若手社員登場

2023.10.12

AGC

チャレンジ精神旺盛な若手社員が考えていることを紹介します。

仕事の魅力はなんですか?

2018年に入社した技術本部 材料融合研究所の伊藤 広朗さんと、2021年に入社した技術本部 先端基盤研究所の金丸 萌菜さんに話を聞きました。

AGC

1907年創立。板ガラス生産から始まり、現在は30を超える国と地域において、ガラス、電子、化学、ライフサイエンス、セラミックスなど多分野で事業を展開。2021年には、分散していた研究開発組織の移転・統合を完了させ、AGC横浜テクニカルセンターにて新研究開発体制をスタート。「両利きの開発」「オープンイノベーション」「DX」の三本柱で、開発スピードを加速。独自の素材・ソリューションの提供を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、継続的に成長・進化するエクセレントカンパニーを目指す。

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伊藤 広朗  HIROAKI ITO

2018年入社。技術本部 材料融合研究所 有機材料部複合化材料チーム 「開口部材や光学材料の開発を行っています。この仕事の魅力は、技術的およびコスト的な観点からこれまで作れなかったモノを生み出せる可能性があるところです」

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金丸 萌菜  MOENA KANAMARU

2021年入社。技術本部 先端基盤研究所 ガラスプロセス部 ホットプロセスチーム 「チームの技術を導入した製造ラインを日々稼働させている工場の方々との関わりや、周りの優秀かつ個性的な先輩・同期・後輩から受ける刺激が仕事のモチベーションになっています」

自社で扱っていない技術も幅広く調べることが類推能力につながる

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AGCの研究開発施設であるAGC横浜テクニカルセンターには、材料・機能を担当する「材料融合研究所」、プロセス・共通基盤技術を担当する「先端基盤研究所」、生産技術・共通基盤技術を担当する「生産技術部」の3開発部門が集結している。


伊藤 さんは、生産技術部、先端基盤研究所を経て、今は材料融合研究所に在籍。微細構造を施したガラスの基板を製造するための加工技術の開発を行っている。この技術が成功すれば、将来、スマホやARグラスといったデバイスのセンサーなどにこのガラスの基板が組み込まれることが期待される。


「通常のガラス製品とは違って、まだ産業に利用している事例がない素材を開発しています。安定して高品質の製品を生産でき、なおかつコストを下げることができれば、これまでの技術では作れなかったモノを生み出せる可能性があります。将来、この新しいモノが普及しているかもしれないと想像することが開発のモチベーションとなっています」


仕事における強みは、スピード感と類推能力だと自己分析する。2022年、前部署の先端基盤研究所にいたとき、当社の製品を使用いただいているお客さまの製造工程において、原因不明のトラブルが発生した。急遽、原因を解明し、改善策を提案しなければならなかったが、すでに動いている生産ラインのどこをどのように改善すれば、お客様の要望にお応えできるのか。伊藤さんは3日ほどで簡易的な設備を立ち上げ、その1〜2週間後には仮対策を実現。最終的に3〜4週間で全面解決に至り、そのスピーディーかつ正確な対処と、お客様に対する技術力アピールが認められ、2023年、社内表彰で最高ランクを授与された。


「製品の状態とお客さまのご要望から類推して『このトラブルが発生するのは、この現象が原因ではないか』と仮説を立て、社内の専門家にもヒアリングを行って対応しました。ふだんから自分が携わっている研究領域だけでなく、学会などの資料などをもとに弊社では扱っていない技術も幅広く調べるようにしています。そうすることで何かあったときにひらめきを待つのではなく、インプットしたもののなかから探して正解を類推することができるのです」


根っからの研究肌の伊藤さんだが、プライベートでは海外旅行とお酒が趣味。

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「今年4月にはタイ、新型コロナウイルスが蔓延する前には、ポーランドとチェコに行きました。好きな国はハンガリー。ブダペストの町並みが美しく、ブダ王宮は市民の憩いの場のようになっていて、中庭ではさまざまなイベントが開催されています。私が行ったときはワインフェスティバルがあり、ワインを堪能できました。旅先でクラフトビールを飲むのも楽しみ。とくに好きなのは小麦を使ったウィートエールですね。最近はウィスキーにも関心があります」


まだ見ぬ国と地酒を追って、探究心は広がっている。

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風光明媚な自然の宝庫として知られるタイ カンチャナブリーをバックに撮影する伊藤さん


研究で大切なことはコミュニケーションと原理原則を押さえること

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金丸さんは、技術本部 先端基盤研究所でガラス溶解プロセスの研究開発を行っている。既存のガラス原料の溶解における課題を改善し、より効率よく溶かすことが目的だ。最終的には低炭素、脱炭素にも繋がる可能性がある。パソコンに向かってシミュレーション作業を行うこともあれば、実験室で汗をかきながら基礎試験を行うこともある。


「研究所というと黙々と研究するイメージを持っている方も多いようですが、実際には上司や部下の垣根を越えてチームでコミュニケーションを取り、みんなでひとつのモノを生み出せていると感じることが多いですね。社内でやったことがない新しい分野の研究なので、未知のできごとや想定外のトラブルに直面する状況が常に出現します。そのようなときはコミュニケーションを取りながら、原理原則を押さえて進んでいくことが大切だと考えています」


大学院では流体力学を専門とし、ロケットエンジンを研究していた。強みは知的好奇心が旺盛なところ、負けず嫌いなところだという。


「業務範囲内のことはもちろん、範囲外でもすぐに調べたくなります。ふっと思い出してはいても立ってもいられなくなり、論文を調べてずっと読み続けてしまうこともよくあります。分からない状態でいることがくやしいですね。もちろん読んだからといってすぐに理解できるわけではありませんが、『読めば分かるかもしれない』と思うと、どうしても気になってしまいます」


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趣味は大学時代からコツコツ続けている山登り。「長い時間をかけて奥深くまで登らなくても、さまざまな気候と植生の変化が見られる東北地方の山が好き」と語る。最近は岩に興味を持つようになり、鉱物大図鑑を購入した。


「小さい頃から石や岩が好きで、近所の石を拾って持ち帰っていました。石や岩には地上に現れるまでの歴史が刻まれています。その歴史を知りたいと思い、図鑑で勉強中です。もちろん今は子どもの頃とは違い、自然環境を乱してしまうので、石は持ち帰りませんよ。スマホで撮りためています」


趣味においても知的好奇心は尽きることはない。


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長野県の美ヶ原高原で鉄平石と呼ばれる安山岩の板状節理と山々を写真に納めた金丸さん。

次の20年を見据えて新しい技術でよりよいガラス製品を

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仕事もプライベートも研究熱心であることが分かる二人。最後に仕事にかける意気込み、抱負を語ってもらった。


「次の20年をつくっていこうと思います」(伊藤さん)


「溶解プロセスの分野で革新的な技術が生まれたら、ガラス製造を取り巻く状況が一気に変わると思っています。新しい技術で多くの人によりよいガラス製品が行き渡るようにしていきたいです」(金丸さん)