みつびし みてきた!

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vol.29 JXTGエネルギー「スイソテラス」

こんにちは! 事務局のカラットです。エンジンとモーターで走るハイブリッド車、バッテリーの電力で走る電気自動車、自宅などで充電ができるプラグインハイブリッド車と、環境志向の自動車は進化を続け、そして「究極のエコカー」と呼ばれるのが水素を燃料とする「燃料電池自動車(FCV)」です。今回はJXTGエネルギーの横浜綱島水素ステーション併設のショールーム「スイソテラス」で、FCVと水素社会の未来をみてきました!

未来を感じて学べる水素情報のショールーム

トヨタ自動車が世界初の量産型FCV「MIRAI(ミライ)」を発売したのは2014年末のこと。以来、ENEOSブランドでガソリンスタンドを展開するJXTGエネルギーでは、FCVへの水素充填を行なう水素ステーション網も全国に広げています。2018年10月にオープンした神奈川県横浜市の綱島水素ステーションもそのひとつ。こちらでは「見る・体験する」をコンセプトにしたショールームが併設されており、水素について学ぶことができます。

2018年10月にオープンした横浜綱島水素ステーション。屋根の傾斜は万一水素が漏れても上方へ逃がしやすくするため。写真奥に見える2階建ての建物が「スイソテラス」。
2018年10月にオープンした横浜綱島水素ステーション。屋根の傾斜は万一水素が漏れても上方へ逃がしやすくするため。写真奥に見える2階建ての建物が「スイソテラス」。

2階建てのスイソテラスでは、写真撮影時のフラッシュはNG。なぜかというと、水素は燃えても炎が目に見えません。そこで炎の中の紫外線を検知する火炎検知器がステーションの敷地内に複数設置されているため、光に紫外線を含むフラッシュを使用すると安全対策としてシステムが一斉にシャットダウンしてしまうんです、という説明を聞き、「なるほど!」と納得しました。ここには水素に関する、知らないことがたくさんありそう、とわくわくしてきました。

ショールーム1階ではジオラマやパネルなどを使った展示で水素ステーションやFCVについて、2階のシアターでは、プロジェクションマッピングを使ったわかりやすい説明で水素の特性や水素社会の実現に向けた取り組みについての理解を深めることができます。

クリーンで利用効率のよい水素エネルギーは国でも燃料としての普及に向けて活動を推進しており、たとえばFCVは「2020年までに4万台程度、2025年までに20万台程度、2030年までに80万台程度」と普及目標を定めています。

水素は石油精製のプロセスの中でも使われるため、JXTGエネルギーでは長年水素の研究に取り組んでいました。以前「みつびし みてきた!」で訪問した根岸製油所でも、施設内で水素を製造・使用しているのだそうです。将来的には再生可能エネルギーから水素を製造することで、二酸化炭素を排出しないクリーンな社会の実現を目指しています。

水素ステーションで圧縮した水素を蓄えておくタンクの模型。素材の高強度炭素繊維はロケットにも使用されるほどの強度。
水素ステーションで圧縮した水素を蓄えておくタンクの模型。素材の高強度炭素繊維はロケットにも使用されるほどの強度。

ぱっと見はガソリンスタンドとよく似ている水素ステーションですが、実際には水素の特質を踏まえた作りとなっています(適用される法律も、ガソリンスタンドは消防法、水素ステーションは高圧ガス保安法と異なるそう)。水素は地球上でもっとも軽い気体。万が一漏れても適切に換気すれば安全に拡散できるため、水素ステーションでは上方に向けて空気が流れやすい形状や、あるいは屋根をつけないなどの設計になっています。JXTGエネルギーではガソリンスタンドと水素ステーション一体型のSSも運営していますが、構造のまったく異なるバックエンドを持っていたり、万が一ガソリンが流れ出ても水素ステーション側にはいかないよう間に溝が掘られていたり、両施設の安全を守るための工夫が施されているそうです。

