各社のトピックス

2024.07.11

三菱ケミカルグループ

Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation

夏休みの研究にもおすすめ!
約350年の歴史を誇る田辺三菱製薬と「くすりの町」のミュージアム

各社のトピックス メインビジュアル 「マンスリーみつびし」

江戸初期の1678年に創業した田辺三菱製薬は、日本で1番、そしてなんと世界でも2番目に長い歴史を有する研究開発型の製薬会社だ。本社ビル2階にある田辺三菱製薬史料館では、その350年近くにおよぶ長い歴史を楽しく知ることができる。田辺三菱製薬史料館の岡村 美香さんと、館長の泉川 達也さんに展示の見どころについて聞いた。

江戸時代に使っていた貴重な看板の実物を展示

田辺三菱製薬の歴史は、初代田邊屋五兵衞(たなべやごへえ)が「田邊屋振出薬」(小袋に入れてお湯のなかで振り動かして飲む薬)を製造販売する店を開いたことに始まる。2007年、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併し、田辺三菱製薬が誕生した。

2015年にオープンした田辺三菱製薬史料館では、創業当時に実際に使われていた看板や生薬を粉末にする器具など豊富な史料の展示や、明治時代の田邊五兵衞商店の再現などを通して、江戸時代から現在までの田辺三菱製薬のあゆみを紹介している。岡村さんは館内の見どころについて次のように語る。

「見どころは『くすりの道修町ゾーン』の『たなべや薬』と書かれている木製の軒下看板。創業時から掲げていたもので、大変貴重なものです。ぜひ実物をご覧いただき歴史を感じてもらいたいです。『いまと未来ゾーン』では、くすりの作用や人体の仕組みを3DCG映像で解説する『バーチャル解体新書』や、画面タッチでクイズができる『タッチ&トライ』など楽しんで学べるコンテンツがあります。当館は、製薬会社として日本一の歴史を誇る当社のあゆみをたどることで、日本の医薬品産業の歴史も学べます。また歴史とともに新薬の研究開発の様子など、当社の現在と未来の姿も知ることができるのが特徴です」(岡村さん)

いまと未来ゾーン

日本サッカーとの深い関係がわかる企画展開催中

2024年9月27日(金)まで、田辺三菱製薬史料館初の企画展「日本蹴球(サッカー)と田邊五兵衞の系譜」を開催している。実は、田辺三菱製薬とサッカーは深いつながりがある。

14代五兵衞(1908~1972年)は、大正時代にサッカーの魅力を見出し、関西サッカー協会の設立や日本サッカー協会の運営、少年クラブチームの設立、女子サッカーや女子審判の育成と、日本サッカーの振興に尽力した。五兵衞が創部した田辺製薬サッカー部は、1950年から全日本実業団サッカー選手権大会を6連覇。こうした数々の功績が評価され、2005年には日本サッカー協会の第1回「日本サッカー殿堂」に「日本サッカーの発展に顕著な功労者」として選出された。そんな14代五兵衞の自筆の書類やサッカーにまつわる品を、今回の企画展で展示している。

「ボールを研究したボール考やユニフォームを研究した服色考などでは、五兵衞が自ら丁寧に絵を描いており、現在使われているサッカー用品とのつながりがよく分かります。五兵衞が収集したサッカーボールも展示しています。多くのサッカーファンにご来館いただき、『日本のサッカーの歴史を詳しく知ることができて勉強になった』『知らないことが多く興味深かった』といったお声をいただきました。ネタバレになるので詳細は控えますが、日本代表のユニフォームが青色になったいきさつや、白と黒のボールが使われ始めたきっかけについてもご紹介しています」(岡村さん)

パリオリンピック・パラリンピックでサッカーが盛り上がる今夏、黎明期の日本サッカーを支え続けた五兵衞に思いを馳せれば、サッカー観戦がさらに楽しくなりそうだ。

「道修町」ってなんて読むの? 認知度アップに貢献

ところで、田辺三菱製薬の所在地である「道修町」はなんと読むかご存知だろうか。答えは「どしょうまち」。田辺三菱製薬では、2016年から道修町の認知度調査を実施。8年目となる2023年の調査では、「どしょうまち」と正しく読めた人は29.1%と低水準で、正答率が最も高かった大阪府に限ってもわずか36.5%にとどまった。館長の泉川さんは「年々、道修町の認知度が下がってきています。道修町で最も長い歴史を持つ当社が率先して、この町の認知度を上げていきたい」と意気込む。

