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次代を拓く205の挑戦へ、確かな後押しを
-三菱財団2026年度助成金贈呈式-
採択205件、助成総額8億7,000万円。昨年度を上回る規模となった今年度の三菱財団の助成金贈呈式が9月11日、東京都千代田区丸の内の東京會舘で開催されました。分野も立場も異なる研究者・事業者が互いの取り組みを知り、刺激を受け合う場となりました。
設立記念日に開かれる恒例行事-助成金贈呈式の概要
三毛兼承理事長(右)から贈呈書を受け取った新井敏氏(左・自然科学研究)
1969年の設立以来、三菱財団が手掛けてきた助成は累計約5,550件・233億円にのぼり、これまでに7人のノーベル賞受賞者を輩出するなど、数多くの研究者・事業者に貢献してきました。2026年度は自然科学・人文科学・社会福祉・文化財保存修復の4分野で205件・8億7,000万円の助成が決定しました。財団の設立記念日である9月11日に開かれる「助成金贈呈式・研究成果報告会」は、その受領者が一堂に会する恒例行事です。当日は助成金受領者、来賓、選考委員、財団役員が出席し、助成研究の成果報告会、2026年度の助成金贈呈式、懇親会の3部構成で執り行われました。
自然科学・文化財保存修復の分野から研究成果を発表-研究成果報告会
助成金贈呈式に先立って、助成プロジェクトの成果を報告する研究成果報告会が行われ、自然科学分野から小林研介氏が、文化財保存修復分野から宮﨑健司氏と辻󠄀野凛太郎氏が登壇しました。
2023年度の自然科学研究助成を受けた東京大学大学院理学系研究科教授の小林研介氏は難解な研究テーマをユーモアを交えながらわかりやすく説明しました。
2021年度の文化財保存修復事業助成を受けた大谷大学名誉教授の宮﨑健司氏と株式会社坂田墨珠堂の辻󠄀野凛太郎氏は、平安時代末期に描かれた画巻の修復を通じて感じた歴史の奥深さを語り、出席者も熱心に耳を傾けていました。
詳しくは、次回の「研究成果報告会ダイジェスト」でお伝えします。
小林研介氏
(左)宮﨑健司氏、(右)辻󠄀野凛太郎氏
応募2,188件から選ばれた205件-助成金贈呈式
2,188件の応募から選ばれた受領者と来賓が一堂に会した贈呈式会場
続いて会場を移し、2026年度の助成金贈呈式が行われました。今年度の応募は2,188件と、昨年度から約300件増加。その中から自然科学分野94件(応募1,549件)、人文科学分野44件(同348件)、社会福祉分野46件(同230件)、文化財保存修復分野21件(同61件)の計205件が助成の対象になりました。
式の冒頭、三菱財団の三毛兼承理事長が挨拶に立ち、受領者に向けて「皆様のご研究、ご事業が順調に進捗され、大きな成果を上げられますことをお祈り申し上げます。その成果をぜひ社会のために役立て、発信していっていただきたい」と期待を寄せました。続けて、「当財団の助成は学会推薦といった予備選考的なものが一切なく、完全な公募制であります。それゆえ、今年度も多数の応募を頂戴いたしました」と述べ、競争倍率は10倍強と高い水準にあることを紹介。そうした中で厳正かつ慎重な審査を行った選考委員への感謝を表しました。
三菱財団 三毛兼承理事長
贈呈書の授与(文化財保存修復事業)
自然科学研究、人文科学研究、社会福祉事業・研究、文化財保存修復事業の各選考委員長より審査報告があったのち、理事長より贈呈書の授与が行われました。その後は、各分野の助成金受領者の代表者が登壇。助成金に対する感謝を述べるとともに、研究および事業推進への意欲と、取り組みを通じた社会貢献への決意を表明しました。
受領者の代表挨拶(人文科学研究・宮間純一氏)
スライドによる発表も行われた(社会福祉事業・中山知佳穂氏)
懇親会の席で聞いた、助成金受領者の率直な声
懇親会場。分野を越えた交流の輪が生まれた
