各社のトピックス

2023.10.26

三菱鉱石輸送

MITSUBISHI ORE TRANSPORT CO., LTD.

三菱鉱石輸送が自動車船で世界初のグリーンアウォード認証取得、業界トップレベルの高品質が世界で認められる

「これがゴールではない」

三菱鉱石輸送・船舶管理グループ長の近藤 武さんと営業グループ長の油野 竜也さんは、そう力強く語った。2023年4月、三菱鉱石輸送が保有・管理する自動車専用船とケープサイズ型ばら積船の船舶管理品質の高さが評価され、「グリーンアウォード認証(GreenAward Certificate)」を取得した。ばら積船では日本初、自動車専用船では世界初の認証取得となった。

グリーンアウォード認証を行うグリーンアウォード財団は、1994年にオランダ運輸省とロッテルダム港湾局が設立したクオリティーシッピング推進のためのNPO法人で、非常に厳格な検査を実施し、認証を受けた船舶に対しては入港料、港費、海上保険料割引などのインセンティブが与えられる。現在、世界約270隻の船舶が認証を受けている。

三菱鉱石輸送は経営方針の一つとして、「業界トップレベルの安全航海を追求する」ことを掲げ、高品質の船舶管理を実現。環境保全についても国際海洋汚染防止条約の趣旨を尊重し、船内廃棄物の完全分別収集とその適正な処理、最新の排ガス規制に対応したディーゼルエンジンの搭載に加え、LNG燃料船の保有にも積極的に取り組んでいる。その同社をもってしても、グリーンアウォード認証取得は「かなり大変でした」と近藤さんは振り返る。

グリーンアウォードでは安全運航は当然のこととして、そのうえでさらに環境や船員の労働環境に対する取り組みにも独自の基準を設け、要求事項をすべて合わせると約500にものぼる。たとえば、船上ではエンジン音が聞こえるが、その騒音の影響を最小限に抑えるため騒音計を配置したり、イヤープラグなどの保護具を支給したりといった対策が求められる。

こうした世界最高レベルの要求項目が並び、ハードルが極めて高いからこそ、三菱鉱石輸送はチャレンジする意義があると考え認証取得に至った。

船員教育にも力を入れ、一丸となって品質維持に取り組む

高い品質を維持するためには、船員一人一人の意識を高めていくことも大切だ。約700人のフィリピン国籍の船員を抱える同社では、船員教育にも力を入れている。その取り組みの一つが早朝に行っている「Early Birdセミナー」だ。コロナ前までは乗船前ブリーフィングを行っていたが、コロナ禍でオンラインを有効活用し、乗船前でなくてもそれぞれの都合のいいタイミングで参加できるよう、同じテーマのセミナーを複数回開催。安全に関する注意事項や船舶に関する最新情報などを繰り返し伝えている。

「セミナーを繰り返し開催することで船員の意識が以前にも増していっそう高まりました。講師は、実際に本船をオペレーションしている営業担当者や船舶管理の現場監督、監督を取りまとめている管理職です。セミナーを通じて担当者と船員との連携も密になり、相乗効果で知識レベルを上げていくことができています」(油野さん)

近藤さんは「グリーアウォード取得したからおしまいではなく、今後も品質の維持とさらなる向上をめざす」と語る。

「グリーンアウォードでは、環境に関する項目を新しく追加していっています。我々は常にフォローアップしていかなければなりません」(近藤さん)

「近年、船舶事故による石油の流出やサンゴ礁の破壊などが報じられています。事故を起こすと安全が損なわれるだけでなく環境破壊にもつながる。すなわち安全運航と環境保全はセット。これらを両立させることで顧客の信頼や企業価値を高めていけるということは社内の共通認識として持っています。グリーンアウォード認証取得をゴールとせず、進化し続ける業界スタンダードにいち早く対応し、今後も最高品質を維持していきたいと考えています」(油野さん)

三菱鉱石輸送は引き続き努力を重ね、海運業界をリードしていく。

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

近藤 武   TAKESHI KONDO

船舶管理グループ長

インタビュアー写真

油野 竜也   TATSUYA ABURANO

営業グループ長

三菱鉱石輸送株式会社

三菱鉱石輸送株式会社
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビルヂング5階
1959年設立。「良質な海上輸送サービス」と「高い船舶管理技術」を提供。⾧期的な脱炭素社会の実現に向けた移行ソリューションとしてLNG燃料船の保有・管理を目指し、既存船についても環境性能に優れた船舶への入替投資を順次進めている。