設備の入れ替えと建物メンテナンスのため、2023年4月から⾧期休館していた三菱一号館美術館が、いよいよ2024年11月23日に再開する。そのなかにある「三菱センターデジタルギャラリー」もリニューアルオープン。日本各地に広く存在する三菱の貴重な文化遺産、歴史的遺産を、目の前にあるかのようなリアルな映像で見ることができる。
静嘉堂文庫美術館、東洋文庫、占勝閣の見どころが集結
三菱センターデジタルギャラリーは、「静嘉堂文庫美術館」(千代田区丸の内)、「東洋文庫」(文京区)、三菱重工
長崎造船所「占勝閣」(長崎市)の所蔵品の数々を高精細デジタル画像でアーカイブすることを目的として、2009年に開設された施設。これまでは三菱ゆかりの名品の数々をアーカイブしていたが、今回のリニューアルにあたって、名品に加えてゆかりの名所・史跡・文化施設などの三菱の文化遺産、歴史的遺産を広く未来へ継承していけるように、デジタル画像や映像を拡充した。
入り口の正面に掲げられている大型モニターでは、三菱センターデジタルギャラリーのテーマである「文化と価値の継承」を来館者に伝える映像 「MCDG
〜文化と価値の継承〜」を上映する。3〜4分の映像で、この三菱センターデジタルギャラリーに込められた思いがよく分かる内容となっている。
岩崎彌太郎生家、旧岩崎邸庭園も実際に訪れている気分に
中央にあるのは2人掛けの椅子を設けた4台の閲覧ブース。ここでは文化遺産や歴史遺産の豊富なデジタルコンテンツを、来館者が自ら選んで見ることができる。どのコンテンツもデジタルだからこそ可能な驚きに満ちており、改めて文化遺産や歴史遺産の魅力を体感できる。
平面収蔵品は、全体像だけでなく気になる部分を拡大することができる。
立体収蔵品は、横360°、縦180°の回転や拡大ができることで、通常の展示では見られない細部まで鑑賞可能となる。
例えば、俵屋宗達の国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」などの平面所蔵品は、全体像はもちろん、見たい部分を拡大して細部に施された意匠までつぶさに鑑賞することができる。また、国宝「曜変天目」などの立体所蔵品は、横360°、縦180°の回転ができ、実際に手に取っているような感覚に陥る。これは通常の展示では味わえない、デジタルだからこその体験だ。
これまでは、静嘉堂文庫美術館から国宝6点含む48点、東洋文庫からは国宝5点含む47点、ほかに占勝閣の名品を提供していたが、リニューアルで新たに「岩崎彌太郎生家」「土佐稲荷神社」「旧岩崎邸庭園」「小岩井農場」「旧岩崎久彌
末廣農場別邸公園」の動画5点を追加した。いずれも臨場感あふれる精緻な映像で、まるで各地を実際に旅している気分に。
https://www.m-cdgallery.com/より(動画キャプチャ)
「旧岩崎邸庭園」動画の一部。
https://www.m-cdgallery.com/より(動画キャプチャ)
「旧岩崎邸庭園」動画の一部。さまざまな見どころの紹介とともに、貴重な文化遺産の内部を散策できる。
今後も新規コンテンツ公開、入場無料で楽しめる
2025年2月に予定しているリニューアル
第2弾では「清澄庭園」「殿ヶ谷戸庭園」「六義園」の動画3点を新規コンテンツとして追加予定だ。また、三菱センターデジタルギャラリー公式Webサイト(
https://www.m-cdgallery.com/)でも、これらの動画を公開している。
日本経済の発展とともに歩んできた三菱は、その歴史のなかで、諸事業とともに日本古来の伝統を守り、
先進的な芸術を取り入れる文化活動に尽力してきた。1894年に丸の内初のオフィスビルとして創建され、老朽化により解体された三菱一号館を可能な限り忠実に復元し、2010年に生まれ変わった「三菱一号館美術館」。三菱センターデジタルギャラリーはその1階にあり入場無料。三菱の文化と歴史を一堂に集めたこのアーカイブの中心施設は、三菱一号館美術館と合わせてリニューアルオープンに注目が集まっている。
【美術館データ】
三菱センターデジタルギャラリー(東京都千代田区丸の内2-6-2 三菱一号館美術館1階)
開館時間:10時~18時
※祝日・振替休日除く金曜、第2水曜、展覧会会期中の最終週平日は20時まで
※入館は閉館時間の30分前まで
※臨時の時間変更の場合あり
休館日:毎週月曜(祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の場合は開館)
年末、元旦、展示替え期間
※臨時の開館・休館の場合あり
入館料:無料