
写真提供:三豊市観光交流局
2014年に流行語大賞にノミネートされた「絶景」という言葉。スマホの普及と共に、一瞬を切り取ったその美しい景色は瞬く間に拡散され、それを目的に旅に出る人が増加。これまで知られていなかったスポットも、絶景によって世界中から人々が訪れる人気の観光地となった場所も多い。そう、もはや絶景は旅に欠かせない“エンタメ”なのだ。
では今夏、旅に出るならば、どんな絶景がいいだろう。迷っているならぜひ、目にも涼しい水辺の絶景を探す旅に出てみよう。太陽が輝く今だからこそ、清らかな水面がキラキラと輝き、爽快感たっぷりの景色が私達を癒してくれるはずだ。
【北海道】季節や天候、見る角度によって色が変わる神秘の湖『オンネトー』
支笏湖の近くに位置する「オコタンペ湖」、然別湖の東側にある「東雲湖」と並び、北海道三大秘湖に数えられるのが阿寒摩周国立公園の最西端に位置する「オンネトー」。
アイヌの言葉で“年老いた沼”、“大きな沼”を意味し、湖面の色は透き通った青、エメラルドグリーン、深みをたたえたダークブルーなど、季節や天候、見る角度によってくるくると変わる。

湖の大きさは周囲2.5km、最大の水深は約10m。昼前からは風が出て波が立つため、変化する湖面の色合いをじっくりと眺めるのなら、朝一番に訪れるのがいい。
湖に木々が映り込み、まるで鏡面のような静寂の景色を望むことができるのも朝だ。

ちなみに、11月下旬から12月上旬までの間で、降雪量が少ないなど、諸条件が整うと美しい結氷や湖が鳴く声やアイスバブルを見ることもできる。

散策路や展望台も整備されており、秋ともなれば紅葉を目当てに訪れる人も多い。原生林に囲まれた手つかずの大自然を前に、思い切り深呼吸をすれば、心身がリフレッシュできるのを実感するはずだ。
『オンネトー』
〒089-3964 北海道足寄郡足寄町茂足寄
☎︎ 0156・25・6131(あしょろ観光協会)
【香川県】空が海に映る、たった1枚のポストで世界的に有名になった『父母ヶ浜』
SNSの投稿がきっかけで、世界中から人々が訪れるようになったスポットの代表格と言えば、瀬戸内の海水浴場「父母ヶ浜」。
干潮時に砂浜の上に現れる潮だまりに、まるで鏡の様に空が映し出されるその絶景は、多くの人々の心を揺さぶり、2017年頃からこの地を訪れる人が増加している。

写真提供:三豊市観光交流局
空が海に写る最高の1枚を撮影する際のポイントは、被写体と撮影者で潮だまりを挟み、海側の潮だまり近くの砂浜に被写体を立たせて、陸側からカメラを低く水面ギリギリに構えて撮影すること。

写真提供:三豊市観光交流局
潮だまりが現れる干潮時、それも風がない夕暮れ時であれば、なおベターだ。
晴れた日の日中は澄んだブルーが、日没直前は温もりあるオレンジが、そして日没後のマジックアワーは青からピンク、オレンジとグラデーションが美しい絶景写真を収めることができる。

写真提供:三豊市観光交流局
三豊市観光交流局のホームページには、撮影のポイントや絶景の見頃を教えてくれるカレンダーが掲載されているので、訪れる際は参考に。
『父母ヶ浜』
〒769-1404 香川県三豊市仁尾町仁尾乙203-3
☎︎ 0875・56・5880(三豊市観光交流局)
【静岡県】湖に浮かぶ駅と赤い鉄橋が織りなす秘境絶景『奥大井湖上駅』
静岡県の北部・南アルプスに連なる山々に囲まれ、豊かな自然が広がる奥大井。秘湯の趣を残す寸又峡温泉や、「夢のつり橋」で知られるこの地で、近年注目が高まっているのが『奥大井湖上駅』だ。

写真提供:川根本町まちづくり観光協会
長島ダムによってできた人造湖「接岨湖(せっそこ)」にかかる「奥大井レインボーブリッジ」の真ん中に、まるで湖に浮かぶように佇むその秘境の駅は、世界各国の外国人による審査によって、世界が共感する“COOL JAPAN”を発掘・認定する「クールジャパン・アワード2019」を受賞。

写真提供:川根本町まちづくり観光協会
アクセスは車と電車、どちらでも可能だが、せっかくならば大井川鐵道が運行する日本唯一のアプト式鉄道「井川線(南アルプスあぷとライン)」に乗り込み、車窓から広がる奥大井の渓谷をゆっくりと眺めながら向かう列車の旅に身を任せたい。
駅を上から見下ろす絶景スポット「レインボーブリッジ展望所」へは、駅のホームから線路脇に延びた遊歩道から山道へ入り、約20分。列車が通るタイミングを狙って、最高の1枚をレンズに収めよう。
『奥大井湖上駅』
〒428-0402 静岡県榛原郡川根本町犬間
☎︎0547・59・2746(川根本町まちづくり観光協会)
構成・文/一寸木芳枝