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ゆかりの地「末廣別邸公園」で収穫体験イベント

-往事をしのび再現された「久彌の畑」で、春の味覚を収穫-

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地元の人たちの協力を受けて掲げられたこいのぼりと「久彌の畑」

5月3日、千葉県富里市の旧岩崎久彌末廣農場別邸公園(末廣別邸公園)で、春の味覚を収穫する体験イベントが行われました。直前まで雨続きだったものの、当日は一転して快晴でまさに収穫日和。富里市内外から84名が集まり、採れたて野菜を収穫する家族連れで賑わいました。

畑には四季を通じて様々な表情を描けるように、にんじんやサツマイモ、落花生や大根、それに富里産として有名なスイカなどさまざまな作物が植えられています。今回は大きく育った大根・小松菜・カブ・水菜・ニンジンなどが収穫されました。畑の上空で約30匹のこいのぼりが泳ぐ中、参加者は笑顔で新鮮な野菜を思い思いに収穫し、歓声を上げていました。

収穫された野菜たち。別邸裏で採れたタケノコもおみやげに。
黄色いカラシナの花が咲いている「久彌さんの畑」。夏にはヒマワリが人々の目を楽しませそう。

三菱第三代社長の岩崎久彌はかねてから手がけたいと願っていた農牧事業実践の場として「末廣農場」を開設。養鶏、養豚をはじめ、実験的な試みで日本の農牧業の近代化に貢献しました。別邸は久彌が末廣農場に滞在するために建てられた建造物ですが、第2次世界大戦後の農地解放により末廣農場の大半の敷地が譲渡・払い下げされ、別邸部分だけ残った後、久彌は晩年をこの地で過ごしました。

第2次世界大戦の影響で食料が不足する中、久彌は「自分の食べる分は自分で作る」との想いから、自らの屋敷の敷地を切り開いて自家菜園を作ったのだとか。これにちなんで、会場の畑には「久彌さんの畑」というプレートが掲げられています。久彌の農業への思いを今に伝えるこのイベントには、富里市の産業の原点でもある農業の発展に尽力した久彌の情熱を、次代にも継承するという姿勢がうかがえます。

末廣別邸主屋(登録有形文化財)

末廣別邸公園では、主屋の修復工事や庭園の復元工事が現在も並行して行われていて、2025年度にはそれぞれの工事が完了する予定です。特に庭園の復元については当時の写真などを元に、主屋前には野芝生とツツジが植えられる予定で、かつて久彌が楽しんだ光景を見学できる日が楽しみです。

※現在主屋は非公開。庭園は工事による制限エリアあり。

※2024年5月13日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。