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2023.11.09

三菱電機

MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION

三菱電機が目指す、家庭で簡単にエネルギーマネージメント!  電力使用量が見てわかるアプリを開発

『HEMS(ヘムス)』と聞いても、まだピンとこない人も多いかもしれない。HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)とは、家電やガス設備などと接続して、家庭で使うエネルギーの使用量を見える化し、管理するシステムを指す。政府は2030年までに全世帯にHEMSが普及することを目指しているが、現段階での普及率は2.7%と非常に少ない(2020年度、環境省のデータ)。

三菱電機はHEMSの普及に向けて、簡単で導入しやすいクラウドHEMS対応住宅用分電盤を河村電器産業と共同開発し、10月4日に河村電器産業より発売した。同時にこの分電盤に対応したアプリケーション『ミエネル』を三菱電機独自の家電統合アプリケーション『MyMU(マイエムユー)』内で提供している。

機能をしぼっているからこそわかりやすく手軽なミエネル

一般にHEMSの導入には、HEMS対応の分電盤と、電力の使用状況の把握やエネルギー制御を行う専用の据え置き型HEMSコントローラーの両方が必要となる。だが、このクラウドHEMS対応住宅用分電盤は、HEMSコントローラー機能をクラウドに集約させていることが大きな特徴。これ1台でHEMSを導入できるので、導入コストを抑えることができる。しかも、ZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金制度の要件にも対応している。

河村電器産業との共同開発に至った経緯について、クラウドHEMSを立ち上げたメンバーの1人の杉野 真哉さんは次のように語る。

「2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、家庭用蓄電池などの低圧リソースの活用が重要になってきています。活用のためには家庭内でのエネルギーの状況の把握が必要。三菱電機はこれまでも分電盤を製造販売している河村電器産業さまと連携し、HEMSコントローラーを開発してきました。今回、その連携をさらに強めて、共同で開発に至りました」(杉野さん)

三菱電機が開発したアプリ『ミエネル』は、一般的なHEMSコントローラーと比べて機能をかなりしぼり、何よりも手軽さを重視して開発したという。確かに、エネルギーマネージメントのとっつきにくさは排除され、グラフを多用しており視覚的に家庭のエネルギー使用状況がわかりやすくなっている。アプリの開発をした鈴木 匠人さんは次のように語る。

図1 ミエネル ホーム画面

図2 ミエネル消費量比較画面

「何キロワット消費したか、あるいは発電したかといった細かい数字ではなく、日々の電気の消費量や過去との比較、季節ごとのエネルギー状況の変化など、省エネへの意識づけが手軽にできることを目指して開発しました。初期設定も従来は設置業者が行わなければなりませんでしたが、ミエネルはアプリをダウンロードしてQRコードを読むだけで使えるようになります。分電盤一つで手軽にエネルギーマネージメントできることを体感していただけると思います」(鈴木さん)

杉野さんは「導入しやすく使いやすくすることで、HEMSの普及につなげていきたい」と話す。

クラウド型HEMSの拡張性を生かして、もっとオープンに

今後は、拡張性が高いクラウド型HEMSプラットフォームの利点を生かし、三菱電機製品だけでなく他社の家電ともつなげて管理できるようにするほか、電力会社やアグリゲーター(電力の需要と供給のバランスを管理する事業者)のクラウドとの連携を目指す。

「現状のHEMSコントローラーは、クローズ戦略を取るメーカーが多いのですが、そもそもHEMSはどのメーカーの機器ともつながることで効果を発揮します。当社が率先して機器の制限なくつなげられるようにオープンな環境をつくっていきたい。同時に、クラウド側のオープン化も目指します。さまざまな機器をつなげたあと、データをクラウドに集約して、電力会社やアグリゲーターのクラウドと連携してデータをやりとりできるプラットフォームの構築を目指します」(杉野さん)

「クラウド型HEMSプラットフォームの拡張性を存分に生かすことで、家庭のHEMS対応製品をエネルギーリソースとして活用できるようになります。今後は、電力が逼迫してるときと余裕があるときで電力使用量をコントロールし、需要と供給のバランスを調整するDR(デマンド・レスポンス)にも対応できるようにしていきます。そして、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献していきます」(鈴木さん)

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

杉野 真哉   SHINYA SUGINO

IoT・ライフソリューション新事業推進センター

インタビュアー写真

鈴木 匠人   TAKUTO SUZUKI

IoT・ライフソリューション新事業推進センター

三菱電機株式会社

東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
1921年設立。「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献する」という企業理念を掲げ、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器などの製造・販売を事業目的とする。また、グループ内外の知見の融合と共創により、進化した統合ソリューションを提供する「循環型デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献していく。