構造物・重防食用塗料や建材用塗料を中心とした総合塗料メーカーであり、構造物の防食塗料においては業界トップシェアを誇る大日本塗料。東京スカイツリー、明石海峡大橋などの鉄塔や橋梁、さまざまなビルの鉄骨から内装・外装、さらに電車、自動車、高速道路、農業・建設機械⋯⋯私たちの暮らしを塗料の面から支えている。その北関東営業所を訪ねた。

大阪に本社がある大日本塗料は、東京営業本部と2か所の工場・研究部門のほか、全国に18の営業所を有する。その営業所のひとつ、埼玉県久喜市にある北関東営業所は、埼玉営業所（埼玉県さいたま市）と北関東営業所（栃木県小山市）が統合され、2023年4月から始動した。久喜駅から徒歩4分の真新しいオフィスには大日本塗料の製品を使ったデスクが並び、新メンバーが北関東4県（茨城・栃木・群馬・埼玉）の塗料販売代理店に対するセールスサポート、ユーザーフォロー、官公庁への提案などの活動を行っている。

松永 多聞さんは一般建築用塗料を中心に、埼玉の営業販売を担当する。一般建築といっても建築物の外装や内装だけでなく、水道管内部なども手掛けている。入社1年目は東京営業本部の建築塗料事業部、2年目からは4年間、埼玉営業所に勤務。北関東営業所では唯一の20代だ。取引先は官公庁もあれば、地元の塗装会社もある。

「塗装会社社長というと経験豊かな職人気質の方が多く、最初はとっつきにくいイメージを持っていたのですが、皆さんとても大らかで気さくに話してくださいます。そんなお客様に感謝いただきたいという思いが、やり甲斐となっています」（松永さん）

増田 大介さんは工業用塗料を中心に茨城・栃木の販売を担当している。これまで手掛けたものは魔法瓶や物置などから、アルミサッシなどのビル建材と製品の大きさもジャンルも幅広い。そのため取引先も塗装会社から、メーカー、大手ゼネコンと幅広く担当している。それぞれの仕事にそれぞれのやり甲斐があるが、色提案に関していえば一般消費者が手に取る工業製品は微妙な色みの違いが売り上げに影響するため特に厳しいという。

「工業製品の場合、お客様と一緒に話し合って色を作り上げるオーダーメイド品であることが多いですね。色提案や試作のご提案のスケジュール管理が仕事において大きな比重を占めます。納期に間に合うかどうかといった問題にぶつかったときに、臨機応変に対応できるよう日々試行錯誤しています」（増田さん）

石井 順一さんも増田さんと同じく工業用塗料の販売を中心に、埼玉・栃木を担当している。塗料はピカピカに美しく仕上げるものとは限らない。「使い込んで古ぼけたような味わいを出してほしい」と依頼され、その要望にいかに応えられるか苦労した経験を持つ。

「これまで東京、千葉、埼玉、東京、名古屋、大阪と各地を回り、再び埼玉に戻ってきました。これまでの経験を埼玉に生かしていきたいと思っています。幅広いご依頼を手掛けていきたいですね」（石井さん）

内勤の山下 久美子さんは、埼玉・群馬地区の受注担当、松浦 かおるさんは栃木・茨城地区の受注担当だ。電話やメールで注文を受け、発送までを管理する。製品にはそれぞれ品番が付いているが、同じ色でも容量の違いによって番号が異なる。オーダーメイド品も含めると商品数は約30万品目にものぼるという。

「『前回作った塗料と同じ色』『あの色とこの色の中間』など、お客様によって注文方法に個性があるので、内容を正確に汲み取って間違いのないようお届けするよう日々努めています」（山下さん）

「在庫品はもちろん、色を混ぜ合わせて作る調色品も午前10時までにいただいたご注文は、すぐにエリア内の調色場に伝えて当日出荷します。毎日10〜20件の調色品のご注文があるので午前中は時間に追われていますね。納期厳守です」（松浦さん）

営業担当社員たちは「内勤の皆さんがお客様や工場の間に立って正確にやりとりしてくれているので、自分たち営業担当の仕事もスムーズにできる」と、メンバーの連携に日々感謝している。このチームワークの中心となってまとめあげているのが、北村 哲也さんだ。バリバリの関西弁で北関東営業所全体を盛り上げる。

「メンバーは20代から50代まで各世代がバランスよく所属しています。北関東4県は製造業が盛ん。久喜は北関東4県どこにでも行きやすい場所ですので、皆で力を出し合い一丸となって、お客様のご要望に応えられるよう、そして売り上げを伸ばしていけるよう運営していきたいですね」（北村さん）

塗料に関する豊富な知識と経験を持つ多様なメンバーが集結した北関東営業所。本社からも、また地域の顧客からも期待が高まっている。