ライフスタイル企画

2024.01.25

旅企画「目的旅のススメ」

より良い睡眠を求めて旅に出る!?
最新スリープツーリズム

心身の疲労を回復し、記憶の定着や免疫機能を強化する役目も担う睡眠。だが、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、寝ているはずなのに疲れがとれない…と、年齢を重ねるごとに悩みが増えていくのも事実。理想的な睡眠時間は「6時間」とも「8時間」とも言われるが、重要なのは長さよりも質。旅先など、いつもと環境を変えただけで、「ぐっすり眠れた」という経験はないだろうか。ここ数年、欧米を中心に注目されているのが、眠りを主体とした旅、 “スリープツーリズム”だ。 日本でもホテルを中心に、睡眠をテーマにしたプログラムが続々とローンチ。“睡眠の質を高める旅”は、静かなブームとなりそうだ。

睡眠改善学に基づいた快眠プログラムで寛ぐ。『ANAクラウンプラザホテル金沢』

全国21都市で展開する『ANAクラウンプラザホテル』では、快眠コンサルタント監修のオリジナルプログラム「スリープ・アドバンテージ」を開発。

“就寝前のリラックス”、“夜と朝のメリハリ”、“良好な睡眠環境”という3点にフォーカスし、各種アメニティをスタンバイしている。

例えば、1日の緊張を解いてリラックスを促すアイウォーマーや入浴剤、眠りを妨げるカフェインの量を抑えた夜用ほうじ玄米茶ほか、加湿器の貸し出しサービスまで、至れり尽くせり。

また、素材や硬さを好みで選べる5種類のピローと1種類のフットピローも揃っているというから驚きだ。

マシュマロのようにやわらかい寝心地のテンピュールピローから、適度な硬さを備えたパイプピロー、吸放湿性に優れたラクダの毛を使用したキャメルピローまで。滞在期間が長ければ、あれこれ試してみるのも手。実際に寝てみて感触を確かめる機会はそうないだけに、“枕難民”にはありがたい。

その他、アロマメニューとしては、フランス直輸入の天然素材を使用したエッセンシャルオイル3種類をラインナップ。マンダリン、ラベンダー、シダーウッドのなかから、気分に応じて香りをチョイスし、リラックスを促す。

客室はいずれも和を感じさせながらもモダンな雰囲気で心地よい。何よりうれしいのは、快眠プログラム「スリープ・アドバンテージ」が、全室に用意されている点だろう。

金沢駅兼六園口(東口)から徒歩1分と、観光やビジネスの拠点としても便利なロケーションで、心地よい睡眠と清々しい朝を叶えてくれる。希少なホテルとして、ブックマークしておきたい。

『ANAクラウンプラザホテル金沢』

〒920-8518 石川県金沢市昭和町16-3
☎ 076・224・6111
総客室数:249室
スーペリアツインルーム ベストフレキシブルレート 1室2名利用1名あたり7,500円(税サ込み)〜

睡眠解析で健康をサポートするカプセルホテル。『ナインアワーズ赤阪 sleep lab』

睡眠を俯瞰し、データ化してみることのできるアプリなどが人気だが、『ナインアワーズ赤阪 sleep lab』では、カプセルベッド内のセンサーが体動、いびき音、寝顔画像を測定。

後日、ゲストには睡眠状態を科学的に分析したレポートが届くという「9h sleep fitscan」というサービスが人気を呼んでいる。

睡眠時間や寝返り回数といった基本情報から、呼吸の状態、心拍に関する指標に不眠症や不整脈に関する指標まで。

高機能センサーと360度体を包み込むカプセルユニットの特性を活かした精度の高い分析は、「自分の眠りを客観視できるいい機会」と話すゲストが多数。

数値が悪く、睡眠時無呼吸症候群や心筋梗塞といった疾病リスクが見られる場合には、大学病院やクリニック協力のもと、病院の紹介もしてくれるという。

他のゲストと隣り合う構造ゆえ、いびき音や廊下の歩行音が眠りの妨げになってきたカプセルホテルだが、最新のテクノロジーによって、快適な睡眠環境を実現。

スマートウォッチや計測器などをつけずとも、ただカプセル内で寝るだけで、正確なデータが測定できるとあれば、気軽に利用してみたくなるのも頷ける。

『ナインアワーズ赤阪 sleep lab』

〒107-0052 東京都港区赤坂4-3-14
☎︎ 050・1807・3087
総客室数:168室
1泊4,900円(税込)〜

リゾート、奄美大島で本来の眠りを取り戻す。『THE SCENE』

デジタルデバイスの普及とともに、常に脳のなかが忙しく働き、緊張状態が続く現代人。そこで、そういったツールと離れて過ごす旅、“デジタルデトックス”を提案するプランも増えている。

2021年7月に、日本で唯一国立公園内のホテルとしてオープンした『THE SCENE』もそのひとつ。

“東洋のガラパゴス”と呼ばれる世界自然遺産にも指定されている奄美大島の最南端に位置し、自然の力で心・体・脳を浄化する“ネイチャークレンズ”をコンセプトに掲げるウェルネスリゾートだ。

目の前に広がる加計呂麻島を眺めながら、日の出とともに体を目覚めさせるサンライズヨガをはじめ、凝り固まった頭皮をやわらかくほぐすヘッドケアなど、脳の緊張や疲れをまずはケアし、リラックスした状態へと体を導く。

続いて、奄美大島で唯一の天然温泉で体を深部まで温め、全身をほぐしていく。

全21室あるゲストルームは、どの部屋からも人工物のない雄大な海を眺めることができ、刻一刻と変わる空の色を眺めてぼーっと過ごすだけでも、心地よい。

交感神経から副交感神経へのスムーズな切り替えが快眠のポイント。部屋ではあえてカーテンは閉めず、月の明かりだけで眠りにつけば、翌朝は美しい奄美の海と朝日の絶景とともに目が覚める。

普段は朝食抜きで済ますという人でも、心と体がリセットされれば、自然とお腹も空いてくる。太陽の光が燦々と差し込む開放的な空間で、フレッシュな地元の食材を味わえば、体の隅々にまでエネルギーが届くはずだ。

奄美大島空港から車で約2時間。けしてアクセスがいいとはいえないが、訪れる価値のある楽園だ。

『THE SCENE』

〒894-1523 鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈970
☎︎ 0997・72・0111
総客室数:21室
スタンダード1泊2食付き(2名1室利用1名料金)6万8,400円(税サ込)〜

構成・文/一寸木 芳枝

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