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2023.06.01

三菱重工業

MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES

三菱重工グループが2040年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを網羅するハンドブックを公開

2021年10月、三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成を目指す「MISSION NET ZERO」を宣言した。政府が掲げる2050年よりも10年早く達成するという厳しい目標。その達成に向け、同社グループでは世界中のパートナーと協調しながら新たなソリューション・イノベーションの実装に邁進している。その多岐に渡る取り組みを紹介する「三菱重工グループ カーボンニュートラル ハンドブック」がステークホルダー全般に向けて、2022年12月からホームページで公開されている。

作成に際し、まとめ役を務めたのが成長推進室 事業開発部の一芝省吾さんだ。一芝さん自身、以前は火力発電設備向けのアフターサービス部門に在籍し、燃料を天然ガスから燃焼時にCO2を排出しない水素に転換することで脱炭素化を目指すプロジェクトに携わっていた経験を持つ。

「当社グループでは、エナジートランジションに向けた取り組みを、既存インフラの脱炭素化・水素エコシステムの実現・CO2エコシステムの実現の3本の柱で定義し、それぞれの領域において各事業部が取り組みを進めています。それら多岐に渡る取り組みを網羅したハンドブックの作成は、今後、新たな事業の開発を進めるうえでも必要だと考え、事業開発部が作成の旗振りを行いました。各事業部の担当者にはとても前向きに協力いただき、内容を充実させるためのさまざまな工夫や提案をもらいました。私自身もそうでしたが、前線にいる社員こそ、カーボンニュートラルに向けた取り組みと、それを社外へも発信していくことの必要性を認識しているのだと思います。また、ハンドブックに掲載した『カーボンニュートラル ロードマップ』のように、取り組みを俯瞰して示すことで、市場のニーズや成長領域との結びつきも分かりやすくなったのではないかと思います」(一芝さん)

作成期間は約半年。「短期間でまとめたので、まだ改善要素は多分にある」としつつも、「市場の関心が日増しに高くなるなかで、一日でも早く公開することに意味があった」と語る。

「通常はこうしたハンドブックに掲載する製品はすでに完成しているものだと思いますが、このハンドブックには将来の需要を見据えて開発中の製品・ソリューションも多く掲載しています。例えば、水素ガスタービンは技術的にいつ社会に実装可能なのか。それを広く見える化することで、社会実装に向けた計画の具体化に寄与する面もあるのではないかと思います。ハンドブックは今後も適宜更新し、最新情報を発信していくつもりです」(一芝さん)

ハンドブックを通じて企業間連携の一助となれば

三菱重工は、脱炭素社会の実現を牽引する次世代のイノベーター1,000人の輩出を目指して2021年に発足した「Green Innovator Academy(グリーンイノベーターアカデミー)」に参画。一芝さんはそのプロジェクトに第一期生メンバーとして参加したつながりから、2023年春学期に関西学院大学で開講された新科目「Green innovation」のゲスト講師を務めた。

「GX(グリーントランスフォーメーション)領域での事業開発においても、一線で活躍されている方から学生の皆さんまで、さまざまな人たちの意見に触れ、議論をする場は大変貴重で、こうした機会があれば積極的に参加するようにしています。正解がないなかではありますが、学生の皆さんもアンテナを高く持ち、表面的な『よい・悪い』といった情報に流されることなく、さまざまな事柄を複合的に考えながら理解を深めていることが印象的で、多くの気づきをいただいています。企業も政策を考える人も学生もみんな同じ。それぞれの立場でできることは何かを考えながら、社会全体が着実に一歩ずつ歩みを進めていることを実感します」(一芝さん)

こうしたなかで、一芝さんはGXには社内外の連携が必要だと考える。

「三菱グループにはGXに貢献する技術、ソリューションを持つ企業がたくさんあります。エナジートランジション、カーボンニュートラルの達成には企業間や産官学の連携がこれまで以上に重要になってくると認識しています。すでに日々、さまざまなところで連携させていただいていますが、本ハンドブックを通じて当社の幅広いソリューションについての認知が深まり、新たな連携のきっかけになればと願っています」(一芝さん)

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

一芝省吾  SHOGO ICHISHIBA

成長推進室 事業開発部

三菱重工業株式会社

東京都千代田区丸の内3-2-3
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、人々の豊かな暮らしを実現します。