みつびし みてきた!

みつびし みてきた!

vol.24 MRJミュージアム

こんにちは! 事務局のカラットです。今回からこの「みつびし みてきた!」もリニューアルいたしました。新装後第一弾の訪問先は「MRJミュージアム」! 国産初のジェット旅客機として国内外から熱い注目を集めている三菱重工のMRJ(Mitsubishi Regional Jet)。日本の伝統美を活かした機体デザインや高い居住性、そして随所に使用される最先端テクノロジーなど、MRJの魅力と凄さを目の前で見ることができる話題の施設におじゃましました!

アジア唯一・飛行機の組立が見られるミュージアム

名古屋駅からバスに乗り20分ほどで到着する県営名古屋空港。自衛隊小牧基地とも滑走路を共有するこの飛行場と隣接して建つのがMRJミュージアムです。ミュージアムはMRJ最終組立工場の中にあり、2017年11月30日にオープンしました。見学はWEBサイトからの事前予約制となっており、名古屋空港併設「あいち航空ミュージアム」内の専用チェックインカウンターで受付をし、シャトルバスに乗ってミュージアムへと向かいます。

エントランスが開くと目の前にMRJの巨大パネル。ここはフォトスポットになっていて、迫力の写真を撮ることができる。
エントランスが開くと目の前にMRJの巨大パネル。ここはフォトスポットになっていて、迫力の写真を撮ることができる。

ミュージアムではMRJについて詳しく知るための展示施設と、実際の最終組立工場の2か所を見学することができます。飛行機の組み立てを見学できる工場というのは世界でも3か所しかなく、アジアではこのMRJミュージアムだけ。MRJ自体への注目の高さと相まって、1日10回、各回90分でアテンダントの方による案内付きで館内をめぐる見学ツアーはオープン後一年近い現在も大人気だそうです。そんなMRJミュージアムの様子をお届けいたします!

「人」が作る「世界で一番美しい機体」

県営名古屋空港の滑走路を再現した長い廊下。ここからMRJの展示スペースへ向けてテイクオフ!
県営名古屋空港の滑走路を再現した長い廊下。ここからMRJの展示スペースへ向けてテイクオフ!

壁と天井に大空が描かれた、まるで空を飛んでいるようなエレベーターで上階へと上がると、長い廊下が現れます。グレーの床に直線と数字が書かれたこの感じは……そう、飛行場の滑走路。名古屋空港の滑走路が20分の1スケールで表わされたもので、壁には車輪を格納して飛び立っていくMRJの機体も。まさにこれから旅が始まるといった雰囲気ですね!

その滑走路を過ぎた先のシアターで、まずはMRJの紹介映像を観覧。日本初の国産旅客機「YS-11」から50年、「世界で一番美しい機体」を目指してMRJは作られました。ファーストフライトの様子と、その姿に歓声を上げて喜ぶ関係者の方々の映像は実に感動的で、思わずこちらも涙が流れそうになりました。

映像が終わり、じーんとした思いに浸っていると隣室への扉が開き、そこには実物大の機体模型が! ついにMRJとご対面です。

原寸大のMRJ機体模型。内部も見学できるよう「輪切り」の状態で展示されている。
原寸大のMRJ機体模型。内部も見学できるよう「輪切り」の状態で展示されている。

自分が搭乗するときでさえ、飛行機の機体は限られた範囲しか見ることはできないので、機体の「顔」の部分をまじまじと見るのは初めての経験でした。取り付けられた計器などについて、アテンダントの方が丁寧に解説してくださいます。MRJといえばその日本的なデザインも話題です。流れるようなフォルムは日本刀を、機体に施された赤・黒・金のテーマカラーは漆塗りを、そしてフライトデッキ(操縦室)の窓付近に施された「目じり」の塗装は歌舞伎の隈取をイメージしたもの。特にこの目じりの隈取を意識すると、MRJの顔つきも一層りりしいものに見えてきます。

フライトデッキ、キャビンとともに機能性と居住性に様々な工夫が。キャビンでは実際にシートに腰かけて快適な広さを体験できる。
フライトデッキ、キャビンとともに機能性と居住性に様々な工夫が。キャビンでは実際にシートに腰かけて快適な広さを体験できる。

