2025年1月1日、群馬・前橋で実業団日本一を決める全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)が開催される。三菱重工マラソン部は16年連続29度目の出場。2023年は4位入賞、2024年では4年連続の入賞となる5位入賞を果たし、2025年は悲願の初優勝に期待がかかる。
三菱重工マラソン部は1982年に長崎を拠点に創部。多くの実業団チームが「陸上部」といった名称で活動している中、マラソン選手輩出を目標として「マラソン部」を掲げているチームは三菱重工マラソン部だけ。「長崎から世界へ」をスローガンに、坂が多い長崎の地形を生かして足を鍛え日々練習に励んでいる。ニューイヤー駅伝に向けた意気込みを2024年度から主将を務める山下 一貴選手と、吉岡 遼人選手に聞いた。
山下 一貴 ICHITAKA YAMASHITA
1997年生まれ。長崎県出身。駒澤大学を経て三菱重工マラソン部5年目。2023年には世界陸上 男子マラソンに出場し11位と健闘。スローガン「長崎から世界へ」を体現する。
吉岡 遼人 RYOTO YOSHIOKA
1998年生まれ。滋賀県出身。立命館大学を経て三菱重工マラソン部4年目。2024年11月開催の九州実業団毎日駅伝大会では、チームとして5大会ぶりの区間賞(3区)を獲得し、チーム6位入賞に貢献。
仕事とハードな練習を両立、選手の一体感が強さの秘訣
――普段の一日のスケジュールを教えてください。
山下 一貴(以下、山下)月曜日から土曜日までは朝6時から練習が始まります。基本は60分間の集団走で、14〜15kmを走ります。7時半から寮で朝食を食べて、9時前に出社。仕事をしたあと午後3時半からまた練習です。午後は距離を踏む練習やレースペースの練習など日によってメニューが違います。日曜日は基本的にはフリー(自主練習)。試合の予定に合わせて、強度の高い練習を入れるなどしています。
――三菱重工マラソン部の特徴や強みは?
山下:ほかの上位チームと比べると、大学の頃からいわゆる「スーパースター」として目立ってきた選手は少ないかもしれません。それでも毎年ニューイヤー駅伝で入賞できているのは、2023年度まで21年間監督を務めていた黒木 純総監督が、戦い方のベースをつくり上げてきたから。また、定方 俊樹選手、井上 大仁選手とタフなベテラン選手が若手を引っ張っていることも安心感につながっています。
吉岡 遼人(以下、吉岡):毎朝の集団走などまとまって行動することが多く、それがチームの一体感を生んでいます。職場の方からの応援やサポートが手厚く、よい環境のなかで練習が行えることも強みだと思います。地元の方のあたたかい応援にも支えられていますね。
――YouTube「三菱重工スポーツチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCgNZzjdQOmdl9kuIhV_mCPg )でも皆さんの和気あいあいとした様子がよく分かります。
吉岡:そうなんです。選手同士の仲がよく、会話が多いチームだと思います。
山下:2023年度まで3年間キャプテンを務めた的野 遼大選手兼コーチが、コミュニケーションを意識していいチームをつくり上げてくれたのだと思います。
――長距離走は孤独な戦いというイメージがあるのですが、チームのコミュニケーション力やチーム力はやはり必要ですか。
山下:はい、必要です。強い選手が引っ張っていくことで全体が強くなりますし、その強い選手を超えたいという選手がいることで、強い選手がさらに強くなる。互いに引っ張り合って伸びていきます。それに、一人で練習しているように思われることが多いのですが、実際は練習パートナーをつけて練習することがほとんどで、一人で成り立つものではないので、チーム力はとても大事なんです。
1区から目が離せない! 思いはひとつ、区間記録にも注目
――競技に取り組むうえで大切にしていることはなんですか。
山下:キャプテンとしては的野キャプテンに引き続き、できるだけコミュニケーションをとることを心がけています。走りにおいては「トレーナーさんのことを信じること」。自分の感覚と客観的に見えるものは違うので、どこを補強すればもっと強くなれるか、自分の感覚だけでなくトレーナーさんのアドバイスも大切にしています。
吉岡:「感謝の気持ちを忘れないこと」です。競技ができることを当たり前だと思わず、応援やサポートをしてくださる方々に感謝し、結果で恩返しができるようにがんばっています。
――ニューイヤー駅伝の見どころは?
山下:1区から見どころいっぱいです。三菱重工としては、ベテラン選手の力強い走りはもちろん、今年度のイチ押しである吉岡選手の走りにも注目です。吉岡選手は11月の九州実業団駅伝(ニューイヤー駅伝予選)で区間賞を獲得、今シーズン乗っている選手です。
――山下選手のイチ押し選手である吉岡選手の目標は?
吉岡:チームとしては優勝。個人としては、自分の区間で勝負を決める走りをすることです。区間3位以内を目指しています。
――山下選手の目標は?
山下:同じくチームの目標は優勝、個人としては区間3位以内です。
――山下選手はレース後に見せるすがすがしい笑顔が「イチタカスマイル」と呼ばれて人気ですが、レース前に緊張することはありますか。
山下:自分はかなり緊張するタイプです。緊張しすぎるので、スタート直前までずっとしゃべって気を紛らわせています。周りの選手からしたらうざかったりするかもしれないですけど(笑)。走り出した瞬間に緊張が解けます。
――そうなんですね。最後に「マンスリーみつびし」読者にPRをお願いします。
吉岡:三菱重工マラソン部を応援してくださってありがとうございます。今年から監督、キャプテンが代わり新チームとしてスタートしました。若手が中心となり、チームを引っ張っていくことに難しさを感じる一年でしたが、その分、多くの経験を積むことができた年でもありました。ニューイヤー駅伝優勝に向け、チーム一丸となってがんばりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。
山下:優勝して「イチタカスマイル」を見ていただきたいと思います(笑)。がんばりますので応援よろしくお願いします!
【公式HPやSNS】
◆三菱重工マラソン部WEBサイト
https://www.mhi.com/jp/company/sports/marathon/
◆三菱重工マラソン部 X
@mhings_marathon
◆三菱重工スポーツチャンネル(YouTube)
https://www.youtube.com/channel/UCgNZzjdQOmdl9kuIhV_mCPg