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往時の面影が偲ばれる秋の「末廣別邸公園」

-復元工事は終盤に-

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千葉県富里市にある旧岩崎久彌末廣農場別邸公園(末廣別邸公園)は、かつて三菱第三代社長の岩崎久彌が設立した「末廣農場」の気風を今に伝える貴重な場所です。末廣農場では養鶏や養豚、農産物の栽培が行われ、富里名産のスイカの原種もここで育まれたと言われています。その農場の一角に建てられた久彌の別邸は、昭和初期の貴重で優れた別荘建築として、今では国の登録有形文化財です。

現在、末廣別邸公園では主屋の修復や庭園の復元が進められ、2025年度の一般公開を目指して工事も終盤にさしかかっています。秋の深まりを感じる園内の様子をご紹介しましょう。

昭和初期の記憶を甦らせる復元工事

今回の工事では、久彌が住んでいた当時の姿に戻すことを目指しています。昭和10年代に撮影された貴重な写真と最近の写真とを見比べると、景観の違いがよくわかります。当時の農場長だった橘常喜氏が写った写真では、今も残る「キリシマツツジ」が見える一方で、大木は見当たりません。実はこれらの木々は戦後、鳥や風が運んだ種から自然に生え育った「実生木(みしょうぼく)」だったのです。

昭和10年代に撮影された庭園の様子。右側のキリシマツツジは現存するがそれ以外の大木がなく広い。(左から2番目が橘農場長。写真所蔵 橘家)
2024年伐採前の庭園。ツツジ(写真右側)の隣に生えた木は戦後、実小木として勝手に伸びたもの。

2024年の夏、庭園復元工事の一環としてこれらの高木を伐採する作業が行われました。ただ、文化財に指定される建物がすぐそばにあるため、伐採にはツリークライミングという木に登って少しずつ枝や幹を切り落とす特別な方法で、慎重かつ丁寧に進められました。

ツリークライミングによる伐採の様子
伐採後残った根は、庭園の現況を少しでも温存するため、引き抜かずに、特殊な機械で切削し除去する。

すっかり秋の情景

広々とした芝生に落ち葉が映える
東屋の遠景

末廣別邸公園も晩秋となり、落ち葉が芝生を彩り、過ぎゆく季節の美しさを感じさせてくれます。今年の猛暑の影響でモミジの紅葉は例年ほどではないものの、それでも別邸の佇まいはどこか懐かしさを漂わせています。

久彌が生きた時代の面影が少しずつ形になっていった今回の復元工事。並行して行われている主屋の工事も完了すれば、昭和初期の情景をそのまま再現した趣深い空間が広がることでしょう。2025年春の一般公開では別邸の縁側から広い庭を眺める癒やしのひとときが期待できそうです。

※公開直前にはmitsubishi.comでも末廣別邸公園の特集記事を掲載しますので、ぜひご覧ください。

※2024年12月2日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。