各社のトピックス

2023.07.27

三菱HCキャピタル

MITSUBISHI HC CAPITAL

三菱HCキャピタル、設備や予備品を企業間で融通する新サービス『UZoo-Box』をスタート

三菱HCキャピタルが新しいサービス『UZoo-Box(ゆうずうぼっくす)』を2023年4月にスタートさせた。不稼働となっている設備や予備品を売りたい企業と、これらを買いたい企業をマッチングさせ、互いに「融通する」ことを目的としたサービスだ。BtoB版のフリマアプリをイメージいただけると分かりやすいかもしれない。

現在、自動車部品、半導体、電気・精密機器、造船、食品、印刷と幅広く製造に関わる大手企業が参加している。このサービスを始めた背景・理由について、同社 営業DX戦略部の堀 惇一郎さんは次のように語る。

「当社の営業担当者が、製造業のお客様を訪問した際、『使わなくなった工場の設備が余っており、保管スペースを圧迫して困っている』というニーズをうかがいました。年式の新しい設備の場合、売ってしまうと除却損が出るため、売りに出せない。他方で、生産コストを下げるために中古設備を探している企業も多い。両者をマッチングできると、産業全体に貢献し、また、サステナビリティ・サーキュラーエコノミーの観点でも貢献できるのではないかと考えました。年式が新しい設備に関しては、一定期間シェアリングして、簿価が解消した時点で売ることができる仕組みを設け、シェアリングと売買がセットでできるようにしています。検証を進めるなかで、設備の部品(予備品・補修部品)についても融通ニーズが大きいということが分かり、対象範囲を広げてきました」(堀さん)

『UZoo-Box』には、企業が参加しやすい四つの特徴がある。一つ目は、会員制サービスであること。参加企業を限定することで出品物件の品質や取引の安全性を保っている。二つ目は、参加企業の全員が閲覧できる「共通ボックス」のほかに、「グループボックス」機能を設置していること。グループ企業や協力企業など、関連企業のみでグループを形成して検索・閲覧できるようになっている。はじめに、グループボックスに出品し、関連企業にニーズがあるか否かの様子をみて、反応がなければ共通ボックスに出品する、あるいは、機密性の高いものはグループボックスでの出品にとどめるといった使い方ができる。三つ目は、原則、匿名で完結できること。情報漏洩の心配を低減することができる。最後の四つ目は、リクエスト機能があること。ほしい物件を投稿しておくと、出品企業に知らせることができ、出品の可能性が高まる。質問機能もあるため、直接に価格交渉も可能だ。

契約に際しては、三菱HCキャピタルが仲介し、出品企業と三菱HCキャピタル、購入企業と三菱HCキャピタルがそれぞれに契約を締結する。代金は、まずは三菱HCキャピタルが受領、物件が納品されたあとに出品企業に支払う仕組み。

会社として初めての試みだが「画期的」と好評

このようなオンラインサービスは同社では初めての試み。同社は経営ビジョンの一つに「デジタル技術とデータの活用によりビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上を図る」ことを掲げ、本年5月には経済産業省が定める「DX認定事業者」にも認定された。社内での調整には苦労したが、『UZoo-Box』には社としての期待がかかっている。同社 営業DX戦略部の河上 佳世子さんは、「3月まで、実証実験として多数の企業に利用いただいており、とても好評」と語る。

「出品企業様からは、『画期的である』『会員企業のみであるため、安心して取引ができる』といったお声をいただいています。購入企業様からは予備部品の反響がかなり大きいですね。『長納期部品や生産停止の部品も程度のよいものが手に入る』『必要な設備や予備部品を安価に購入できる』といったお声をいただいています」(河上さん)

今後は、出品物件を増やし、よりサービスを活性化させていくつもりだ。

「現状は設備などを利用する企業様の間での売買となっていますが、今後はメーカーや商社といったサプライヤーの方にも出品いただける形にしていきたいと思っています。最近は、機器のサブスクリプションサービスを行っているメーカーも出てきていますが、使われなくなった機器はメーカーに戻ってきます。その中古品をどうするか、課題があると聞いています。『UZoo-Box』に出品いただくことで、購入希望企業様とマッチングできる。さらに使い勝手をよくしていき、産業横断的なデジタルインフラにしていきたいですね。将来的には海外への展開も考えています」(堀さん)

「三菱グループには製造業の皆様も多数いらっしゃいますので、ぜひご参加いただきたいですね。先々には、三菱グループボックスを設けて、グループ内で設備や予備品を融通して三菱の輪を広げつつ、グループの発展に寄与したいと考えています。まだ始まったばかりのサービスです。実際にご利用いただき、その改善点、あるいは、製造の現場での困りごとなど情報共有の面でも助けていただけるとうれしいです」(河上さん)

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

堀 惇一郎  JUNICHIRO HORI

営業DX戦略部

インタビュアー写真

河上 佳世子  KAYOKO KAWAKAMI

営業DX戦略部

三菱HCキャピタル株式会社

東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング
2021年4月に三菱UFJリース株式会社と日立キャピタル株式会社の合併によって誕生。
ファイナンスに加え、データアセットの潜在価値を最大限に引き出しつつ、それらを活用したサービスや事業経営などに取り組むことで、「ビジネスモデルの深化、積層化」を進めています。