三菱のスポーツ

2023.04.27

三菱電機

だからバスケは面白い!
「目と目で通じ合う」
三菱電機 コアラーズのチーム力

三菱のブランドを掲げ、スポーツにいそしむアスリートたちを紹介する本連載。初回は、名古屋を拠点に活躍する女子バスケットボールチーム「三菱電機コアラーズ」。オリンピアンも所属し、2018年にはWリーグで準優勝。来シーズンはチームワークを武器に、初の頂点を狙う。

全員集合写真

セネガル出身のハディ・ダフェをのぞくコアラーズメンバー集合写真。所属メンバーは計13人。うち12人が体育館から自転車で20分ほどの距離の寮で家族のように共に暮らす。

名古屋駅から車で20分。そこが「三菱電機コアラーズ(以下コアラーズ)」の練習拠点。三菱電機名古屋製作所内の体育館だ。「バンテリンドーム」(旧名ナゴヤドーム)にもほど近い。室内は冷暖房完備で、照明は明るい。トレーニングジムも併設。2面分のバスケットコートは開放的。滑りにくい床材使用で、練習環境としては申し分ない。壁にはチームスローガンである4つの言葉が掲げられている。


T―Trust(信頼)
E―Energy(活気)
A―Appreciation(感謝)
M―Mitsubishi Soul(三菱魂)


「コアラーズ」の魅力を知るために、2月上旬の平日、体育館を訪れた。10日ほど前に東京羽田ヴィッキーズに2連勝したばかり。Wリーグ8位以上を確定させ、プレーオフ進出が決定。リーグ戦のさなか、小栗弘ゼネラルマネジャーや古賀京子ヘッドコーチらが温かく見守る中、笑顔で撮影と取材が始まった。三菱電機のロゴと同じ赤いユニフォームを着用し笑顔を見せるメンバーたち。個別取材に対応したのは、キャプテン渡邉亜弥(愛称:レブ)と、東京2020オリンピックにも出場した西岡里紗(ハク)だ。

渡邉亜弥

渡邉亜弥。1992年8月12日生まれ。福岡県出身。所属12年。チームキャプテンであり絶対的エース。「地元の甘い醤油を送ってもらって手羽元の甘辛煮を作ったり、スキンケアをしたり、オフタイムも含めて毎日が充実しています」

ダントツのチームワーク力

――コアラーズの強みを聞かせてください。

渡邉(レブ):コアラーズはどのチームからも「チーム力が高い」といわれます。コートだけでなく、シックスマン(ベンチスタートのサブメンバーの中でも特にその活躍が期待されるメンバー)も交代メンバーも含めてみんなが一体になってプレーするというのが、チーム力につながっていると感じています。
その団結力はどこにも負けていないと思います。


西岡(ハク):プレースタイルもそうなんです。一人でチャンスをつくるとか、一人で守り切るというプレーより、選手全員のコンビネーションでオフェンスやディフェンスをすることがコアラーズの強みです。

——注目のコンビはありますか?

西岡(ハク):レブさん(渡邉キャプテン)はみんなの能力を生かすのが得意です。レブさんとオルさん(小菅由香)のコンビは誰もが認めるホットラインです。二人は9年も一緒にプレーしているので、目を見ただけで通じ合うんです。一瞬の隙にキャプテンがパーンとオルさんにパスを出す。そこにちゃんとオルさんが走っている。本当にすごいですよ。
私とレブさんのコンビも最強だと思っています(笑)。

——そういう動きはどうしたらできるようになるものでしょうか。

西岡(ハク):互いの動きの特徴を理解していくんです。もちろん息が合わないこともあります。でも回数を重ねていくことで、たとえば試合中は「絶対キャプテンはここにパス出してくるから私もここに走ろう」とか、「オルさんはこういうチャンスを狙ってくるからそこにパスを出そう」とか、そんなふうに頭の中で考えつつ、動けるようになります。何より選手同士でしっかりコミュニケーションをとる。選手一人一人特徴があるので、それをどうやって生かせるのかみんなで話し合う。それをくりかえしていくことで、微妙なところも含めて調整ができるようになります。試合が始まるとさらに精度が上がっていきます。


渡邉(レブ):アイコンタクト、間合いとか、タイミングもすごく重要です。ハクは特に顔やしぐさでわかりやすいので、「あ、今とるな」「今パス欲しいんだな」と分かったら、シュートにつながるタイミングで彼女にパスをするようにしています。「顔でバスケ」していますね。

——顔でバスケするんですね(笑)。

渡邉(レブ):顔でバスケです(笑)。ディフェンスの態勢が整う前に攻撃モードに入る戦術があるのですが、そういった速い展開の時にハクがポストアップ(ディフェンダーを背にポジションをとる)する時、ハクが「絶対とる!」というのが顔というか、姿でわかるんです。自分がディフェンスをおさえた上でハクが振り向いたその瞬間にパスをします。ハクとは8年間も一緒なのであうんの呼吸というか。ハクのような身長の高い選手を(にうまくパスをすれば)相手は止められないと思います。

——来ると信じて飛び込む。来てくれると信じてパスをする。そういうパス回しはサッカーに近いものがあるような気がします。視野も心も広く持ち、まるで目が後ろにもついているかのようなプレーは圧巻です。

西岡里紗

西岡里紗。1997年3月3日生まれ。奈良県出身。小学生時代にスカウトを受け、中学生から本格的にバスケットボールを始める。所属8年。186㎝の長身を生かしたブロックショットが強み。コートを離れれば「アニメがめっちゃ大好き」という。
※所属は2023年2月3日現在時点のものです

