
写真提供:宮城県観光戦略課
ムシムシ、ジメジメした不快を感じる今の時期、心までもがモヤモヤとしたベールに覆われ、すっきりしない気分になることも少なくない。まもなく訪れる本格的な夏を思うと、早くもうんざりしている人も多いだろう。そこでおすすめしたいのが、滝を訪れて心身をスッキリさせること。水が激しくぶつかり、細かい水しぶきになるときに生じるマイナスイオンは、細胞や脳を活性化するといわれ、デトックス効果も抜群。滝の名所と呼ばれるような場所は、気軽に訪れることができるロケーションが多いのも魅力。滝の前でやすらぎを得て、パワーチャージをすれば、きっとこの夏の猛暑も乗り切れるはずだ。
【宮崎県】高千穂峡のシンボル、滝百選に指定されている名瀑『真名井の滝』
高さ約80~100mもの断崖が東西に約7キロに渡って続く、高千穂峡。国の名勝・天然記念物にも指定されており、宮崎を代表する景勝地として知られる。そんな高千穂峡を象徴する風景といえば、断崖そそり立つ峡谷の中をいくボートと滝の姿だ。

写真提供:高千穂町観光協会
約17mの高さから水面に落ちる「真名井の滝」の神話によると、その起源はこの地に水がないことに気づいた神が水源として作った「天真名井」の湧き水に由来すると伝えられている。

写真提供:高千穂町観光協会
五ヶ瀬川に流れ落ちる「真名井の滝」の様子は、渓谷の遊歩道からも見ることができるが、やはり圧巻はボートからの眺め。川面に浮かぶボートから見上げる滝は、ダイナミックで迫力満点! といえど、荒ぶるような流れではなく、岩肌を白い水流が描く線は白蛇のような美しさをもたたえている。

写真提供:高千穂町観光協会
太古の昔、阿蘇山の火山活動によって噴出した火砕流が、長い年月をかけて侵食され、独特の柱状節理が形作る渓谷の中をゆっくりとボートで進む。まるでアドベンチャーのような体験は、大人でもワクワクするに違いない。
貸しボートは人気ゆえ、事前の予約は忘れずに出かけよう。
『真名井の滝』
〒882-1103 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井御塩井
☎︎ 0982・73・1213(高千穂観光協会)
【栃木県】袋田の滝(茨城県)、那智の滝(和歌山県)と並ぶ、日本三名瀑『華厳滝』
日光開山を行った勝道上人(しょうどうしょうにん)により、1200年前に発見されたと伝わる「華厳滝」。日光周辺は“四十八滝”と呼ばれるほど滝が数多く点在するが、その中で最も有名であり、華麗な美しさは時代を超えて今なお人々を魅了する。

写真提供:日光市観光協会
奥日光の入り口に位置する中禅寺湖の水が、高さ97mの高さを一気に落下するその様子を眺めるのに絶好のスポットが華厳滝エレベーターだ。1930年に設置されて以来、観瀑台から滝を真正面から見ることが可能に。
滝壺に流れ込む大量の水が飛沫を上げ、そこに太陽の光が差し込むと虹がかかることも。当然、マイナスイオンもたっぷりで、心身ともにリフレッシュできることは確実。

写真提供:日光市観光協会
紅葉スポットと知られる日光だが、夏は生命力にあふれた新緑と中禅寺湖の青、そして滝の白が見せる美しいコントラストはまるで絵画のよう。誰もがレンズを向けたくなる大パノラマだ。
せっかく「華厳滝」を訪れたなら、ちょっと足をのばして、霧降滝、裏見滝、湯滝、竜頭滝など日光市内を“滝ホッピング”するのもおすすめだ。
『華厳滝』
〒321-1661 栃木県日光市中宮祠
☎︎ 0288・55・0030(華厳滝エレベーター)
【宮城県】川沿いの遊歩道から滝壺へ。マイナスイオンをたっぷり浴びる『秋保大滝』
開湯より千年以上の歴史がある仙台秋保温泉。戦国時代には伊達政宗公もこの地を度々訪れ、その疲れを癒したという記録も残る古くからの保養地だ。そんな秋保温泉から車で20分ほどの距離にあるのが幅6m、落差55mの直瀑、「秋保大滝」だ。

写真提供:宮城県観光戦略課
平安時代初期、慈覚大師が山形県の立石寺へ向かう途中、この地で100日間荒修行をしたとも伝わる。滝見台からはその全貌を眺めることができるが、せっかくならば不動滝橋の脇から遊歩道を下り、滝つぼまで歩きたい。5~10分ほど頬に水しぶきを受けながら足を進めると、豪快な滝が間近に迫る。

写真提供:宮城県観光戦略課
勢いよく流れ落ちる水の音、霧になって頬を撫でる白い水しぶき、そしてひんやりした清涼感のある空気。都会の雑音や騒音とは異なる自然が奏でる音もまた、日常を忘れさせてくれるに十分。

写真提供:宮城県観光戦略課
厳冬の時期には滝と雪が幻想的な景色を作り出し、唯一無二の冬絶景を見せる。新緑の時期とのギャップもまた、人を惹きつける理由だ。
『秋保大滝』
〒982-0244 仙台市太白区秋保町馬場字大滝
☎︎022・398・2323(秋保温泉郷観光案内所)
構成・文/一寸木芳枝