ライフスタイル企画

2024.12.26

旅企画「目的旅のススメ」

“ホカンス(ホテル+バカンス)”を楽しむ東京最新ホテル3選

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コロナ禍を機に、韓国で注目を集めるようになった“ホカンス”。ホテルとバカンスを組み合わせた造語で、ホテルでの滞在そのものを目的とした休暇の過ごし方を指す。ここ数年、ホテルのオープンラッシュが続く東京も、食事やアクティビティが充実した施設の人気が高まっている。
とはいえ、そこはビッグシティ・東京。銀座、新宿、渋谷といった街に位置するホテルならば、ほんの数分歩くだけで最先端のトレンドや“東京の今”を肌で感じられるメリットも。そこで、“お籠もりステイ”してもよし、街に繰り出してもよし、なハイブリッドな滞在を叶えてくれる最新ホテルを紹介したい。

【銀座】レトロとモダンが共存する銀座の今を体感
『ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目』

2024年5月に旧木挽町、銀座6丁目の銀杏並木が美しい昭和通りにオープンした「ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目」。歌舞伎座 、築地場外市場、銀座三越やGINZA SIXといった人気デパートや、ラグジュアリーブランドがひしめくエリアからも徒歩数分という絶好のロケーションは、外国人ゲストからも注目を集める。

ホテルが掲げるコンセプトは「GINZA POP」。「歴史・文化におけるPOP(=誕生する)」と「デザイン・パターンにおけるPOP」の両方の意味が込められており、レトロとモダンが共存する「銀座」の歴史をホテル内のあちこちに表現している。

例えば2階に位置するフロント・ロビーは、外観同様に季節の変化とともに色づいていく銀杏の葉と調子を合わせた「黄金色」を取り入れ、昭和通りの銀杏の木々が秋風に揺れ、葉が舞い降りる様子を斜めのラインで表現。

客室は歌舞伎座の定式幕の色である柿色(赤)、萌葱色(緑)を取り入れ、地域との繋がりを印象付けている。また、大正から昭和初期に流行した太めのシルエットや丸みを帯びたデザインを客室の家具や床の模様に採用しているのもポイント。

レトロとモダンを融合させたインテリアは温もりにもあふれ、部屋に戻る度にホッとしつつもワクワクした高揚感が押し寄せる。

滞在中、1度は訪れたいのがホテル内2階にあるバー「木挽町クラブ」。イギリスには「パブ」、スペインには「バール」と各国独自のバー文化があるように、ここでは日本独自の「スナック」体験ができるというからユニークだ。ママや仲間とお酒を楽しみながら、語らい、歌い、盛り上がる。そんな体験がホテルで楽しめるとなれば、スナック初心者は安心に違いない。

また、1階には“洋食は和食”をコンセプトに掲げるレストラン「洋食屋 銀座ランプ亭」があり、明治の文明開化を起点として発展を遂げた日本独自の洋食メニューを味わうことも可能だ。

地下1階には宿泊者専用大浴場も備え、客室からパジャマ、スリッパで館内を移動してもOKとゲストフレンドリー。

銀杏の黄金色と銀座の柳の緑色を取り入れた壁面もスタイリッシュだ。

レトロとモダンが共存する銀座の今を体感できる。

『ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目』

〒104-0061 東京都中央区銀座6-16-14
☎︎ 03・3541・1116
総客室数:273室
ツインルーム1室2名利用1名あたり2万2,500円(税サ込み)〜

【新宿】眠らない街のネオンと現代アートが感性を刺激する
『HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel』

多種多様な価値観を持ち、街全体がエネルギッシュな魅力にあふれる新宿・歌舞伎町。その新たなランドマークとして、2023年5月に開業したのが地上48階建ての超高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」だ。

©TOKYU KABUKICHO TOWER

そして、その18階と20階から38階に位置するのが、“街を遊び尽くす”をコンセプトに掲げる「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel(ホテル グルーヴ シンジュク ア パークロイヤル ホテル)」。

オープン以降、インバウンドゲストの予約が殺到し、今も連日満室が続くその理由は、歌舞伎町という怪しくも魅惑的な東京随一の歓楽街をひとつのエンターテイメントとして捉えた点にある。

ホテル名にもある“GROOVE”を体現するかのように、ゲストルームに音楽的モチーフが散りばめられていたり、街のネオンを取り込もうと、あえてリフレクションを配すなど、遊び心にあふれる仕掛けがあちこちに。

また、鷲尾友公氏ら3人のアーティストが手掛けた特別仕様の客室「GROOVE ROOM」もあり、その独創的な内装デザインはまるで秘密基地に滞在しているようでワクワクが止まらない。

圧巻は17階のバー「JAM17 BAR」のカウンターの頭上。新宿の夜を照らし続けてきた街灯や紀伊国屋書店で長年使用されてきた歴史あるテーブルが渾然一体となり、グラスのうえを浮遊。

日本を代表する現代アーティスト、西野達氏が手がけたこの大規模なインスタレーションは、ホテルの“名物”でもあり、世界中から訪れたゲストは皆、必ずカメラに収めていくとか。

ほかにも館内には気鋭のアーティスト達による作品が空間を彩り、訪れる者の感性を刺激する。知られざる名作に触れ、自分だけの“お気に入り”を見つけるのも楽しみの一つだ。

『HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel』

〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー18階・20階〜38階
☎︎ 03・6233・8888
総客室数:538室
プレミアキング1泊1室4万2,262円(税サ込み)〜

【渋谷】時代とともに変化する街の個性を楽しむ
『ホテルインディゴ東京渋谷』

日本では2020年に「ホテルインディゴ箱根強羅」、2022年春から「ホテルインディゴ軽井沢」、「ホテルインディゴ犬山有楽苑」とオープンが続くホテルインディゴ。

その街の個性とその土地ならではの歴史やカルチャーを、ホテルのデザインやアートのほか、ホテル体験を通して土地にある「ネイバーフッドストーリー」をゲストに届けるというクリエイティブも人気で、その存在感は年々高まっている。

2023年8月には渋谷スクランブル交差点にも程近い、大規模複合施設「道玄坂通/dogenzaka-dori」の上層階に「ホテルインディゴ東京渋谷」が開業。

ネイバーフッドストーリーを「個性と色が混在し変化するジャングルシティ」とし、ファッションや音楽を始め、多種多様でカラフルな生命体が育つジャングルのように時代の流れとともに変化し、進化を続ける渋谷の魅力をホテル全体で表現している。

例えば、12階のレセプションエリアには、渋谷の豊かなファッションカルチャーをテーマに、デニム、レザー、パターン、ベルトといったマテリアルの数々を組み合わせたウォールアートがディスプレイ。

また、全272室の客室には渋谷の音楽文化にインスパイアされたデザインを散りばめ、部屋ごとに異なるレコードジャケットが置いてあるなど、そのギミックに目を奪われる。

ビジター利用も可能な11階のレストラン「Gallery 11(ギャラリーイレブン)」もまた然り。渋谷をテーマに描かれた魅力的なアート作品がいたるところに飾られ、街との繋がりを感じられる。

ちなみに、館内のあちこちで目に留まる直線的なデザインは、渋谷スクランブル交差点がモチーフ。そんな細かなディテールに気づく度に、なんだかうれしくなってくる。

遊び心に富んだライフスタイル・ブティックホテルで感性を磨く。そんな“ホカンス”も面白い。

『ホテルインディゴ東京渋谷』

〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-25-12
☎︎ 03・6712・7470
総客室数:272室
ツインルーム1泊1室4万8,000円(税サ込み)〜

構成・文/一寸木芳枝

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