ライフスタイル企画

2024.02.29

スタイリスト川上さやかの仕事服論

“仕事ができそうな印象”は、名刺入れとベルトにあらわれる

スタイリストの川上さやかさんがビジネスパーソンの服装への疑問や迷いを解消し、背中を押すファッションエッセイ。明日の仕事服を選ぶのがラクになり、自信をもつヒントを教わります。今回は小さなアイテムなのに意外と周りの人の目について、持ち主の印象を“残念”な方向に変えてしまうことまである「名刺入れとベルト」について教わります。

2024年を迎えましたが、皆さんは今年、どんな名刺入れと一緒に仕事をしていきますか?
新年に買い替えた方や最近新しいものに替えたばかりの方もいらっしゃるかもしれません。もしご自身の名刺入れを出してみて、ボロボロ、パンパンになっているなら要注意です。名刺交換の場面で、相手に“よくない印象”を与えてしまっているかもしれません。

名刺入れの角が擦り切れている、全体的に汚れているなどの消耗感があれば、初対面から好印象を与えるのは難しいものです。すぐに買い替えることをおすすめします。通勤で使う交通系ICカードを名刺入れに一緒に入れている場合は、名刺入れの劣化がより早くなるのでこの機会にそれぞれ別に用意するのがよいでしょう。レザークリーナーなどでお手入れをしながら、ひとつのものを長く使うのが素晴らしいという考え方もありますが、自分の顔とも言える名刺入れに関しては別。清潔感重視で、「くたびれたら新しいものに替える」方がいいと思います。

また、名刺入れがパンパンで、いただいた名刺を入れる隙間もほぼない、自分の名刺とこれまでに受け取った名刺が一緒になっていて、スムーズに名刺交換ができない、ということがあれば、“整理整頓ができない人=仕事ができなそう”……と思われても仕方がありません。今は名刺を管理する便利なツールが増えているので、それらを活用し、自分が日々どれだけの量の名刺交換をするのか次第で、毎日なのか週に1度なのか、頻度を決めて整理する習慣づけを。名刺入れにはいつも自分の名刺だけが入っているすっきりとした状態にするのが理想です。そのためにも、これから名刺入れを新調される方は、あまり枚数が入らない薄めのタイプがおすすめ。マチがたっぷりとある名刺入れだと、たくさん入るためつい溜めてしまうからです。

ベルトも名刺と同じように、小さな面積ながら気をつかってほしいアイテム。革製品なので長く使ううちに革にヒビが入るなどの劣化が起こります。いくらスーツや靴がきれいだったとしても、ベルトが消耗しているだけですべてが台なしになってしまうほど。

ベルトは色合わせも肝心です。とりあえず黒を持っておけばOKと考えがちですが、スーツや洋服の色次第では黒ベルトが悪目立ちしてしまうこともあります。黒とブラウンの2色のベルトを用意しておくことで、さらに素敵な印象に。面倒かもしれませんが、実は制約の多いビジネスシーンのファッションにおいては、このような細部へのこだわりがおしゃれの醍醐味であり見せどころでもあるのです。

基本的なベルト選びのルールは
・黒や明るめのグレーのスーツには黒ベルト
・チャコールグレーのスーツは黒でもブラウンのベルトでもOK
・ネイビーのスーツにはブラウンのベルト
の三つです。

名刺入れもベルトもそんなに簡単に壊れるものでもありませんし、トレンドの影響もあまり受けないので、なかなか買い替える動機が生まれにくくはあります。ですが毎日使うアイテムだからこそ、きれいな状態をキープし、ビジネスシーンで好印象を掴んでいきたいものです。

プロフィール

写真

川上 さやか(かわかみ・さやか)
スタイリスト

ファッション雑誌『Oggi』(小学館刊)やファッションブランドのウェブコンテンツなどで活動するスタイリスト。大手銀行の会社員からこの仕事に転身した異色の経歴の持ち主。シンプルでベーシックな中にもひとワザ効いたおしゃれさが光るスタイリングや、リアルな仕事服のコーディネート提案が人気。著書『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』(講談社刊)も好評発売中。
instagram:@sk_120

イラスト/山口 奈津 構成・文/高橋 香奈子

過去の記事

TOP