三菱のアート

2025.08.21

静嘉堂@丸の内で新たな美術体験を!

「よくわかる神仏と人物のフシギ」展は
まるっと展示替えして後期に突入!

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丸の内の静嘉堂文庫美術館で9月23日まで開催されているのが、美術初心者も子どもも楽しめる「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」だ。タイトルに「絵画入門」とあるとおり、絵画のなかでも分かりにくい神や仏を描いた絵画と人物画をテーマにしたこの展覧会は、展示や解説に工夫が凝らされている。その様子を紹介しよう。

展示室にオリジナルキャラ出現! 子ども向け解説だけで十分わかる展覧会

展示室「Gallery1」で最初に目にするのは美術館からのご挨拶。どんな展覧会なのか…と読む人は多いだろう。そこにも登場しているのが、本展の案内役を務める聖徳太子くんと霊照女(れいしょうにょ)ちゃん。イラストレーターの伊藤ハムスターさんが、本展のために描き下ろしたオリジナルキャラクターだ。彼らの仕事ぶりを見てみよう。

まずはご挨拶。霊照女は、中国唐代の仏教徒・龐居士(ほうこじ)の娘。竹籠を売り歩き両親に孝行したことで知られる。

聖徳太子くんと霊照女ちゃんが、制作の意図や見どころを子どもでも理解しやすいようやさしい言葉で解説。漢字に読み仮名がふってあるのも嬉しい。こういった解説を読み…

全体を眺め…

見どころをじっくり見れば、彼らの解説に「なるほど!」と感じ入るはず。

ちなみに、作品名や制作年、来歴などが記されたプレートに付けられた作品キャッチ(写真の赤字部分)にもご注目を。静嘉堂文庫美術館の学芸員によるこの秀逸なキャッチは、作品をひと言で言い表したり見どころをズバッと言い得ている。作品名とともに覚えておくとより理解が深まるはずだ。
※「当麻曼荼羅」の展示は前期で終了

「夏休み期間中の展覧会ということもあり、お子様にも楽しんでいただけるよう努めました」とは、本展担当学芸員の藤田紗樹さん。「子ども向け解説とはいえポイントはしっかり押さえていますので、大人の方がこの解説だけを読みながら鑑賞されても十分堪能していただけると思います」とも。ホワイエで無料配布している「謎解きワークシート」に回答すると聖徳太子くんか霊照女ちゃんのスタンプがもらえる。

ワークシートを片手に鑑賞するのは、まるで学校の屋外授業のよう。全問正解できるか!?

がらりと展示が変わった後期が開催中。前期を見た人も、何度でも!

この「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」では会期半ばで展示替えが行われ、前期と8月13日からの後期では、鑑賞できる内容がほとんど変わった。後期展示の目玉作品をおさらいしておこう。

まずはチラシのメインビジュアルにも使われている「春日宮曼荼羅」。古来日本人が信じてきたのは八百万の神。そこに新しく仏教がもたらされたため、神さまも仏さまもどちらも大切、さぁどう折り合いをつけるのか――を解決したのが本作だ。なんと「仏が神の姿を借りてやって来た!」という、奇想天外にも思える発想で描かれている。

重要美術品「春日宮曼荼羅」後期展示
南北朝時代・14世紀 (公財)静嘉堂蔵

前期は「年中行事絵巻」に基づく右隻を、後期に「承安五節絵」に基づいて描かれた左隻を展示しているのが「大内図屛風」。院政期の宮廷行事を題材にしたもので、現在展示中の左隻には高倉天皇も参加した五節会が描かれているが…竹の植え込みに隠された人物が天皇とか。神仏の姿は見えないのと同じように、天皇の姿を描くことが憚られたための策と思われる。

「大内図屛風」左隻 後期展示
江戸時代・17~18世紀 (公財)静嘉堂蔵

宝珠を取り返すため、壮大な長期計画を実行した藤原鎌足の物語が描かれた絵本『大織冠』も後期展示中だ。海底に棲む竜王に宝珠を奪われ、「海の底なら海女さんだ!」と海女の女性と結婚し、子どもをもうけるなどして信頼関係を築いたのち、その妻に頼んで…と、何年にもわたる壮大なこの物語は、舞曲「幸若舞」として演じられたり、本作のように屛風に描かれたり、歌舞伎や浄瑠璃の題材にもなった。静嘉堂版は小さな本に絵と文章で綴られている。

『大織冠』(部分)後期展示
江戸時代・17世紀 (公財)静嘉堂蔵

風景画や静物画とは違い、何が描かれているのか理解しにくい神さまや仏さまを描いた絵画。物語や史実を描いた人物画は、さらにその絵が何を語っているのかが分からなければただの「人が描かれた絵」だ。それでも表現の仕方や技法、色彩などを楽しむことはできるが、より深く味わうためには多少の知識は持っていたほうがいい。事前に勉強せずとも、作品を前にしてさっと解説を読めばより鑑賞が楽しめる――そんな静嘉堂文庫美術館での「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」へ、足を運んでみてはいかがだろう。8月21日(木)には藤田さんが作品の前で解説する3回目のギャラリートークも。「作品の理解が深まるだけでなく、解説文には書かれていないお話も聴けてとてもためになる」と大変好評だ。

美術館データ

静嘉堂文庫 静嘉堂文庫

「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」

Introduction to Painting:
A Guide to the Wonderful World of Gods, Buddhas, and Humans


会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内/東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階)


会期:2025年9月23日(火・祝)まで
※前・後期でほぼすべての作品を展示替え

会期中休館日:月曜日(ただし、9月15日、9月22日は開館)、9月16日(火)開館時間:10時~17時


開館時間:10時~17時
第4水曜日は20時閉館、9月19日(金)と9月20日(土)は19時閉館、いずれも入館は閉館の30分前まで


入館料:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
※毎週木曜日はトークフリーデー(気兼ねなく会話をしながら鑑賞できます)


【関連イベント/ギャラリートーク】

日時:8月21日(木)12時30分~13時
集合場所:静嘉堂@丸の内ホワイエ ※参加無料、ただし当日の入館券が必要


問い合わせ:☏ 050・5541・8600(ハローダイヤル)

ホームページ https://www.seikado.or.jp/

X(旧Twitter) @seikadomuseum

instagram @seikado_bunko_artmuseum

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一般入館料200円割引券

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<会期中の2025年9月23日(火・祝)まで>

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