 
							三菱パビリオンデー、大阪・関西万博“シャインハット”で記念写真を撮る受賞者たち
大阪・関西万博の三菱パビリオンデーが2025年7月31日、EXPO ホール(大催事場)“シャインハット”で開催された。今回は多くのプログラムのうち、三菱広報委員会、日本ユネスコ協会連盟などが主催する「2024-2025三菱アジア子ども絵日記フェスタ(第16期グランプリ受賞者交流プログラム)」を紹介する。アジアの子ども達が、絵日記を通じて互いの文化を理解・尊重し、ともによりよい未来を築くための活動を支援する同プログラムに、アジアから22の国と地域の子ども達が参加した。3日間にわたって行われた同プログラムの概要についてレポートしよう。
未来を担う子どもたち、若者たちが主役の、三菱グループがお届けする夏の祭典、三菱パビリオンデーが2025年7月31日に大阪・関西万博EXPOホール“シャインハット”にて開催された。大阪府立北野高校ダンス部による「オープニングアクト」に始まり、「明治安田しあわせフォトコン」、三菱みらい育成財団による「高校生MIRAI万博」などが行われる中、三菱広報委員会による「2024-2025三菱アジア子ども絵日記フェスタ」は今回で16回目。アジアの23の国と地域から3万3,793作品が応募され、各国・各地域のグランプリ受賞者と日本の入賞者7名の国際表彰式が、午後から“シャインハット”で行われた。冒頭、実行委員長で三菱広報委員会会長である垣内 威彦氏が次のように挨拶した。
 
							挨拶する三菱広報委員会会長の垣内 威彦氏。
								「三菱アジア子ども絵日記フェスタは、アジアの子ども達に絵と文章を通じて、自分の想いや体験を表現し、国境を越えて心を通わせてほしいという思いのもと、1990年から三菱広報委員会とユネスコの皆さまで主催してきた取り組みです。今回は、『アジアのみんなに伝えたい私の生活』をテーマに23の国と地域から3万3千点を超える作品が寄せられました。どの作品からも日々の暮らしのなかで見つけた大切なこと、心が動かされた出来事を一生懸命伝えようとする皆さんの熱意を感じました。作品を通じて、子ども達の純粋な目や心を通して描かれたさまざまな世界を私自身も体験することができ、たいへん感動しました。
また、住む国や地域、言葉が違っていたとしても、人の胸の奥にあるやさしさ、感謝、希望などの温かい気持ちや思いは共通するものであり、皆さまの作品を通じて、そうした感情が国境を越えて響き合う可能性を大いに実感しました。受賞者の皆さま、力強く、チャーミング、そして丁寧に作品をつくってくれてありがとう。作品に描かれていた美しい自然、伝統的なお祭り、ユニークな食文化など友達と共有、尊重し合いながら、その豊かな感性と表現力を大切にして、ぜひ世界中の人々との懸け橋となってください。多様性のなかで、人々が心を通わせて認め合うことは今回の万博のテーマである『命輝く未来社会のデザイン』にもつながり、皆さんが住む世界をより希望にあふれたものにしていくと信じています。受賞、おめでとう!」
							
 
							三菱アジア子ども絵日記フェスタ選考委員長で洋画家の佐藤 一郎氏。
応募作品は各国地域で行われた選考会で代表8作品が選ばれ、合計184作品が日本で行われる国際選考会に集められた。そして今春、国際選考会の厳正な選考の結果、グランプリ受賞者23名が決定した。選考委員長である佐藤 一郎氏は、こう感想を語った。
「今回も本当に素晴らしい作品が多かったと思います。お国柄がよくわかる作品が多く、ひとりひとりの作品をよく見ていくと、やはりそこには子ども自身が感じたこと、考えたこと、体験したことがとてもよく絵と文章で表現されていました。子ども自身が身の周りで体験した出来事を自分なりにきちんと受け止めて、作品にしているといえるでしょう。このように創造性を発揮するアジアの子ども達が大人になり国際性を身につけることで、どんなに素敵な地球世界になっていくのだろうと、非常に期待を持って絵日記を見ることができました。どの作品にも地球を巡る風が穏やかに流れ、それぞれに多様性に富み、素晴らしい。各国・各地域1名のグランプリを選ぶ選考はたいへん難しいものでしたが、そのグランプリに輝いた皆さんには、これからアジアのたくさんの子ども達とさまざまなプログラムで親善を楽しんでもらいたいと願っています」
 
								 
								 
							三菱パビリオンデーの一環として行われた各国のグランプリ受賞者の国際表彰式の様子。
「日本は偉大な国、テクノロジーが
								とても進んでいる」と子ども達
							
                        各国・各地域のグランプリ受賞者等の国際表彰式が行われたのち三菱未来館を見学。夕方からは市内ホテルで、子ども達や関係者ら約170名が参加したウェルカムレセプションが行われた。会場では食事のほか、ヨーヨー釣り、射的、輪投げ、日本のおもちゃによる縁日コーナーや、あめ細工の伝統工芸屋台が用意され、グランプリ受賞者や国内受賞者の子ども達で賑わった。また、アトラクションとして、地元中高生を中心とした大阪メチャハピー祭「メチャハピー踊り子隊」が踊りを披露し、レセプションを盛り上げてくれた。
 
