
今月の一社
三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ
私たちの身の回りにはさまざまなプラスチックがあります。金属等の素材よりもコストやメンテナンス面で優位な点が多く、多くの産業で高機能プラスチックはもはや欠かすことのできない素材です。今回は高機能プラスチック素材のグローバルリーダー『三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ』をご紹介します。
三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(MCAM)は、注型ナイロン素材「MCナイロン」国内シェアトップの日本ポリペンコ(株)と、高機能プラスチックの世界トップサプライヤーであるクオドラントの日本事業所であったクオドラントイーピーピージャパン(株)を母体として2011年に発足、2020年にMCAMコンポジットジャパン(株)と合併し、以来、エンジニアリングプラスチック素材およびコンポジット材の製造・販売を中心に、高機能プラスチック素材で世界を牽引する事業を展開しています。
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「エンジニアリングプラスチック」とは耐熱性・機械強度・電気特性・耐薬品性・耐疲労特性など特定の機能を強化したプラスチックを指します。MCAMでは独自の配合技術で帯電防止性や摺動性を付加した切削加工用成形素材を製造しており、同社の製品は製鉄機械・食品製造機械・一般産業機械・半導体製造装置・医療機器といった様々な業界で使用されています。従来の汎用エンジニアリングプラスチックと、耐熱性・機械的強度をさらに高めたスーパーエンジニアリングプラスチックの両方を保有しているMCAMだからこそ、人工関節(写真)やトラックの荷台のライナー、半導体製造装置部品など、あらゆる産業・用途に適した高機能プラスチック素材の提供が可能なのです。
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エンジニアリングプラスチックと並ぶMCAMのもうひとつの主力製品はコンポジット材。こちらは複数の素材を組み合わせて素材の特性を向上させた材料のことで、特にガラス繊維強化熱可塑性複合材(GMT)の分野でMCAMは世界を牽引しています。GMTは耐衝撃特性を持つガラス繊維と熱可塑性樹脂の複合素材で、アルミや木材の代替として自動車や建造部材、スポーツ・レジャー用品など広範に使用されます。加熱すると軟化する熱可塑性であることからリサイクルに向いている点も大きな特徴です。
このように技術力を生かした製品の数々で多くの産業に貢献しているMCAMは、プラスチックメーカーとして環境問題も重視し、2023年までにクライメート・ニュートラル(気候中立)を目指し、2030年までに二酸化炭素の吸収量が排出量を上回るクライメート・ポジティブを達成する目標を掲げています。グローバル企業として世界の社会課題に技術力で貢献することに、グループ一丸となって意欲的に取り組んでいます。