拠点訪問

2023.08.24

三菱倉庫

大阪府・茨木市

茨木から患者さんへ――厳しい品質管理のもと医薬品を出荷する配送センター

大阪府・茨木市
1887年の創業以来、倉庫事業を中核とするロジスティクス事業を営む三菱倉庫。食品、医薬品、自動車部品、化学品など、取り扱う品物は多岐にわたる。なかでも医薬品の物流業務においては“すべては患者さんのために”という思いを胸に、経験豊富なスタッフが入庫、保管、出庫、そして全国の納品先への配送までを行う。医薬品を取り扱う拠点の一つ、三菱倉庫大阪支店・茨木第二営業所を訪ねた。

名神高速道路・茨木インターチェンジの至近という好立地に位置する三菱倉庫大阪支店・茨木第二営業所は、医薬品を取り扱う3号配送センター、4号配送センター、5号配送センター、12号倉庫の4つの倉庫を有する。

4号配送センターと5号配送センターは同じ敷地内にあり、4号配送センターは2018年7月、5号配送センターは2022年10月に竣工した。ともに地震等の自然災害に対応し環境負荷低減に配慮した「災害に強いECO倉庫」となっている。

倉庫の地下には免震装置があり、揺れを吸収(写真左)。また、建物の揺れを計測する装置もあり、地震によって建物にダメージがないか点検・確認している(写真右)。

倉庫の地下には免震装置があり、揺れを吸収(写真上)。また、建物の揺れを計測する装置もあり、地震によって建物にダメージがないか点検・確認している(写真下)。

自然災害への対応として、免震構造や非常用発電機を備え、備蓄用の軽油の地下タンクを設置。4号配送センター、5号配送センター合わせて5万5000リットルの軽油を貯蔵し、災害時においても2週間以上は業務を継続することができる。環境負荷の低減としては、太陽光発電設備、全館LED照明、高効率空調機器を採用している。

倉庫横に設置された非常用発電機(写真左)。地下には軽油タンクを設けることで、大規模災害発生時でも医薬品の定温保管・配送を可能にしている(写真右)。

倉庫横に設置された非常用発電機(写真上)。地下には軽油タンクを設けることで、大規模災害発生時でも医薬品の定温保管・配送を可能にしている(写真下)。

5℃に保たれた保冷荷さばき場に設けられたオートシェルター。倉庫と保冷車の荷台を密着させ、外気の影響を受けることなく搬入出ができる。

さらに、全室空調、全床防塵仕様となっているほか、倉庫内の空気をクリーンに保てるよう、電動フォークリフトを使用。1階には搬入出口と車両の荷台を密着させ、衛生的な荷卸し、積込みができる設備「オートシェルター」のある保冷荷さばき場を設け、抗がん剤や注射薬なども保管できる。

多くの製薬会社の配送センターとして多種多様な医薬品を管理しているため、取り違えや誤出荷、あるいは保管中に品質を損なうような事態が起きれば、患者さんの命に関わる危険性がある。倉庫も製薬工場の一部ととらえ、医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した高品質な医薬品物流サービスを提供している。

出荷まで何度もチェック、誤出荷はゼロが基本

石原 由貴さんは処方薬を扱う製薬会社の配送センターのセンター長として貨物の入出庫の手配や書類の準備においてトラブルが起きないよう管理する。

「品質を保証するため細かく定められた業務手順書を遵守しています。業務効率化などを考え手順を変えたいときには、手順書を変更して問題ないかを検討し、変更後は作業員の教育をするという手順を踏むことになっています」

治験薬を扱う佐藤 詩音さんは物流に関心を持ち、この仕事を志した。石原さんと同様、絶対に誤出荷が発生しないよう日々細心の注意を払う。

「オーダーの受注から出荷まで5回〜8回、事務員と作業員、複数人でチェックしています。2023年1月の関西地域での積雪時は、お客様・運送会社と連携しながら無事に治験薬を届けることができ、改めて物流の大切さや自分が担っている責任の重さを感じました」

台風が近づいているときは配送に平時よりも時間がかかる可能性があることを予測し、長時間の温度管理が可能な配送用ボックスに変更するなどの対応をしているという。

医薬品管理の経験が豊富で、チームワークに優れたメンバー

大久保 佐和子さんは薬剤師だ。茨木第二営業所では大久保さんを含め約10人の薬剤師が活躍している。

「医薬品の配送センターを運営する上で、管理薬剤師を配置するよう法律で定められています。仕事の一つとして日々の各種記録やその管理がありますが、これも法律で決まっており、担当しているお客様すべての分を記録しています。法律はたびたび改正がありますので、都度お客様とご相談しながら対応しています」

浦田 和幸さんは、米国ニューヨークでの国際輸送業務や名古屋支店での業務を経て、2018年からこの大阪支店に配属となり医薬品を扱うようになった。石原さんと同じく、契約している製薬会社のセンター長の立場でチームをまとめる。

「コロナ禍のときは、スタッフがもしコロナに感染してしまうと、医薬品の安定供給に影響を与えてしまいかねないため、感染対策にはかなり気を使いました。毎月、スタッフへの教育訓練があり、医薬品の品質を担保するため作業方法や衛生面、災害時の対応などについてレクチャーし、スキルアップを図っています。茨木第二営業所は医薬品に特化した倉庫ということもあり、みんな医薬品の取り扱いに詳しい。慎重かつ丁寧に仕事をしているため、とても穏やかな雰囲気ですね」

事務担当の藤木 幸光さんも雰囲気づくりを重視しているという。

「私が所属するチームは3人で業務を回しています。世代の違うメンバーですが、ふだんからコミュニケーションをとってチームワークを大切にし、雰囲気のいい職場づくりを心がけています」

最新の設備を備えた茨木の医薬品配送センターで働く責任感の強いメンバーたち。業務内容は細かく、真剣そのものだが、休憩時などは和気あいあいとしている。このチームワークで、お客様のために、そして患者さんのために、命を守る大切な医薬品を届けるべく一丸となって物流を支えている。

石原 由貴 YUUKI ISHIHARA
大阪支店・茨木第二営業所

佐藤 詩音 SHION SATO
大阪支店・茨木第二営業所

大久保 佐和子 SAWAKO OKUBO
大阪支店・茨木第二営業所

浦田 和幸 KAZUYUKI URATA
大阪支店・茨木第二営業所

藤木 幸光 YUKIMITSU FUJIKI
大阪支店・茨木第二営業所