トップインタビュー

2026.03.05

湘南カントリークラブ

三菱グループのメンバーシップである湘南カントリークラブ
ぜひ次世代の方々にも会員になっていただいてゴルフ全体を盛り上げたい

三菱関連企業のトップのお考えやお人柄をお伝えする連載『トップインタビュー』。第33回は湘南カントリークラブ代表取締役社長の島村琢哉氏に同社の歴史や現状、展望について聞いた。

トップインタビュー メインビジュアル 「マンスリーみつびし」

2022年、2023年は年間4万人を上回る来場者。現在も来場者数の好調は続いており、平日も活況を呈している状況。2025年3月に当クラブの社長に就任してからはかなり頻繁に来訪中。

湘南カントリークラブ代表取締役社長
島村 琢哉(しまむら・たくや)

1956年生まれ。鎌倉市で育ち、1980年慶應義塾大学経済学部卒業後、旭硝子(現・AGC)入社。2003年アサヒマスケミカル社長、2006年旭硝子化学品カンパニー企画・管理室長。2007年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2010年同社執行役員化学品カンパニープレジデント。2014年常務執行役員電子カンパニープレジデント。2015年代表取締役兼社長執行役員CEO。2021年取締役兼会長(現在に至る)。
2022年荏原製作所社外取締役、JFEホールディングス社外取締役(非常勤)。2025年より現職。

――湘南カントリークラブは1961年に設立されたとお聞きしました。

島村三菱グループが開場したメンバーシップのゴルフ場で、日本のゴルフコース設計の第一人者といわれた名匠・井上 誠一氏によって設計された、パー72、全長6,931ヤードのチャンピオンコースです。戦前に岩崎 小彌太が巣鴨に創設した三菱の独身者のための思斉寮という寮があり、その思斉寮の出身者の方々が、「三菱の若い人達が気軽にゴルフを楽しめる場を持つべきではないか」ということを話され、発起人となってスタートしました。開場までには用地の買収から設備の建設など、ひとつひとつ積み重ねていく苦労がありました。当初は9ホールのみ、クラブハウスも立派なものではありませんでした。レストランもなく、皆さんが来られるときは駅弁を買ってきたそうです。お風呂も4~5人入ればいっぱいになってしまうような手づくりのゴルフ場として始まりました。

――三菱グループのメンバーシップであることが特徴ですね。

島村会員は三菱グループ各社の社員を主体として、営利目的ではなく、グループの交流を通して親交を深める、あるいは、重要なお客さまをご招待してご満足いただけるようなゴルフ場を持ちたいという思いがありました。我々は一般のゴルフ場と比べると、利益を目的とするのではなく、あくまで高品質なゴルフ場でゴルフを楽しんでいただくことを目的としています。経営のスタイルも一般的なゴルフ場とは違った運営になっています。三菱を中心とした社交の場を提供していきたい。そして、ひとつの三菱ブランドを象徴する施設にしていきたいという思いがあります。


――開場してから、すでに50年以上が経過しています。

島村開場50周年のときに、もう一度基本理念に立ち返ろうということになりました。基本理念として「ゴルフを楽しみ、交友を深め、品位あるクラブライフを満喫する集いを目指します」「会員による自主的な運営により、高品質でフレンドリーなクラブを目指します」「井上 誠一氏の設計思想を尊重しつつ、戦略性が高く風格あるコースを持続的に進化させます」「地域社会への貢献と自然環境への思いやりを大切にするとともに、安全・安心を確保します」ということが掲げられています。
我々の過去の先達の方々の努力、会員の皆さんのご支援があって、コースは非常に整備が行き届き、チャンピオンコースの名に恥じないものとなっています。

会員の会員による会員のためのゴルフ場
高い品質を目指す基本理念を大切にしていきたい

――2025年3月に社長に就任されましたが、改めて社長としての抱負をお聞かせください。

島村三菱各社全体の交流の場としての意味合いが非常に大きい施設だと思っています。また、各社においては大切なお客さまをお招きしてゴルフを楽しんでいただける社交の場でもあります。そのことをまず忘れてはなりません。
会員の会員による会員のためのゴルフ場ということで、人任せでゴルフライフを楽しむのではなく、会員自らがさまざまな運営の中身について検討し、高い品質を目指すゴルフ場にしていくという基本理念を大切にしていきたいと考えております。
現在、会員数は1,400名強。会員の平均年齢は71歳。そのため、次の世代にどのように継承していくのか。若い方々に会員になっていただき、全体を盛り上げていただけるような雰囲気づくり、そして従業員の皆さんには、ここで働いていることの喜びを感じていただけるよう、ほかにない雰囲気を皆さんとワンチームでつくり上げていくために努力していきたいと思っています。営業収支の面からすると、会員が中心になりますから、どうしても支出が上回ってしまいますが、何とか収支バランスが均衡になるよう、ちょうど今、新しい中期計画がスタートしたところです。現在のクラブハウスを建てて20年。これから数年の間にメンテナンスの大型投資が必要になってきます。財政的なバランスの健全性を維持し、皆さんに安心してお使いいただけるよう整備していくことが重要だと思っております。


