拠点訪問

2025.10.23

三菱ふそうトラック・バス

三菱ふそうバス製造

バスは基本、オーダーメイド生産!?
自分達が作ったバスが路上を走っているのを
見るのはうれしい。正直、感動します。

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JR富山駅からタクシーで20分強。住宅地や田畑が広がる富山市郊外にある三菱ふそうバス製造は、文字通り三菱ふそうグループのバス専門の製造会社だ。
もともと1950年に呉羽自動車工業としてリヤエンジンバスの製造会社としてスタートした。その源流は第2次戦時中の呉羽紡績系列の呉羽航空機にあり、機体製造技術を生かし、バスメーカーとして分離独立したことにある。翌年には本社工場を富山市に移転。1956年には三菱ふそう自動車と提携し、系列生産を開始した。
さらに1986年には新呉羽自動車工業に改称。1993年に本社工場を現在地に移転し、三菱自動車の完全子会社になったことから、三菱自動車バス製造と改称した。1998年には三菱自動車より大型バス生産の全面移管を受け、2003年より三菱ふそうトラック・バスの分社にあわせて、三菱ふそうバス製造と現在の社名に改称した。2010年には三菱ふそうトラック・バスより小型バス生産が全面移管され、同年以降、FUSOブランドのバス製造はここ富山にすべてが集約され、現在に至っている。

つまり、三菱ふそうのバスは全国でもここだけですべてが作られているということになる。しかも、バスはすべてオーダーメイドされる。生産ラインを見ていると、どのバスもまるで工芸品のように大事に製造されていく。大型バスは観光向けや路線向け、小型バスは意外なことに海外向けが多いという。
富山県の気風もあるのか、従業員は真面目で親しみやすい。離職率も低いと聞く。富山県内の優良企業でもある同社の従業員はどんな人達で、どのような働き方をしているのか。これから紹介していこう。

現場の意見を聞き、作業しやすい環境を
提供することが自分の業務の使命です

三菱ふそうバス製造のバス品質保証部品質検査課部品検査係で働く中澤 伸彦さんは入社10年目。「おもにバス部品の品質検査を行っています。たとえばランプがつかないといったトラブルが起きたときに、原因を探り、部品を交換するなどさまざまな対応をしています」
仕事で大変なのはトラブルがいつ起こるかは分からないこと。「生産ラインの方達から不具合対応の相談を受ける度、自分が持っている知識をフル活用しなければなりません。その分、仕事に飽きることがなく、毎日新鮮な気持ちで仕事をしています」

そんな中澤さんの仕事のやり甲斐とは何か。
「たとえば生産工程でエンジンがうまく動かないとき、なぜ動かないのか。私は旗振り役をするのですが、いろいろな方達に協力してもらって原因を突き止めていきます。議論を重ねるなかで、やっとの思いでエンジンが正常作動したときにはやり甲斐を感じます。生産はいつまでも時間をかけていいわけではありません。『これで出荷に間に合う』と達成感を得られることが多いですね」
意外に思われるかもしれないが、バス製造は手作業が多い。通常の乗用車は生産ラインの多くの部分が自動化されているが、バスはオーダーメイドであるため、顧客ごとにデザインも異なる。そのため手作業によるものがほとんどだ。
「だからこそ、自分が作ったバスは子どものようで、路上を走っているのを見るのはうれしい。正直、感動しますね」

生産管理部生産技術課の安川 祐樹さんは入社19年目。現在の仕事は新機種における生産工法・手順の立案、検証と生産設備・治具(じぐ=車両をセットする受け)・工具の計画、準備、調達のほか現生産ラインにおける改善業務など多岐にわたる。
「入社して3年ほどは、日々仕事を覚えていくことで精一杯でした。しかし、次第に周りを見る余裕も出てきて、5年も経つと自分の考えたプランを実施できるようになり、10年ほど経つと主体的に業務ができるようになっていました。気がつけば溶組工程一筋でバス作りに携わってきたことになりますね」

