続く物価高に、終わりの見えない円安や原油高。東京や京都など人気都市は、引き続きインバウンド効果でホテル料金の高騰は収まる気配がない。「今年の夏休みは、どうしたものか…」と、頭を悩ませている人も多いだろう。だが、そんな状況下でも予約数を伸ばしているのが、オールインクルーシブ型のホテルだ。
「オールインクルーシブ」とは、宿泊料金に滞在中の食事やドリンク、ホテルによってはアクティビティやキッズプログラムまで、滞在時にかかるすべての費用が含まれている料金システムを指す。追加料金の心配なく、安心して旅を楽しむための選択肢は、新たな旅のスタンダードになる可能性も。そこで今、大きな注目を集めているオールインクルーシブ型のホテルを紹介したい。
【沖縄県】大人も子どももビーチアクティビティを満喫!『グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート』
2024年、全国に22軒を一斉開業し話題になった「グランドメルキュール」「メルキュール」。フランス・パリを拠点とするアコーグループが展開するホテルブランドで、全施設でオールインクルーシブを採用している。
夏休みにビーチリゾートへ出かけたいなら、沖縄本島中部の読谷村にある『グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート』の予約を取りたい。
那覇空港から車で約70分。読谷村先端に位置する残波岬は、雄大な景観と透明度の高い海、穏やかな時間が心地よい人気のリゾートだけに、ハイシーズンともなれば当然、ホテル料金は跳ね上がる。
さらにビーチアクティビティなども楽しめば、追加料金がかかり、当初の予算を大幅にオーバーすることも。
だが、『グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート』であれば、沖縄県内最大級の広さを誇り、4つのプールと3つのウォータースライダーを完備した「オールデイプール」のほか、目の前に広がる「残波ビーチ」でのマリンアクティビティも追加料金を支払うことなく楽しめる。※一部有料プログラムあり。
たとえば、海面に浮かんだ遊具に、子どもも大人も夢中になること間違いなしの「ざんぱウォーターアスレチック」、保護者が同伴すれば3歳以上から体験可能な「カヌー」などなど(※利用条件あり)。
強い日差しを遮るパラソルや、心地よい風を感じながら横たわるデッキチェアのレンタルもオールインクルーシブとありがたい。
日中、海とプールで思い切り遊んだあとは、沖縄随一といわれる残波の夕日を眺めるべく展望風呂へ。
そしてお待ちかねのディナーは、ビュッフェスタイル。沖縄県産の土地ならではの食材を活かしたメニューや郷土料理の他にキッズメニューも充実。
近海で水揚げされたマグロが乗った海鮮丼も並ぶ。ちなみに朝食ビュッフェでは、自分で作る沖縄そばが人気だとか。
もちろん、食事の際のドリンク類も、アルコールを含めて追加料金はかからない。オリオンビールのドラフト、泡盛、スパークリングワインなど選択肢も豊富で、メニューに合わせてペアリングを変えるのも一興だ。
一足早く海開きを迎える沖縄で、海とプールを満喫する夏休みにおすすめだ。
【北海道】ワイン、地酒、季節の食材を心ゆくまで味わう幸せ『小樽リトリート 蔵群 by 温故知新』
小樽市街地から車で約20分、スキーリゾートとしても人気の高い朝里川温泉に佇む全19室の宿『小樽リトリート 蔵群』。建築家・中山眞琴氏が「閑」をテーマに設計し、2026年2月には客室や大浴場など館内の一部を改装・新設し、リブランドオープン。
小樽に受け継がれる北前船の記憶と今も残る石蔵の佇まいに息づく「醸す」の思想。これを空間と体験の両面に重ね、酵素浴や発酵を取り入れた“心身を整えるリトリートが叶う宿”として、新たにスタートした。
こちらもすべての客室に天然温泉風呂を備え、夕朝食時の飲み物、バーでのご飲食、客室内ミニバー、ルームサービスがオールインクルーシブ。
とくに注目は、北海道食材に発酵を掛け合わせた食体験。朝食では、小樽の伝統的な発酵食である「ぬかにしん」や「にしんの切り込み」などを、夕食では季節ごとに内容が異なる「発酵八寸プレート」が先付として供される。