西岡(ハク):目が後ろについているのかな?    今度探してみようかな(笑)。

——そして、互いを理解して信頼し尊重する。これは仕事にもつながりますね。

西岡(ハク):そう思います。人の個性を生かして効率よくこなしていくというのは仕事でも同じことがいえると思います。全力で向きあって細かいところまで突き詰めるようにみんなでコミュニケーションをとる。スポーツも仕事も「チームワーク」が大切なのだと本当に思います。


渡邉(レブ):互いを尊重するって、とても大事なことだと思います。
コアラーズのチームワークの秘訣は、「とにかく人に合わせること」ができるところ。
大事なのは、自分がやるべきことをやった上で人に合わせる。それができなければコンビネーションは生まれません。自分のことだけを考えると、タイミングは合いません。それはバスケットボールだけの場に限らず、日頃の生活から気配りや目配りなどができていなければ、チームは成長できないと考えます。
三菱電機コアラーズは伝統があるチームです。歴代のOGの方々から引き継がれてきたこの「三菱魂」を中堅や若手選手に伝えていかなければ、と。そういう思いでやっています。何よりバスケットボールというものは、人として成長できるスポーツであり、私生活がすべて出る。協調、調和、信頼、そして感謝と活気。これらを大切に日々成長しているのが、私たちコアラーズの魅力であり強みだと思っています。

必見のボールシェア

——では、見どころや観戦ポイントを教えてください。

渡邉(レブ):コアラーズのパス回しを見てほしいです。今いろんなチームがある中で、多くのチームが一人の選手のボール保持時間が長いんです。しかし、コアラーズは違います。ボールを5人全員でシェアした上で、5人で得点につなげるというプレーで攻めています。これは前のコーチから引き継がれ、現ヘッドコーチ(古賀京子)が味付けされ、進化した戦術です。ゴールの瞬間だけでなく、そこに至るまでの絶妙なパス回しに注目してください。
先ほども触れましたが「タイミング」がすべてで、「このタイミングでプレーしたからここが空いた。得点できた」みたいな勝利ポイントがどの得点シーンにも必ずあって、そこを落とすことなく見るとバスケの楽しさが深まります。得点に繋がらなくても「ナイスプレー!」は沢山隠れています。それを見つけると、もっともっとバスケ観戦が楽しくなると思います。

——スポーツニュースなどではシュートの瞬間ばかりがフィーチャーされます。

渡邉(レブ):シュートの瞬間が印象的でしょうが、それはちょっと勿体ないですね。その前の動きが面白かったりするので。あとは私たちコアラーズのルーズボール(誰もが触れていないボール)への執着心みたいなものも見てほしいです。ボールに対する執着心から得点へのチャンスが生まれます。私たちは、相手選手と競り合って奪うボールだけでなく、ルーズボールなども諦めません。

——チャンスを見逃さないのですね。そんなチャンスメイクの方法は。

渡邉(レブ):一対一ではチャンスはなかなか生まれません。その前の動作で、ずれをつくります。相手をずらしてプレーをつくるのは、ボールがあってもなくてもできます。
一瞬の隙ですね。それこそアイコンタクトで一瞬の隙を相手に与えて、チャンスに見えないような場面でも、味方と目が合っていればチャンスはつくれちゃうんです。ボールがない方がチャンスはつくれる。
チャンスは自分でつくるものです。

——深いですね。人生そのものですね。

アシストナンバーワン=チームワークナンバーワン

渡邉(レブ):パス回しの奥深さはWリーグの中であまり浸透していないと思っています。味方がチャンスをつくって、パスを回しチームで得点する、これこそがコアラーズの強み。味方にパスをしてそれが得点につながったら「アシスト」といい、パスを出した人に記録がつくんです。コアラーズはアシストナンバーワンといわれています。ということは、チームワークナンバーワンということ。それぐらいどのチームにも負けていない。これがコアラーズです。
どうかみなさん、これからも応援よろしくお願いいたします!


西岡(ハク):お願いします!


渡邉(レブ):試合会場には三菱電機用の応援席があります。社員の皆さんの応援はアットホームな気分になれてとてもうれしいんです。会社あっての私たち。感謝の思いが溢れます。ぜひ三菱グループの皆さんも会場にいらしてください。観客席からの応援が多いほど大きな力になります。一緒に戦ってください!

渡邉西岡ツーショット

双方が認めるあうんの呼吸のコンビネーションが自慢の二人。「皆さんの声援はメンバーに届いています。ぜひ三菱魂で応援をよろしくお願いいたします! 応援グッズも会場で配布されています」

チームロゴ

チームマスコット「ココラ」。チーム名の「コアラーズ」は三菱電機名古屋製作所内の公募で決定された。由来は募集当時に名古屋市の東山動植物園に初めてコアラがやってきて話題となったことから。

2021年2月に三菱電機は創立100周年を迎えた。
さかのぼれば女子バスケは、1949年に名菱会のクラブの一つとして始動。三菱電機名古屋製作所で働く従業員の教養と体力の向上を目的とした親睦会が名菱会だった。
1956年、名古屋製作所にて「三菱電機名古屋女子バスケットボール部」が創部。1992年、チーム名を「三菱電機コアラーズ」に改名。その後、所属選手が世界選手権やオリンピックに出場するなどめざましい活躍を見せ、今に至っている。
三菱電機のスポーツチームはコアラーズほか「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」(男子バスケットボール)、「三菱電機テニス日本リーグチームファルコンズ」、「三菱電機バドミントンチームダイヤモンドウイングス」、三菱UFJ銀行・東京海上日動火災保険・三菱電機の3社合同チーム「オール三菱ライオンズ」(アメリカンフットボール)がある。詳細は「三菱電機スポーツポータルサイト」を参照。

コアラーズのチーム紹介や試合スケジュールはこちらから