
三菱と横浜の「縁」(えん・ゆかり)
横浜の海から、地球規模の未来のために行動する
-東京海上グループ-
横浜の各地を訪問し、三菱グループと横浜が織りなす縁(えん/ゆかり)を紹介するシリーズ。第7弾は、横浜の地で人々の暮らしを守り、地域の社会課題に向き合ってきた東京海上グループの東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)を取材しました。サステナビリティ活動として横浜の海を守る活動を続けている同社に、活動の現場でお話をお伺いしました。
横浜港とともに発展してきた東京海上日動
![]() 明治火災と旧東京海上が入居していた
横浜東海ビルディング |
横浜市民をはじめ、日本全国の地域の方々の“いざ”を守ってきた東京海上日動ですが、その歴史を紐解くと、3つの会社に辿り着きます。1社目は、1908年に横浜出張所を設立した明治火災保険(以下、明治火災)です。火災保険から始まった同社でしたが、昭和に入り国内で生糸産業が発展し始めてからは、絹織物の輸出や国内輸送の増加に伴って、事業の主軸を海上保険へと移していきました。
![]() みなとみらいビジネススクエア竣工当時の
横浜 |
もう1社は1879年、日本初の海上保険会社として生まれた東京海上保険(以下、旧東京海上)です。同社は1935年に横浜出張所を開設。翌年には横浜東海ビルディングを新築し、明治火災とともに同ビルへ入居します。その後は、国際貿易の玄関口として横浜港が発展していくのとともに事業を成長させてきました。そして1944年、旧東京海上、明治火災と、最後の1社であり1941年に横浜に出張所を開設した三菱海上火災保険との合併統合により、東京海上火災保険(現・東京海上日動)が誕生します。
1955年からは、根岸磯子海岸地帯造地の工場誘致、国鉄根岸線の延長計画、横浜駅西口方面の発展などの恩恵を受け、火災や自動車など新たな保険分野でも成長を続けてきました。2004年には、現在の横浜オフィスであるみなとみらいビジネススクエアを竣工。設立から今まで、横浜の人や企業と信頼関係を築きながら、街の発展とともに成長を遂げてきたのです。
地域に貢献するサステナビリティ活動
今も昔も地域に根差し、地域に貢献することを大切にしてきた東京海上日動。その思いを形にしたのが、国内外でのサステナビリティ活動です。
「環境を守り、長く続けられることを」という社員の声を機に、創立120周年記念事業の一環として、1999年から東南アジアでのマングローブ植林活動をスタート。以後、25年以上にわたって海外での保全活動を続けてきました。また、国内では宮城県での海岸林再生ボランティアや、高知県で森林保全のための間伐ボランティアを継続して行なっています。
![]() フィリピンのマングローブ
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![]() 移植を待つアマモの苗
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2022年10月からは、海の環境保護活動として「海を守る活動」も始まりました。横浜エリアを中心とした東京湾をはじめ、大阪湾や博多湾でも海の生態系を守る海草の一種であるアマモの種採取や種まき活動を行なっています。
横浜エリアなどでのアマモ場の保全・再生活動には、毎年多くの社員や関係者が参加しています。そこには、地域の海を守るために自分で考えてもらいたい、より多くの社員や関係者に自ら足を運び、行動してほしいといった願いも込められています。
横浜の海にアマモを取り戻す
![]() 東京湾UMIプロジェクトに参加した東京海上日動の社員と関係者
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当日は、地元・横浜を拠点に活動するNPO法人 海辺つくり研究会の指導のもとで、アマモ苗の移植がスタート。デジタル絵本を使って、地球温暖化とアマモの関係、身近な海や地球の未来について勉強した後は、移植のための準備を行います。まずは、アマモの苗に重石となる粘土を取り付ける作業から。波に流されず、海の中できちんと根を張って育っていけるように粘土を付けていきます。
その後は、指導者の後に続いて、海の中へ。服を着たまま膝ほどの深さまで入り、手探りで苗を植え付けていきます。スコップで穴を掘り、その穴に苗を植え付けるのは思った以上に骨の折れる作業です。波に流されてなかなかうまくいかず、海を守る活動の地道さ、大変さを実感する参加者たちでした。
![]() アマモの苗に粘土をつけて重石にする
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![]() スコップと苗を持ち、手をつないで海に入る参加者たち
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![]() 海が大好きな親子は、今回で4回目の参加
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110年前の東京湾沿岸にはたくさん生えていたアマモですが、今では海水温が上昇した影響で数も減り、わずかな場所にしか残っていません。この日の苗も千葉の海から採取してきたもの。横浜の海に元気なアマモを移植する活動を通じて、そんな海と地球の環境に対しても関心を深める機会になったようです。
環境を守り受け継ぐ、継続的な活動
アマモ場の保全・再生活動の目的は、単に環境保護に意識を向けるということだけにとどまりません。アマモはCO2の吸収・固定、水質浄化、アマモ周辺の生物多様性の保全といった意味で、マングローブと同様の効果が期待できます。そしてそれは、継続するからこそ意味のあること。保険業務が日々の営みを支えていくものであるように、一時的な活動でなく、未来に向けて継続的にその意志をつないでいくことが重要なのです。
![]() アマモ場の保全・再生活動を担当する東京海上日動・経営企画部サステナビリティ室の(左から)菅原 直子さん 西村 薫さん 吉田 雄一さん
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![]() 「海辺の自然再生・高校生サミット in よこすか」の様子
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東京海上日動では他にも、海辺つくり研究会が主催するアマモの研究発表のための「海辺の自然再生・高校生サミット」も支援しています。このサミットでは、全国約20校の高校生たちが集まって意見交換をしたり、企業と一緒にアマモを使った醤油の開発にチャレンジしたりと、未来を見据えて海を守っていくべく、積極的な活動が続けられています。
東京海上日動が大事にしているのは「未来世代への貢献」です。次世代を担う子どもたちのための環境を守り、美しい環境を未来に繋いでいくために、横浜から全国、ひいては地球規模で活動を続けています。環境保護活動にゴールはありません。2、3年で終わりではなく、将来にわたって活動を続けることで、地域とともに持続可能な社会を実現し続けることができるのです。
横浜を守り、横浜らしさを生かし、自らも発展していく
![]() 横浜の海を守ろうと、企業を超えて活動している
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歴史的に縁のある横浜をはじめ、地域に貢献し続ける東京海上日動。横浜は新しい技術やスタートアップ企業が集まる土地でもあり、保険業務においてもデジタル化やイノベーションマインドの醸成といった、プラスの影響は計り知れません。また、国際都市としての横浜の特性を活かし、海外市場との連携など、横浜を拠点としたグローバル視点でのビジネス展開も進めています。
そんな横浜への恩返しとして、また、将来にわたってこの地でビジネスを続けていくためにも、港町・横浜のアイデンティティを守る海の保全活動は欠かすことのできない使命です。東京海上日動は、地域との絆を深めながら、これからも美しい環境を守り、横浜の地らしい持続可能な発展と新たな挑戦を続けていきます。