旬の北海道食材に酵素、麹、ぬか、熟成等の多彩な発酵技法を重ね、和食をベースに仕立てた料理は、いずれも滋味深く体に染み渡る。ビュッフェスタイルではなく、落ち着いて味わえるのも大人には嬉しい。
もうひとつ、滞在中に体験したいのが新たに新設された酵素風呂だ。小樽で100年の伝統を持つ大髙酵素が監修。北海道産針葉樹のおがくずに、大髙酵素の発酵原液を加え、自然発酵熱で温まったおがくず浴槽に入れば、体が内側から温まる。
代謝促進、疲労回復、美肌、免疫力向上等の効果が期待できるというから、うれしい。この酵素風呂は別料金となるが、90分 1人 6,600円とやさしい値段設定。
客室は和が持つ美しさや閑けさ、さりげなさはそのままに、よりモダンにアップデートされ、心地よい時間を過ごすことができる。
客室内にはワイン醸造の過程で生じる搾りかす(果皮)を染料として再活用した葡萄染めの座布団やクッションを、アメニティには純米酒粕を配合したフェイシャルクリームを採用するなど、環境への配慮もされている。
窓の先には里山の景観が広がる客室温泉は、貸切露天風呂同様、朝里川温泉を源泉とし、筋肉痛や神経痛、疲労回復に効果が期待できるとか。
いつでも適温のお湯が張られているため、好きな時間に思うまま湯浴みが叶う。
近年、国内外から注目を集める北海道産ワインもオールインクルーシブ。小樽、余市、仁木、空知をはじめとした、北海道産ワインを中心にラインナップされている。
また、オリジナルカクテルや小樽「田中酒造」、上川「上川大雪酒造」、函館「五稜乃蔵」などの地酒、近郊のワイナリーが手がける葡萄ジュースなど、北海道産のドリンクが豊富に揃う。
夏と冬、異なる季節で訪れたい宿だ。
【神奈川県】大江戸温泉物語が展開する温泉リゾート『TAOYA箱根』
「TAOYA」は大江戸温泉物語グループの新しい取り組みとして誕生した温泉リゾートホテルブランド。“ゆったりと、たおやかに。”をコンセプトに2019年に誕生した。
那須塩原、和倉、木曽路、下呂、白浜千畳など、全国で14施設展開しており、いずれの施設でもインフィニティ温泉や露天風呂など、温泉を通して非日常体験を味わえる。
昨秋オープンした「TAOYA箱根」は、大江戸温泉物語グループとして神奈川県内初進出。箱根の伝統工芸「寄木細工」から着想を得た空間が特徴の宿だ。
館内の至る所から雄大な山々を望み、ラウンジでは大きな窓から美しい箱根の景色を眺めながら、ゆったりとソファで寛げる。
美しい箱根の自然が目の前に広がる大浴場では、心身ともに解き放たれる至福の湯浴みを楽しめる。
天気が良い日の夜には、満天の星空に包まれるスペシャルな時間を過ごせることも。
全客室もフォレストビューで、まるで森の中に包まれているような、やわらかな静けさとぬくもりに満ちている。木の質感や落ち着いた色合いにこだわったインテリアも心地よい。
「TAOYA箱根」でうれしいのは、14時からラウンジ利用が可能な点だ。アフタヌーンティーを楽しみながら、ゆっくり15時のチェックインを待つことができる。
いちごショートケーキ、みかんクリームシフォンケーキ、濃厚カスタードプリンなど、どれもミニサイズで軽く食べられるのも小腹を満たすにはちょうどいい。
ちなみにラウンジでは、朝昼夜と時間ごとに異なるスイーツバイキングが提供され、それらも全てオールインクルーシブというから、太っ腹だ。
そして夕食は、日本の伝統工芸品である寄木細工を取り入れた、伝統とモダンが調和したレストランでいただく。
約60種のメニューをビュッフェスタイルで楽しめるほか、奥のライブキッチンでは、ホテル特製のローストビーフや鉄板焼き、沼津みかんのクレープシュゼットの出来たてがゲストを待っている。
夕食後は、ラウンジで地元の日本酒やワインとのペアリングを楽しめる、大人のための夜のティータイム、「ナイトハイティー」を。その後、小腹が空くようなら、夜食サービスを利用するのもいい。
ゆっくりと起き出した朝は、朝食バイキングからスタート。特撰海鮮丼はもちろん、クラムチャウダーやボルシチなど各国のスープを揃えたワールドスープバー、ライブキッチンでは切りたて鎌倉ハムに、相模の赤玉子のオムレツ、小田原おでんなど、ご当地グルメも楽しめる。
食いしん坊にはたまらない、楽園だ。
構成・文/一寸木芳枝