「三菱ふそうトラック・バス（ＭＦＴＢＣ）の小型トラック「キャンター」は、世界70以上の市場で販売されている。国内外で高い評価を受けるこの「キャンター」は、2023年3月に誕生から60周年を迎えた。

また、世界的な脱炭素化への動きが高まる中、2017年には国内初の量産型電気小型トラックとして、走行時にCO2などの排出ガスを一切出さない「eCanter」を発表した。2020年に先進安全装備を搭載した二代目を経て、キャンター誕生から60年の節目となる今年3月には、フルモデルチェンジした三代目となる新型「eCanter」を発売した。

「キャンター」とは、英語で馬が駆け抜けることを意味する。初代キャンターは、高度経済成長期で輸送が長距離・高速化した1963年3月に誕生。視界が広く運転操作が容易な、2トン積みの本格キャブオーバータイプのT720型が発売された。ＦＵＳＯブランドとして、小型トラックの分野に初めての参入だった。同車両は、68馬力の高性能小型ディーゼルエンジンを搭載し、優れた走行性能に経済性を兼ね備えた車として高い評価を受けた。

誕生間もない1960年代から販売地域を国外にも拡大。インドネシアでは、小型トラックのセグメントで過去48年間トップのシェアを維持し、ロングセラーとなっている。現在12の海外市場でノックダウン生産（部品を輸出し、現地で組み立てる生産法）が行われているほか、完成車もアフリカや中南米、中近東も含め世界60ヵ国以上に輸出され、グローバル市場において小型トラックのセグメントをけん引している。

誕生から60年。快適性や走行性能のみならず、省燃費の実現やハイブリッド技術による環境性能の実現、耐久性と快適性の追求、先進安全技術の開発による安全性の強化や、スタイリッシュな外観の採用など、時代に合わせて挑戦を続けてきたキャンター。2020年には、ＦＵＳＯブランドを象徴する「ブラックベルト」デザインに外装を一新したモデルが登場し、国内の小型トラック初の左折時巻き込み防止装置「アクティブ・サイドガード・アシスト」を搭載するなど、さらに進化を続けている。

「長い歴史を通じて受け継がれてきたのは、『お客様と社会のために、常に先進であること』という先駆者精神です。キャンターは、その先進性を磨き、より安全かつ安心で新しい走りを実現するトラックとして、今後もさらに進化を続けていきます。」（武村 真理さん）

1968年:2代目キャンターT90型シリーズ
初のフルモデルチェンジ。ゆとりある積載効率と3タイプのダイナミックパワーのエンジンを搭載

1973年:3代目キャンター T200型シリーズ
2.5トン・3トンがバリエーションに追加、ディーゼルの2700CC・80PS エンジンを搭載

1978年:4代目キャンター
ワイドキャブ車が新たに登場し、ゆとりのあるキャビンとマルチユースレバーなどを装備

1985年:5代目キャンター
新開発の130PSターボエンジンを搭載し、安全性、操作性やキャビンの心地よさなどを追求

1993年:6代目キャンター
空気性能に優れたラウンドキュービック型キャブが人気を博した

2002年:7代目キャンター
フルモデルチェンジし、世界基準のパフォーマンスを追求

2006年:キャンター エコ ハイブリッド
独自のハイブリッド技術で省燃費、CO2低減を実現

2010年:8代目キャンター
フルモデルチェンジ。トラック世界初のデュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC®」や、新開発の「4P10」型エンジン、国内小型トラック初の「BlueTec®システム」を採用

2016年:インテリアを改良したモデル
快適性を高め、国内トップレベルの燃費性能を実現

2017年:電気小型トラック「eCanter」
国内初の量産型電気小型トラック