ライフスタイル企画

2026.10.01

旅企画「目的旅のススメ」

美食の秋! 足を運ぶ価値のあるオーベルジュで過ごす“おいしい”休日

美食の秋! 足を運ぶ価値のあるオーベルジュで過ごす“おいしい”休日

ご当地の旬の食材を、その土地の気候風土を知り尽くした料理人が極上の料理へと昇華し、旅人をもてなすオーベルジュ。時間や移動の心配をせず、お酒と食事をゆっくりと味わい、食後は部屋に戻って余韻に浸れるという愉悦は、大人にとって最高のご褒美だ。忙しくなる年末を前に、町場のレストランとは異なる開放感、非日常世界に身を委ね、リラックスして過ごす週末旅はいかがだろう。

【静岡県】110年超の数寄屋造りの建物で味わうモダンチャイニーズ『沼津倶楽部』

大正2年、ミツワ石鹸二代目社長・三輪善兵衛が沼津市から借用した約三千坪の土地に建てた数寄屋造りの建物「松岩亭」に始まった沼津倶楽部。

渡辺明氏によって増築された8室限定の宿泊施設とともに、2023年には「東京チャイニーズ一凛」、「イチリン ハナレ」、「TexturA」を手掛ける齋藤宏文氏が監修するレストラン「茶亭」がオープン。年々、美食の宿として存在感を高めている。

ゲストが食事をする「茶亭」は、約110年の歴史を持つ数寄屋造りの建物で、長屋門をくぐり、優美な庭園を歩くとその姿が見えてくる。

登録有形文化財である建物の内部は、瀟洒な和室、京都より移築された三畳台目の茶席、和洋折衷の洋間などで構成され、この地で紡がれてきた歴史を肌で感じられる。

料理は静岡県にルーツを持つ齋藤シェフが選りすぐった地元の食材や駿河湾や伊豆近海の魚介を生かしたモダンチャイニーズ。

シェフのスペシャリテとして知られる黒酢と自家製ラー油で味わう「よだれ鶏」のほか、秋は香りを楽しむ「きのこのスープ」や刺激の奥にうま味が光る「麻婆豆腐」などが季節ごとに変わる「おまかせコース」で味わえる。

「茶亭」の利用はビジターも可能だが、宿泊ゲストだけが楽しめる朝食は必食。中華、和食、洋食の3種類から選ぶことができ、朝からお腹いっぱいの“口福”に包まれる。

和の空間で味わう中華というギャップもまた新鮮だ。

【三重県】アート、温泉、熟成肉が五感を刺激する『湯の山 素粋居』

三重県三重郡菰野町と滋賀県東近江市の境界にある、標高1,212mの鈴鹿山脈の主峰、御在所岳(ございしょだけ)の麓にある古湯、湯の山温泉。

奈良時代に発見され、1300年以上の歴史があるこの地に、2020年にオープンしたのが12のヴィラをもつ『湯の山 素粋居(そすいきょ)』だ。

独立したヴィラは、それぞれ土、石、漆喰、木、漆、和紙、硝子、鉄など、素のままで美しい8つの素材をテーマに現代美術や工芸、古美術、アンティークによって設えられ、“まるで美術館のような宿”と称されることも。

また、2026年7月にはプライベートサウナ付きのヴィラも新たに登場し、より深いリラックス体験ができるように。

そんな各棟のヴィラから徒歩3分圏内に位置するのがレストラン『HINOMORI』。野菜、魚介類、熟成肉を薪や炭など直火を使い、繊細かつ豪快なアレンジで提供。

監修を務めるのは3つ星を含む数々の星付きレストランで修行後、独立し1年半で1つ星を獲得するなど、フランスの美食発展に関わる第一人者として知られる手島竜司氏。

シンプルに素材を生かしながらも、炙る、燻す、焼くなど“火の味”への探究心とクリエイティブが光る料理の数々は、旅の思い出とともに舌に鮮烈な印象を残す。

パチパチと弾ける薪の音や食欲をそそる薫香に身を委ねながら、焼き上がりを待つ時間もまた楽しい。

“美人の湯”でもある極上天然温泉と直火熟成肉で、明日からの英気を養おう。

【福井県】越前がに、若狭牛を名シェフがフレンチに昇華『オーベルジュほまち 三國湊』

北陸新幹線の延伸で旅先としての人気が高まる福井県。越前がにや甘海老など、世界に誇る日本海の豊かな海の幸もまた、旅の目的にする人が多い。

そんな福井県のなかでも江戸から明治時代にかけて、北前船の寄港地として栄えた三國湊エリアに2024年、『オーベルジュほまち 三國湊』が開業。ユニークな滞在スタイルが注目を集めている。

ゲストが滞在するのは、フロント棟を中心に半径800m以内に点在する客室。9棟16室あるが、いずれも三國湊特有の建築様式「かぐら建て」をはじめとする町家を改修した建物だ。

レストランはというと、蔵も含めた歴史ある建物1棟丸ごと食空間となっており、吉野シェフが選んだハーブや果樹が育つ中庭を臨むテーブル、二人だけの空間で寛げる半個室が用意されている。

プロデュースを務めるのは、フレンチのスターシェフ、吉野建氏。「タテルヨシノ 三國湊」と看板を掲げ、越前がにや若狭牛など、福井県の食材をフレンチへと昇華したコースが味わえる。

客室からレストランへ町を歩いて向かう―。その道のりが滞在の一部となっている新しいカタチのオーベルジュだ。

構成・文/一寸木芳枝


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