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まずはワクワクする方へ ~自分の価値を見つけよう!

-三菱探究プロジェクトを安芸市で開催-

2026年7月13日、三菱創業者・岩崎彌太郎と第二代社長彌之助、三代社長久彌の生誕地である高知県安芸市で、「三菱探究プロジェクト」講演会が開催されました。本プロジェクトは、次世代を担う安芸市の中高生が岩崎家三代の功績や志を学ぶとともに、三菱グループで働く社員の講演を通して、将来について考えるきっかけを届ける取り組みです。

約1か月前の6月10日には三菱史料館常務理事・山本浩雅さんによる授業も行われ、三菱の歴史や安芸市との深いつながりについて学んだうえで迎えた講演会には、高知県立安芸中学校・高等学校の生徒約300人が参加しました。講師を務めたのは、三菱商事(株)の今村香月さん。「知らない世界は、面白い。―総合商社の仕事を通じて出会った景色―」と題し、自身の歩みを振り返りながら、興味を持ったことに挑戦し、新たな環境へ一歩踏み出す大切さを生徒たちに語りました。

「もっと知りたい!」が切り拓いた新しい景色

学生時代の挫折経験を、自分の言葉で率直に語る今村さん

現在は東南アジアを中心としたアパレルビジネスに携わり、インドネシアと日本を行き来する今村さん。しかし、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。

学生時代の今村さんは遅刻の常習犯で、夏休みの宿題は最終日まで手を付けず、両親に頼んで始めた通信教育も三日坊主。「自分は社会や学校で求められる『普通』にはなれないのかもしれない」と、将来に不安を抱いていたといいます。

転機となったのは、大学のオープンキャンパスでした。各国の言語や文化に触れ、「もっと外国の文化に触れてみたい」と心を動かされます。その思いを原動力に、苦手だった英語を猛勉強しました。

進学先には、地元の東京ではなく、あえて縁もゆかりもない秋田県の大学を選択。「全く知らない土地で新しい仲間たちに囲まれて過ごす方がワクワクする」という理由でした。

大学では、国内のみならず、世界各国から集まった仲間との出会いを通してさまざまな価値観に触れ、これまで当たり前だと思っていたことは、誰にとっても同じではないと実感。誰かの「普通」に合わせようとするのではなく、自分らしさを受け入れ、興味を持ったことに一歩踏み出すこと。その経験が、今村さんの人生を変えるきっかけとなりました。

必要とされることの先に自分の価値がある

「自分がやりたいことに挑戦し、その結果が誰かの役に立つ。そこに仕事のやりがいがある」と語る今村さん

大学での視野を広げる出会いを通し、異文化への関心はますます強くなっていきました。そんな今村さんが、「海外と関わる仕事」として選んだのが三菱商事でした。

食品事業を担う部署に配属され、入社2年目に念願の海外出張へ。米国の食品工場を訪れました。

初めての海外出張に胸を躍らせる一方で、英語力はまだ十分ではなく、商談も思うように力を発揮できません。それでも、「新人だから仕方ない」という甘さがあったと振り返ります。

そんな自分の未熟さを突きつけられる出来事が起こります。滞在1週間ほどたったある日、現地担当者から突然呼び出され、「あなたの存在には何の価値があるの?」という厳しい言葉を投げかけられてしまいました。

その言葉をきっかけに、今村さんは「少しでも役に立つことを片っ端からやろう」と決意。先輩のような商談はできなくても、現地のスタッフに困りごとがないか聞き、頼まれたことは些細なことでも丁寧に応えました。事務所のごみ捨てなど、雑用に近い仕事も率先して引き受けるようになりました。

こうして小さな行動を積み重ねた結果、数年後には、かつて厳しい言葉を投げかけた担当者から「あなたがいてくれてよかった」と、感謝の言葉を贈られたといいます。

この経験を通して、「自分がやりたいこと」「社会から求められること」「自分にできること」の三つが重なるところに自分の価値が生まれ、それにより仕事は面白くなると実感したといいます。

自分の「ワクワク」を信じて。未来へ踏み出す一歩を

20分間の質疑応答セッションでは、終了間際まで生徒たちの手が挙がっていました

現在は、世界を舞台にアパレル事業の最前線で活躍する今村さん。文化や言葉の違いを乗り越えて、現地のスタッフと共に新しいビジネスを生み出すことが醍醐味だと話します。

今村さんは、「まずは、自分が『面白い』『好き』と思う方向へ一歩踏み出してほしい」と生徒たちにメッセージを送りました。

講演後の質疑応答タイム。生徒から「ワクワクすることを見つけるには」という質問が寄せられました。今村さんは、「積極的に新しい人や普段触れないものに出会うこと。ずっと同じ環境にいると価値観が固定されてしまうので、普段とは違う環境に身を置くこと。本屋さんへ行って、少しでも興味の湧いた本を手に取ってみるなど、そんなことから始めてみてもいいと思います」と語りました。

時に悩み、戸惑いながらも、自分ならではの価値を見つけてきた今村さん。その歩みは、岩崎彌太郎が志を抱いたこの地で、生徒たちが自分らしい未来を考えるきっかけになったことでしょう。

「世界は遠くない」生徒たちに届いたメッセージ

降壇後、今村さんは講演の感想をこう振り返ってくれました。「商社で働く人は遠い存在ではなく、自分たちと同じように悩み、失敗しながら成長してきた人だと感じてもらいたかった」。自身の失敗や未熟だった頃の経験を率直に伝えたことで、「生徒たちに挑戦することを身近に感じてもらえて、『自分にも挑戦できるかもしれない』と思うきっかけになればうれしいですね」。

その思いは、生徒たちにもしっかり届いていました。安芸中学校3年の小松花瑠さんは、「留学を考えていたので、海外を舞台に活躍する今村さんから勇気をもらいました。自分の好きなことを見つけて挑戦したい」とコメント。安芸高校2年の山﨑悠史さんは、「仕事は誰かの役に立てたときに面白くなるという言葉が印象に残りました。将来は公務員として、自分も誰かを笑顔にできる仕事に携わりたいですね」、小原昂輝さんは、「『やりたいこと』『求められること』『できること』の重なる場所に価値が生まれるという考え方が印象的でした。将来は地域に貢献できる仕事がしたい」と話してくれました。

三菱商事の今村香月さん
左から、小松花瑠さん、山﨑悠史さん、小原昂輝さん

生徒たちとともに講演会に参加した安芸市の西内直彦市長は、「挑戦を軸にした今村さんの歩みは、岩崎彌太郎の精神にも通じるもの。生徒たちにとって、将来の可能性を考える貴重な機会になりました」と感想を話しました。

また、県立安芸高等学校 別役千世校長は、「世界で活躍する方も、生徒たちと同じように悩みや挫折を経験しながら歩んできたことが伝わりました。生徒たちには、多様な価値観や人との出会いを大切にしながら、挑戦する気持ちを持ってほしいですね」と、今回の講演を振り返りました。

開会の挨拶をする安芸市の西内直彦市長
講演会を締めくくる高知県立安芸高等学校の別役千世校長

※2026年8月27日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。

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