また、ステーション内で充填用水素ガスを蓄えておく蓄圧器やFCVに搭載された水素タンクには、ロケットにも使用される高強度炭素繊維が採用されており、これはショールームで実物に触れることができるのですが、とにかく硬い! これが爆発することはまずないだろうな…という圧倒的な説得力です。水素ステーション、そしてFCVには、あらゆる方面から何重にも安全対策が張り巡らされていることがよくわかりました。

ENEOSで日本唯一、セルフ充填ができる水素ステーション

トレーラーで運ばれてきた水素。トレーラー1台に230Kgの水素が積まれていて、FCV約50台分の充填量。
トレーラーで運ばれてきた水素。トレーラー1台に230Kgの水素が積まれていて、FCV約50台分の充填量。

スイソテラスでの学習後は、実際のステーションを見学させてもらいました。

専用設備で製造された水素は、水素トレーラーでステーションへと届けられます。ステーションでは圧縮機で圧力を上げた水素を蓄圧器に蓄え、これを充填機(ディスペンサー)を使ってFCVへと充填します。水素ガスを急速に充填すると高温になるため、FCV側でほどよい温度(20~30℃ぐらい)になるよう逆算し、-40℃まで冷却したものを充填するように設計されているそうです。ステーションの地面下には充填機まで水素ガスを送る細いパイプと、それに沿って冷媒を流す太いパイプとが設置されていおり、ここも水素が充満しないよう格子状の溝蓋が使用されているため、配管を目視することができます。

スイソテラス内で水素ガスの模擬充填を体験! ノズルやホースは安全のため使用回数が定められている。
スイソテラス内で水素ガスの模擬充填を体験! ノズルやホースは安全のため使用回数が定められている。

そして実はこの綱島水素ステーションは、ENEOSでは日本で唯一のセルフ充填が可能な水素ステーション。講習を受ければ、ユーザーは自分で水素を充填することができます。現在すでに数十名が登録をされているそうです。残念ながらFCVユーザーではない私ですが、ショールームの模擬充填コーナーで充填を体験させてもらいました! 充填ノズルの形状はガソリンのものと似ていますが、こちらはずっしりと重みがあり、とても片手では持てません。水素そのものは軽い気体ですが、ここにも様々な安全対策が盛り込まれており、ノズルの重さは安全の重さだと実感します。ちょうど取材の直前にお客さんが続いたとのことで、ステーションの方の実機充填ノズルの口付近には水滴がぽつぽつ。ガソリンのように目に見える液体が流れ込むわけではありませんが、これが-40℃が通った後なのだなと納得しました。

ステーションの水素ディスペンサー。ノズルがとても重いので、安全のため白い補助ロープも添えられている。3分ほどで充填完了。
ステーションの水素ディスペンサー。ノズルがとても重いので、安全のため白い補助ロープも添えられている。3分ほどで充填完了。

約3分で充填は完了。水素1㎏で100km以上の走行が可能で、燃料コストとしてはガソリン車と大きく変わりません。東京都では水素燃料バスが実走行しており、ウィンカーの音だけが響くような、とても静かな車内を体験できます。FCVに興味はあるけど、まだちょっと価格で二の足を踏む…という方には、FCVを扱うカーシェアやレンタカーを利用してみるという手もあります。少しずつ私たちの周りでFCVを目にする機会も増えつつあり、水素社会が近づいてきているのを感じます。

FCVはこれからの普及が期待されている自動車。水素ステーションはそのための施設とあって、二酸化炭素を排出しない水素社会の到来が待ち遠しくなるような、とても明るく優しい未来を感じることができるところでした。スイソテラスは入場自由のオープン施設なので、「未来」を体感しに訪ねてみてはいかがでしょうか。

所在地:横浜市港北区綱島東4-3-9

営業日(1)火曜・木曜(13:00~16:00) (2)土曜(10:00~16:00)
※ただし、祝祭日、ステーション休業日を除く。
※貸切の場合あり。
入館料:無料
お問い合わせ:045-717-9434

注:本文中の情報等はいずれも2019年8月現在のものです。