が要約し、のちに小彌太が順番を入れ替えたといわれています。
マンスリーみつびし編集部も、最初にこの三綱領を知って拝読したときは驚きました。21世紀、令和の御代でも通用する、いや今の時代にこそ求められるマインドの結晶だったのです。
所期奉公、これは目先の利益よりも国家や社会の公益を図るべし、という意味。今の言葉に言い換えるなら、サスティナブル、SDGsの精神ではありませんか。次の世代やこれからの日本、世界、ひいては地球のために何ができるか。何をすべきか。昭和9年の戦前にこのように進取の精神に富んだ訓示がなされていたとは。素晴らしい。
処事光明、今でいうと「フェアにやれ、フェアであれ」。「かの権謀を弄して地歩を求め、術策を用いて巨利を博するというような、もしくは品位の無いものと提携し、不正なものを幇助して万一の僥倖を夢見るようなことは断じて我が社のとるべき道ではない」・・・小彌太社長&三宅川会長、ついていきます!思わずそう言いたくなるような素晴らしい訓示ではありませんか。
立業貿易、事業の根幹は対外輸出入貿易であることの念押し。つまりグローバルであれ、と。
昭和6~7年ごろ、自由貿易が厳しくなってきており、貿易優先の営業方針から転換して国内取引拡大をも目指すこととなった。しかしいっぽうでは、多くの中小企業と利害が対立することにもなりかねない、そこで三宅川百太郎会長の名で通達が出されたものだといいます。国内の中小企業への配慮ともいえるものでもあり、臆せず世界に打って出ようと高らかに鼓舞する応援歌のようでもあります。
サスティナブル、フェアネス、グローバル。三菱グループのみならず、日本、いえ世界中のビジネスの根幹はこうあれかし。そう願わずにはいられません。三綱領のスピリットは、21世紀の今こそ噛みしめたい名訓示として生き続けています。
*写真は三菱広報委員会にある三綱領の額より。