各社のトピックス

2023.07.20

ピーエス三菱

P. S. MITSUBISHI CONSTRUCTION

洪水を二度と起こさないために⋯⋯ピーエス三菱、使命感をもって取り組む、約3.5kmの河川改修工事

強度、耐久性に優れたPC(プレストレストコンクリート)ゼネコンで国内トップを誇り、数多くのプロジェクトをリードしてきたピーエス三菱。東日本大震災の復旧・復興関連事業をはじめとする激甚災害への対応や、インフラの老朽化対策を主眼とする国土強靭化政策の推進にも多数携わってきた。

そのピーエス三菱が、現在、岩手県の災害に強いまちづくりに参画している。岩手県北東部に位置する岩泉町は、2016年8月に発生した台風10号で観測史上最大の洪水流量が観測され、町を流れる小本川と清水川が氾濫。死者、行方不明者、関連死を合わせ県内で29人が犠牲となり、流域では床上浸水723戸、床下浸水121戸という甚大な被害が発生した。

再び同レベルの豪雨が発生しても河川が氾濫しないよう、激甚災害に指定された区間について約3.5kmにわたり河川を改修。川底に堆積した土砂を撤去し水が流れる面積を広げる河道掘削を第一に、護岸を下方へ継ぎ足す、あるいは堤防を高くするほか、橋梁の架け替えを実施している。

同社土木本部土木部土木グループリーダーの斎藤 和也さんは「大規模な工事を一括して請け負うことができるのは当社の強み」と語る。

「河川改修をするにあたり、被災した旧橋の撤去、および河川幅の変更に応じて橋の架け替えがあり、橋梁上下部工3橋、橋梁下部工1橋を行っています。当社は橋梁の撤去と新設どちらにおいても豊富な経験と優れた技術があり、別途発注しなくても、下部工から上部工まで一括して工事を行うことができます」(斎藤さん)

「災害後も暮らし続けたい」住民の思いを叶えたい

同社土木本部土木部部長代理の鈴木 仁さんは、激甚災害にあたっての工事の難しさを語る。

「通常の河川改修の場合は、ある程度、用地の買収が済み、施工方法も決定してからの発注になるので、発注者の意向の通りに進めることができます。激甚災害の場合は、災害が起きてからすぐに発注されるので、その段階では用地買収が進んでおらず、施工方法も決まっていないことが多い。そういったなかで工事を進めていく場合、例えば、下流側から工事したくても用地買収が進んでいなければ、効率が悪くてもできるところから進めていかなくてはなりません。施工方法・施工範囲も状況によって二転三転します。用地についても施工範囲だけでなく、工事用道路も関わってきます。そうしたことに柔軟に対応できる知見と、発注者とともに円滑に工事を進めていく技量が必要です」(鈴木さん)

河川改修工事は川の流れの速度、深さ、堤防の高さなどさまざまな条件が関わってくる。また、川の流域にある学校や役場、商業施設などの建造物も関係する難しい工事だ。ピーエス三菱は、それらをすべて考慮しながら発注者にアドバイスできる。

「岩泉町を流れる小本川は2022年8月にも氾濫危険水位を超えたことがありました。河川改修工事の最中も危険が伴います。施工中も被害を最小限に抑えるよう細心の注意を払いながら、『災害後も愛着ある土地から離れたくない、住み続けたい』という住民の皆さんが安心して暮らしていけるよう、使命感をもってできるだけ早く完成させることに注力していきたいと思っています」(鈴木さん)

小本川と清水川の改修工事は、2027年に完成予定だ。

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

鈴木 仁  JIN SUZUKI

土木本部土木部部長代理

インタビュアー写真

斎藤 和也  KAZUYA SAITO

土木本部土木部土木グループリーダー

株式会社ピーエス三菱

東京都港区東新橋1-9-1
東京汐留ビルディング18階
1952年の創立以来、PC技術の日本のパイオニアとして、各種の建設工事に数多くの実績をあげてきた。土木・建築部門においては企画・設計から施工、メンテナンスまで、構造物のライフサイクル全般にわたる一貫したサービスを提供する。耐震性や長寿命化に優れるPC技術で、人々を災害から守り、経済の発展に寄与する強靭な社会資本の新設を行う。