道修町は江戸時代から続く「くすりの町」。明治時代には約150軒もの薬問屋が集まり、今でも田辺三菱製薬のほか、武田薬品、塩野義製薬など日本を代表する製薬会社の本社をはじめ医薬品関連会社が約50軒、軒を連ねている。道修町通の約300メートル内には、田辺三菱製薬史料館、塩野義製薬本社展示コーナー、住友ファーマ展示Gallery、武田科学振興財団 杏雨書屋、くすりの道修町資料館、旧小西家住宅史料館と、6軒もの医薬品に関する展示施設がある。

田辺三菱製薬は地域活性化の一環としてこれらを束ねて「道修町ミュージアムストリート」と名付け、道修町の歴史と文化発信にも力を入れている。岡村さんは、「すべての施設が無料で見学できます。当館だけでなくそれぞれの個性的なミュージアムをぜひご見学ください」とアピールする。

さらに地域活性化を目的に、2017年から6月・11月の年2回、田辺三菱製薬の公式キャラクターの「たなみん」をアイコンにした「たなみん寄席」を開催。

「2016年に開館1周年記念として落語家の桂 福丸さんに当社の歴史を織り込んだ創作落語『薬屋俥』を披露していただきました。その縁もあり、大阪の伝統芸能である上方落語の上演とともに、関連した社会風土や社会テーマについての講演を行う『たなみん寄席』を開催しています。大阪の伝統文化や歴史に気軽に親しんでいただきたいと思っています」(泉川さん)

創業350周年に向けて今後も新しい発信を

田辺三菱製薬史料館は2025年に10周年、田辺三菱製薬は2028年に創業350周年を迎える。

「当館はお子さんからご高齢の方、海外の方、新入社員研修などでいらっしゃる他社さんと、幅広い方にご見学いただいています。解説をご希望の方には、その方に合った解説をしています。歴史を中心にお伝えする施設ではありますが、新しいことも発信できるような企画を考え、より楽しく医薬品産業や道修町の文化に触れていただけることが目標です。『くすりといえば道修町』となるよう、まちの認知度も高めていきたいです」(岡村さん)

「今、8,000点以上ある当館の展示物を整理しながら、創業350周年に向けた企画を練り始めています。道修町で長年商売を続けられているのは地域の皆様のおかげ。道修町の商人は昔から『三方よし』の考えを持っています。今後も引き続き地域を盛り上げていきたいと思っています」(泉川さん)

公式ウェブサイトでは収蔵品の一部を収録した音声ガイド付きのバーチャルツアーも公開している。子どもの自由研究に、夏休みの思い出に、親子で社会見学はいかがだろうか。

田辺三菱製薬史料館

大阪市中央区道修町3-2-10 田辺三菱製薬本社2階

完全予約制のため、公式ウェブサイトから来館予約が必要


企画展「日本蹴球サッカーと田邊五兵衞の系譜」開催概要 会期:2024年3月14日(木)~9月27日(金)
開館時間:10時~17時 (土日祝・会社の休日は休館)

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

岡村 美香  MIKA OKAMURA

田辺三菱製薬史料館

インタビュアー写真

泉川 達也  TATSUYA IZUKAWA

田辺三菱製薬史料館館長

田辺三菱製薬株式会社

大阪市中央区道修町3-2-10
三菱ケミカルグループのファーマ部門である田辺三菱製薬は、1678年に創業、日本の医薬品産業発祥の地である大阪の道修町に本社を置き、医療用医薬品事業を中心とする製薬企業として、最も歴史ある老舗企業のひとつです。田辺三菱製薬は、「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を」をMISSIONとし、これを実現するため、中枢神経、免疫炎症、糖尿病・腎領域に加え、がん領域にも取り組んでいきます。有効性・安全性が高い患者層を見出し、治療満足度の高い薬剤をお届けする「プレシジョンメディシン」の他、予防・未病、重症化予防、予後にも目を向け、治療薬を起点に患者さんの困りごとに応える「アラウンドピルソリューション」を展開していきます。

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