							ウェルカムレセプションの様子。受賞者の子ども達は縁日コーナーに興味津々。
 
								 
								こうした催しが行われるなか、三菱未来館にも訪れたグランプリ受賞者はどのような思いで今回のプログラムに参加したのか聞いてみた。まずブルネイ・ダルサラーム国のアワンク アイシー アタラー君(10歳)は、「こうしたプログラムに参加するのは初めて。入賞できて、とてもうれしいです。応募したのは学校の先生にすすめられたから。日本に来たのは初めて。とくにテクノロジーの高さに驚きました。もともと日本に興味があり、『ワンピース』など日本のアニメや漫画が大好き。将来的にはブルネイで初めての漫画家になりたいと考えています」と語った。
 
									 
									ブルネイ・ダルサラーム国のアワンク アイシー アタラー君。
インドネシア共和国のアユンダ ララサティ プラミトさん(11歳)は「大阪・関西万博を訪れて、すごく興奮しています。今回受賞した絵日記は、自分の住んでいる地域から想像して描きました。絵を描くのは大好き。日本に来てみて、偉大な国だと感じました。将来は私もインドネシアを代表するようなデザイナーになりたいと思っています」と語った。
 
									 
									インドネシア共和国のアユンダ ララサティ プラミトさん。
ミャンマー連邦共和国のボン ニャン ヘイン君(11歳)は、日本語で「こんにちは」と挨拶してくれた。「日本に行く飛行機に乗った瞬間はとても緊張したけれど、今はすごくうれしいです。日本は素敵な国で、大阪・関西万博を見ると、すごくテクノロジーが発展している印象です。将来はデザイナーか建築家になることが夢です」と語った。
 
									 
									ミャンマー連邦共和国のボン ニャン ヘイン君。
日本の石橋 紗和佳さん(11歳)は小学3年生のときにもグランプリを受賞しており、今回で2度目の受賞。「2回も受賞できるとは思っていませんでした。前回は自分の気持ちを大きく描くことに気をつかいましたが、今回は日本の繊細さを描くために細部にこだわりました。今いちばん好きな教科は体育で、図工は2番目(笑)。将来は、切手デザイナーになりたいと思いましたが、人数が少なく難しそう。今は広告のチラシや本にかかわるデザインをしてみたいです。大阪・関西万博を訪れて感動しています。大阪は、自分の街より都会という感じ。ただ、大阪には山がなくて驚きました(笑)。明後日のプログラムでは京都に行く予定だけど、建築が好きだから、古い建物や街並みも見てみたいなと思っています」と語った。
 
									 
									日本の石橋 紗和佳さん。
大人が思っている以上に、アジアの子ども達は大阪・関西万博を訪れて、たくさんのことを体験し、多くを学んだようだ。アジアの子ども達が互いに楽しく交流している光景は、大人から見ても頼もしいものに思えた。
地元大阪市の小学校と交流
								作品のグループワークも実施
							
                        
								プログラム2日目。午前中は大阪市立城東小学校でグランプリ受賞者との小学校交流プログラムが行われた。城東小学校の児童の皆さんが企画したプログラムを実施し、遊びや文化紹介を通じてアジアの子ども達同士の交流を図るもので、ブラスバンドの演奏のなか城東小学校の児童達に出迎えられた。
								グランプリ受賞者は計4グループに分かれ、校内の相撲ゾーンや書道ゾーン、手ぬぐい版画ゾーン、合奏ゾーンをそれぞれ体験した。日本の文化や遊びを児童達に教えてもらったみんなは何とも楽しそう。城東小学校の児童も、初対面にもかかわらず、英語を交えながら積極的に交流しようとする姿が印象に残った。
							
 
								 
								 
							午後からは小学校近くの城東福祉会館で、このプログラムの記念モニュメントとなる作品を共同で制作した。2~3名1組で、8つのグループに分かれ、自分の夢、相手の夢、みんなの夢など、描く未来を語り合いながら、共同での作品製作からプレゼンテーションまでのグループワークが実施された。制作テーマは「わたしたちの未来」。グランプリ受賞者に、テーマに沿った内容の絵を円形のキャンバスに描いてもらい、最終的に一枚の作品として完成させるというもの。みんな保護者やファシリテーターのサポートを受けながら約3時間をかけて制作に取り組んだ。
 
								 
								 
								 
								 
							その後、各グループはそれぞれのアイデアを生かしながら、制作テーマである「わたしたちの未来」を描いたものについてプレゼンテーションした。グランプリ受賞者からは、作品を前に「肌の色や国の違いを越えて団結できる社会を創造したい」「持続可能なエネルギーを通じて、持続可能な生活を送れるよう未来を創造する」「自然を守りたい」といった大人顔負けの主張が聞かれた。
								夕方からは場所を移して、天保山マーケットプレイスで夕食やショッピングを体験した。
最終日のプログラム3日目には、エクスカーション(体験型見学会)として京都観光が行われた。清水寺、東映太秦映画村、嵯峨野トロッコ列車など、京都の見どころを見学・体験。7月31日~8月2日まで計3日間にわたって行われた「2024-2025三菱アジア子ども絵日記フェスタ第16期グランプリ受賞者交流プログラム」。多くの貴重な体験プログラムや催しに、グランプリ受賞者であるアジアの子ども達は日本で何を感じ、何を学び、帰途についたのだろうか。さまざまな未来を描く子ども達の将来に期待したい。
 
							完成した共同作品「わたしたちの未来」を前に。
 
								 
                             
                            