機体模型は内部にも入ることができ、フライトデッキとキャビン(客室)が見学できます。MRJの「Regional」は「地域の」という意味。つまり近距離路線で使用される飛行機のため、全体的な大きさはジャンボ機と比べるとかなりコンパクトです。だからといって居住性を犠牲にしないのがMRJ。フライトデッキは足元に行くほど内装の色を濃くして空間を広く見せたり、通常キャビンの下部にある貨物室を機体後方に配置することでキャビンの天井高を確保するなど、さまざまな工夫が施されています。実際にシートに座ると、前後左右の窮屈感はほどんどありません。これは貨物室が床下に無いぶん床の位置が通常より低く、機体を横から見て円周のいちばん長い(広い)部分が座ったときの肩幅部分にあたるように設計されているためなのだそう。細やかな設計に驚きです!

キャビン天井には桜の花びらが散り、富士山を模した照明や水面模様のカーペットが用いられています。キャビン全体で枯山水を表現した和の空間になっているというご説明を聞き、隅々まで張り巡らされた心配りに、はは~と感嘆のため息が漏れるばかりでした。

その先の展示では飛行機が飛ぶ仕組みを解説するプロジェクションマッピング(飛んでいる飛行機をさらに上空から見るような面白さ!)や、タブレット端末で製造工場内を360度全方位バーチャル見学できるコーナー、設計のために作られたジェットエンジンの木製模型などを通じ、飛行機がどのように作られているのかを知ることができます。そうして数多くの技術・工程が結集し、850以上に及ぶ試験を経て、ようやく飛行機は完成へと至ります。

みんなの想いを乗せ、MRJは空へ

MRJのジェットエンジンは機体に比べ大型なのも特徴。開発時に作られた木製の精緻な模型にも、「ものづくり」の精神が感じられる。
MRJのジェットエンジンは機体に比べ大型なのも特徴。開発時に作られた木製の精緻な模型にも、「ものづくり」の精神が感じられる。

展示コーナーを見終え、今度は夕焼け柄のエレベーターに乗って下層フロアへ。ここが、MRJ最終組立工場の見学フロアです。スタジアム級の広い工場をぐるりと囲む廊下を歩きながら、実際に飛行機を組み立てているところが見学できます。飛行機には約100万点の部品が使用されており、異物の混入を防ぐため部品や工具は厳格に管理され、丁寧な手作業で組み立ては進められます。ここで改めて実感したのは、あれほど巨大な飛行機も、やはり作っているのは「人」だということでした。ただ決められた作業を単純にこなすではなく、すべての工程に気を配り、最高のものを生み出そうという「ものづくり」の精神を、工場を見学しながら感じることができました。

最後はエントランスに戻り、フォトスポットで記念撮影したり、ミュージアムショップでここにしかないMRJグッズを買ったりとお楽しみタイムを過ごし、ツアーは終了です。たくさんの熱い想いを受け止めて、胸いっぱいの90分でした。

MRJミュージアムは最終組立工場の建設とともに当初から開設が検討されていたそうで、その狙いには「子どもたちへのアピール」もありました。ここを訪れた子どもたちが、将来パイロットになりたい、エンジニアになりたい、キャビンアテンダントになりたい等々、空の仕事に憧れを抱き、これからの航空業界の人材育成のきっかけになればという三菱重工の想いがこのミュージアムにはあると伺い、MRJは本当に多くの人の夢を乗せた飛行機なのだなと感じました。

MRJの「M」は「Mitsubishi」の「M」ですが、同時に「みんな」の「M」でもあるのだそうです。MRJ同様、オープン1年のミュージアムも発展の道半ばにあり、アテンダントの皆さんもより分かりやすい展示を目指し、「ものづくり」の精神で日々試行錯誤をされています。みんなが作るMRJ、そしてミュージアム。きっと訪れるたびに新しい出会いがあるはずです。ぜひ一度訪問し、その夢に触れてみてください!

住所:愛知県西春日井郡豊山町豊場林先1

休館日:火曜日、年末年始、メンテナンス期間
完全予約制。個人はインターネット予約にて2か月前より、団体はFAXにて3か月前より予約開始。

予約申し込み

注:本文中の情報等はいずれも2018年9月現在のものです。