多くの個人投資家がネット経由での投資に向かうなか、同社が顧客満足度で高評価を得続ける理由はどこにあるのだろうか。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2024年7月に、顧客満足度に関する国際的な調査機関であるJ.D. パワーが公表した「J.D.
パワー2024個人資産運用顧客満足度〈対面証券部門〉」で第1位を受賞した(※)。今回で同社の同部門での第1位受賞は3年連続となる。
この調査は全国で資産運用をしている20~79歳の個人投資家を対象に行われ、「対面証券」「全国系銀行」「ネット証券」「スマホ専業証券」「ネット銀行」の5部門において、直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を明らかにするもので、今年で13回目の実施となる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のウェルス&ミドルマーケット本部業務企画部事業戦略課長の山下 啓介氏は次のように語る。
「お客さま対応や商品・サービス、手数料、店舗などの総合的な評価として、第1位をいただくことになりました。拠点のお客さま担当者の方々による日頃の提案活動が寄与していることはもちろん、当社のサービス・施策全体が評価されたことと考えており、大きな価値があるものと捉えています」
同社は2020年に初めて第1位を受賞。2022~2024年には3年連続で第1位を受賞している。
アドバイザリー型モデルを
2019年より導入し、お客さま満足度を強化
多くの個人投資家がネット経由での投資へ向かうなか、同社が対面を重視し続ける理由はどこにあるのだろうか。
「日本の富裕層マーケットはアメリカに次いで大きな規模を有しています。そうした富裕層はネットなどのデジタルツールを活用しながら、対面によるアドバイスのニーズも高いと考えています。また、金融資産の運用のみならず、資産承継を含めた総合的なサービスを求める傾向があります。とりわけ事業承継や相続対策などに関しては、対面によるアドバイスのニーズが高い分野と考えています」
そんな日本の富裕層マーケットにはどのような特徴があるのだろうか。
「日本の富裕層の資産は現金や有価証券よりも、不動産の占める割合が高いとの統計があります。現在、MUFGではウェルネス・マネジメントのプラットフォームを構築し、銀行、信託、証券の担当者がしっかりと連携して、お客さまの総資産を対象としたソリューションをワンストップで提供できるツールをつくっています」
では、同社ではお客さま満足度を高めるためにどんな施策を掲げているのだろうか。
「当社は2019年よりアドバイザリー型モデルを推進しています。資産運用における公式な「投資見解」であるハウスビューやデジタルツール、サービスなどのバリューチェーンを整え、業績評価や人事処遇制度を改革、お客さまの担当制度、人材育成なども見直してきました。お客さまを担当する業績評価については、業界に先駆けて、収益目標を廃止し、お客さま評価の視点を入れるようにしています。例えば、お客さまのロイヤリティを測るネットプロモータースコア(NPS)を使って、お客さまが家族や知人、親族を担当者に紹介してもいいかどうかを10段階で評価していただいています。こうしたツールを使ってお客さま本位の活動を推進しています」
拠点の最前線でお客さまとやり取りした経験を持つ同業務企画部事業戦略課部長代理の近藤 史弥氏もお客さま本位の姿勢こそが、これからさらに重要になると語る。
「本部の施策と拠点の担当者の方々の努力を第三者の評価としていただけたことを喜ばしく思っています。引き続き会社の方向性が間違っていないことに自信を持ちながら、アドバイザリー型モデルの推進を続けていきたいと考えています」
同じく事業戦略課主任の阿久津 美優さんは、アドバイザリー型モデルが導入された2020年に入社し、最近まで拠点でお客さまを担当してきた。入社直後はすぐに新規開拓の営業をすると考えていたが、そうではなかった。
「いきなり商品の紹介から入らないスタイルはお客さまにとっても新鮮なようです。拠点で何度も上司から言われたのは、商品提案のみを目的とした面談を行わないようにということです。お客さまと会話して真のニーズを引き出すことが何より大切であり、長くお付き合いをしていただけるよう対面に力を入れることは非常に重要だと考えています」
お客さまと中長期的な視点で対話を重ね
ニーズを引き出し伴走していく
お客さまのニーズがわからないのに、プロダクトを提案しても、お客さまにとってよい結果は生まれない。だからこそ、プロダクトを提案する前に、お客さまのニーズと将来的なゴールをしっかりとプロファイリングし、そのうえでお客さまがとれるリスクに基づいた提案していく。そこで重要なのは、お客さまに寄り添う提案スタイルをしっかり構築することにあると山下氏は説明する。
「私たちはプロファイリングによって知り得た情報をもとにプランニングし、ご提案という流れをとっていますが、四半期ごとに必ずレビューを入れています。また、拠点の担当者もお客さまとの対話のなかでデジタルツールを駆使しながら、リスク分析やシミュレーションをすることを必須としています。パフォーマンス起点ではなく、お客さまの取り得るリスクの中で最適なポートフォリオ、リスクオリエンテッドなポートフォリオ構築を目指しています。
また、新入社員を含めた社員教育にも力を入れていて、新入社員が単独でお客さまと接触できるのは早くても1年目の11月くらいの時期となっています。それまでは金融知識やツールの研修のほか、先輩に同行して現場を学んでいくといった教育制度をより充実させているのです」
同社では2~3年程度で一人前のアドバイザーになれるよう研修プログラムが用意されている。かつての営業は担当者の勘・コツ・経験にかなり依存していた。しかし今は、アドバイザリー型モデルのもと、フレームワークをつくって各拠点担当者の全体的なレベルアップに力を注いでいる。
「新NISAが始まり個人投資家の資産運用も活発となり、お客さまからの問い合わせも増えており、アドバイスへのニーズはますます高まっていると考えています」(山下氏)
今後もより対面に注力するという三菱UFJモルガン・スタンレー証券。AI技術が進化していくなかで、お客さまのニーズに合わせたサービスをどう展開していきたいと考えているのだろうか。山下氏が言う。
「これからアドバイスとデジタルの融合はさらに加速していくと見ています。ただ、お客さまにヒアリングしてニーズを確認し、伴走していくには対面ならではのよさがあると思っています。中長期的な視点で対話を重ねてお客さまに必要なものをともにつくり上げていく。その姿勢は今後も重要さを増していくと考えています。また、アドバイスとデジタルを融合していく中で、リモートFAという形で、非対面のリモート分野も強化していく予定です。」
トロフィー授与式を実施
9月26日に株式会社 J.D. パワー ジャパンの代表取締役社長 山本 浩二さま、常務執行役員 梅澤 希一さまをお招きし、今回の受賞についてのトロフィー授与式を執り行いました。

※J.D. パワー2024年個人資産運用顧客満足度調査。対面証券で資産運用を行っている3,439名からの回答による。 japan.jdpower.com/awards
INTERVIEWEE

山下 啓介 KEISUKE YAMASHITA
ウェルス&ミドルマーケット本部
業務企画部事業戦略課 課長

近藤 史弥 FUMIYA KONDO
ウェルス&ミドルマーケット本部
業務企画部事業戦略課 部長代理

阿久津 美優 MIYUU AKUTSU
ウェルス&ミドルマーケット本部
業務企画部事業戦略課 課長代理
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
三菱UFJフィナンシャル・グループとモルガン・スタンレーとのジョイントベンチャーとして2010年5月に発足。MUFGグループ各社が有する多種多様なサービスとモルガン・スタンレーがグローバルに有する投資銀行やウェルスマネジメント分野における卓越した知見やノウハウで、お客さまのあらゆるニーズや要望にお応えするため、高度で幅広いソリューションを提供。