贈呈式の閉会後には懇親会を開催。研究者、社会福祉事業者など多様な分野の出席者が、職種や立場の垣根を越えて和やかに歓談しました。私たち取材班もその輪に加わり、受領者の皆さんに研究・事業への意気込みや助成への思いを伺いました。
- ●室蘭工業大学ひと文化系領域 准教授 山田祥子氏
※「サハリンの植物民俗学:知識・利用とその変容に関する総合的研究」をテーマに人文科学研究分野で助成を獲得
「三菱財団の助成は、論文の本数や学会での発表件数といった基準ではなく『社会にどう活かされるのか、どう役に立つのか』というところを重視されているように感じます。そのご期待に応えられるよう、多くの人に伝わりやすい研究を続け、しっかりと成果を出していきたいと思います」
- ●京都大学大学院薬学研究科 教授 関根史織氏
※「ミトコンドリアタンパク質輸送とプロテオスタシスの機能連関による細胞内コバラミン代謝調節」をテーマに自然科学分野で助成を獲得
「私は長くアメリカで研究に従事していたのですが、向こうでは助成金を得るまでのプロセスが複雑で、数年がかりになってしまうこともあります。三菱財団の助成は決定までのプロセスが非常にすっきりしており、スピード感が魅力です。新しいことに挑戦するときは迅速性が重要ですので、とてもありがたく思っています」
- ●東京大学大学院工学系研究科 助教 長田礎氏
※「多軌道量子相関を鍵とする新しい超伝導の創成」をテーマに自然科学研究分野で若手助成を獲得
「今回は私が長年にわたり取り組んできた研究をご評価いただき、心から感謝しております。三菱財団の助成活動に対する魅力を一言で表現するならば、ひとえに規模の大きさです。この評価と期待を裏切ることのないよう、人と社会への貢献に結びつく成果へとつなげていきたいと考えています」
- ●獨協医科大学先端医科学研究センター 講師 入江駿氏
※「遠隔手話通訳システム開発に向けたろう者・聴者・手話通訳者の行動特性解明」をテーマに社会福祉事業・研究分野で助成を獲得
「三菱財団の助成は倍率が高く、採択されるのは簡単ではありません。それだけに、助成件数や規模といった確かな実績のある財団から支援を受けられることで、安心して研究に打ち込めます。今回の助成を通じて、これまで手探りで進めてきた研究がより精密に行えるようになり、ひとつの大きなターニングポイントを迎えたと感じています。これを機に、手話通訳者が遠隔にいながらも対面しているような臨場感で手話通訳が行える環境を実現できるよう、全力で取り組んでいきたいと考えています」
- ●東京家政大学博物館 館長 沢尾絵氏
※「濃茶地牡丹桜模様錦提帯・白地扇地紙獅子牡丹模様錦提帯の保存修復事業」をテーマに文化財保存修復事業分野で助成を獲得
「数ある助成制度の中でも、三菱財団は文化財の保存・修復という分野にも目を向けてくださっていることが大きな特徴だと思っています。当博物館は2026年秋に移転し、来年リニューアルオープンするのですが、今回の提帯の展示は目玉になるものと考えています。美しく修復されたこの提帯を、一人でも多くの方に見ていただきたいと願っています」。
成果報告から新たな助成へ、続いていく支援
助成金受領者からは「多様な分野に目を向けてもらっている」という声のほか、助成開始までの迅速さや助成金額の大きさを評価する声も多く聞かれました。研究者・事業者が情熱を注ぐ活動を幅広く支える、その方針が受領者にしっかりと届いていました。
数年前に助成を受けた研究者が成果を語ったように、この日助成を受けてスタートする205件の研究・事業からも、今後新たな成果が生み出されるでしょう。
助成金贈呈式は、社会のために役立て発信していく多様な研究・事業を支援する三菱財団の助成のあり方を示す場となりました。
参考リンク
※2026年11月5日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。

