今月の一社

今月の一社

vol.4 小岩井農牧

「みつびし みてきた!」では、vol.6『小岩井農場』でその歴史的建造物を中心にご紹介し、vol.8『東洋文庫』でもミュージアム併設の「オリエント・カフェ」のご紹介でそのレストラン事業についても触れた『小岩井農牧』。しかし同社には、実はまだまだ多くの事業が存在します。そこで今回は、小岩井農牧の多種多様な事業の中から、三菱重工や三菱ケミカルなどと共に取り組む「循環型社会」の実現に向けたプロジェクトについてご紹介します。

小岩井農場では、酪農事業を通じて牛や鶏などから家畜排泄物が、また食品工場から食品系廃棄物(残渣)が発生します。周辺地域の小中学校の給食調理からの残渣も加えて、その有効活用として行なっているのが畜産バイオマス発電です。

畜産バイオマス発電の仕組み

その仕組みは左図のとおり。自然に豊富に存在するバイオマス()からメタンガスをつくり、電気や熱などのエネルギーを生みだしリサイクルします。同時に、その過程で得られる液肥や堆肥は農地に栄養分として還元し、飼料の生産につなげるという、まさに理想的な循環システムを実現。これにより、地球温暖化の防止にもエネルギー問題の解決にも取り組んでいるというわけです。

発電プラント

バイオマス発電・堆肥化プラントは三菱重工環境・化学エンジニアリング社の建設で、運営は東北発電工業、東京産業、雫石町なども加わり出資して設立された「株式会社バイオマスパワーしずくいし」が担っています。一日に約4,000kWhもの電力が生み出され、半分はバイオマス発電・堆肥化プラントで使用され、半分は電気事業者に売電されています。また、液肥(消化液)は耕地に還元されているそうで、その量は一日に52t!  このほかに堆肥が一日に約29tも得られているというからすごいですね。液肥(消化液)を三菱ケミカルグループの凝集剤技術と小岩井農牧等で開発した人工湿地技術の組み合わせで、省コストで効率的に肥料化し水質浄化を行う実証試験にも取り組んでいます。

小岩井農牧では他にも、三菱地所ホームに良質な木材を供給しながら持続可能な森林経営でCO2問題に取り組む山林事業や、東洋文庫の「シーボルト・ガルテン」や東京・丸の内の三菱一号館広場などの植栽管理を通じて都市部に憩いの場を提供しつつヒートアイランド現象による温暖化の防止にも貢献する環境緑化事業など、三菱グループ企業・団体と協同で取り組んでいる事業がたくさんあります。小岩井農牧の循環型社会への挑戦。それは小岩井農場の明治期の設立以来続く環境への配慮と三菱グループ企業の技術力、そして相互の深い信頼関係によって実現できた事業と言えますね。

*バイオマス:再生可能な生物由来の有機質で化石資源を除いた物

岩手県岩手郡雫石町丸谷地36-1

注:本文中の情報等はいずれも2017年3月現在のものです。