そう語る安川さんが日々の業務で、気をつけていることは何か。
「新機種生産の準備など、私の業務スパンは、長期的なものが多く、数年にわたるものもあります。自分のペースで業務ができるのはいいのですが、その一方で、全体像から詳細なスケジュールまでを一から自分で調査・検討・組み立てしなければなりません。もし見誤ると生産遅れや生産トラブルなど、大きな影響を招くケース(生産できない⇒損失)もあるため、気を使うことが多いですね」
仕事のやり甲斐を感じるのはどんなときだろうか。
「工法の計画や、設備の準備検討段階では、現場で働く皆さんの意見を聞き、生産しやすく、作業しやすい環境を提供することが自分の業務の使命だと思っています。すべての要求に応えられない場合や、こちらから無理なお願いをすることも多く、持ちつ持たれつの関係にあると考えています。そんななかで『ありがとう』「『楽になった』『助かった』といった言葉をもらえると、喜びとやり甲斐を感じますし、次への意欲にもつながりますね」

仕事が好きなので、新しい仕事を覚えることも
やり甲斐につながっています

工作部大型組立課艤装係の井村 貴志さんは入社26年目。現在は、生産ラインの作業者がスムーズに作業を行えるよう、課・係・各班の日々の生産進捗の確認やトラブル対応などをサポートしている。
「自分の課だけでなく全体も見ないといけないので、情報量が膨大になることもあります。私は現場上がりですが、係長になってからは、リーダーシップが必要であることを強く感じるようになりました。なかでもコミュニケーションが最も大事であり、そこを常に意識しながら行動するようにしています」
井村さんは2025年1月から係長になったばかり。仕事への熱意も人一倍強い。
「仕事が好きなので、新しい仕事を覚えることもやり甲斐につながっています。もっと言えば、覚えなければならない仕事のすべてが試練であると同時にやり甲斐だと思っています」

工作部板金塗装課板金係の黒崎 涼さんは入社10年目。おもに半自動溶接、スポット溶接、板金仕上げを用いて、小型バスのボデー製作を行っている。
「何もないところからバスの骨格作りを始め、塗装に届けるまでを担当しています。最初の生産段階は溶接などやはり技術がいる仕事なので、正直難しい。人間がやる作業なので、どうしてもミスが出てしまうこともあります。それを板金で修正していく。そのあたりをうまくやっていくのは大変ですね」
黒崎さんの仕事のやり甲斐とは何だろうか。
「完成したバスが走っているところを見ると、やはりこれは自分達が作ったものだとうれしくなります。ときには改善内容を英語で説明したり、社長にプレゼンしたりするときもあります。そんなときは、自分を成長させる機会だと思い、いい経験を積むことができたと充実感を感じることがあります」

人事・総務部人事の梁 瀟(リョウ・ショウ)さんは、中国出身の入社6年目。日本に留学したのは大学時代から。現在は新卒採用、社員教育などを担当している。
「私は中国人であり、入社のときは日本語の壁がありました。日本語は中国の大学で2年間専門的に学んでから日本の大学に編入しました。今の仕事はコミュニケーションが中心であり、責任のある仕事なので、社内外で懸命に努力しているところです」
新卒採用では年間計画の立案や、説明会や面接の場づくり、学校とのパイプづくり(訪問・連絡)や学生との信頼関係構築(フォロー連絡など)もしなければならない。
「業務が多岐にわたり、スケジュールがタイトなため、複数業務を同時並行で進めなければなりません。社員教育についても、社外講師と連携し、研修を実施していただいています」。
そんな梁さんがやり甲斐を感じるのはどんなときか。
「少子高齢化で地方の人材採用は年々難しくなっています。そんななかでも新卒採用では、学生の成長や入社決定の瞬間に立ち会うことができます。まさに『人の成長=会社の力』に直接関われる実感があるところに大きなやり甲斐を感じますね」。

インタビュアー写真

中澤 伸彦
NOBUHIKO NAKAZAWA
品質保証部品質検査課部品検査係

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安川 祐樹
YUKI YASUKAWA
生産管理部生産技術課

※所属部署は取材時(2025年8月)の部署です

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井村 貴志
TAKASHI IMURA
工作部大型組立課

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黒崎 涼
RYO KUROSAKI
工作部 板金塗装課板金係

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梁 瀟
SHO RYO
人事・総務部人事

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