――島村社長は鎌倉育ちで、ゴルフ場からも近い場所にお住まいですね。

島村このあたりは海が近くて、やはり都会とは違ったフレッシュな空気を感じますね。東京で勤務していて、電車に乗って、大船、北鎌倉、あるいは、藤沢といった湘南方面へ帰って来ると雰囲気が変わってきます。気分転換をするにはすごくいいところです。そんな場所で、ゴルフでリラックスして、――コース自体は難しいですが(笑)――楽しんでいただきたいです。また、このあたりは海の幸も豊富ですから、アフターゴルフの楽しみ方もいろいろあると思います。


――島村社長は現在、AGC会長でもありますが、若い頃に思い出はおありでしょうか。

島村いつも苦労していまして、すべてが思い出といえるかもしれませんね(笑)。入社して3年くらい千葉の工場勤務をしていましたが、そのときに現場で働いている人達と、いかに共感をもって、ひとつの仕事をやり遂げていくのかを学びました。わずかな期間ではありましたが、私の会社人生のベース、社会人としての出発点になったと考えています。人とのコミュニケーションや、チームで物事に取り組んでいくことなど、40年以上にわたる私の仕事の流儀のベースとなっています。

――少しだけエピソードを挙げるとすれば、いかがでしょうか。

島村バブル期に大阪で営業をやっている頃、お客さまや仲間と毎晩のようにお酒を酌み交わしながら、人生を語り、社会を語るといった機会がたくさんありました。40代後半の頃は、1,200人くらいのジョイントベンチャー社長としてインドネシアに赴任しました。英語での仕事や経営の経験が初めてで当初は戸惑いました。しかしそのときに思ったのは、仕事はハート・トゥ・ハートが大切だということです。相手に言いたいことを一生懸命繰り返せば、国や文化・年齢が違っても伝わるようになるのです。

将来を見据えて、地元の人間を幹部に据えて運営していくような会社にしたいという思いもありました。ビジネスの新たな情報はビジネスのメインの場所に集まってくるものです。意思決定を東京ではなく現地のインドネシアですることは大事なことでした。企業としてのグローバル化は、日本人だけではできません。人種やジェンダーを超えていかなければならないのです。現地において現地の人を育て、意識付けし、共感することをやっていけば、必ず自立して成長することができると考えています。

次の50年、100年に向けて
三菱ブランドを代表するゴルフ場として維持していきたい

――50歳の頃にはハーバード・ビジネス・スクールでシニアマネジャー向けのトップマネジメント養成プログラム「Advanced Management Program」(AMP)を受講されていますね。

島村比叡山の阿闍梨さんの千日回峰行のように大変なものでした。大量のケース・スタディで学びながら、英語漬けで先生とディスカッションするのです。1つのクラスで100人以上。我先に挙手して発言しますが、日本人は違うと思ったら、なかなか挙手をしません。違うということを意見表明しないのです。しかし、ほかの国の人達はそうではありません。日本と海外ではそういう差があるのです。グローバルに仕事をするときは、以心伝心はなく、言わなければ何も伝わらないのです。
今でも同期達とよく話すのは、トップの言葉が伝言ゲームになってはいけないということです。もしトップの言っていることと現場の人の意見が違えば、組織は混乱してしまいます。いかにトップの思いを現場で働いている人に直接伝えて理解してもらうのか。トップの役割とは、自分のすぐ側の人間にあれをやれこれをやれと言うのではなく、自分から現場に行って自分の思いを伝えると同時に、本当に現場で苦しんでいる人達が何を感じ、何を考えているのか。自分で確認することが必要だということです。それはどんな企業も同じだと思っています。当時受けた授業でマイク・タッシュマン教授の「組織経営論」が印象的でしたが、彼とチャールズ・オライリー教授に「両利きの経営」の実践企業としてケース・スタディに取り上げられることになり、彼らとの再会を果たすことができたのは非常に感慨深いです。

――他方、ゴルフはビジネスとの親和性が高いといわれていますが、実際にゴルフはビジネスにどのような効果を生むのでしょうか。

島村接待でお酒を飲んだり、食事をしたりする時間はせいぜい2~3時間くらいです。しかし、ゴルフの場合は朝から晩まで8~9時間過ごすことになります。ゴルフをやっている間の話題は仕事の話というより、個人対個人の話となり、その距離はグッと縮まります。しかもゴルフはその人の性格が出るものです。仕事でお付き合いするときも、その人の感じが分かったうえでお付き合いすることができます。
さらに、お互いに一歩距離を近づけているから、コミュニケーションがとりやすくなります。よくゴルフで接待をするときに自分の車で迎えに行く方がいますが、実は車のなかであれば、キーパーソンとなる人と送り迎えの往復の2時間に2人だけで話すことができます。これは中小企業の社長さんから学んだことです。ふだんの会話と深く話すコミュニケーションは違うものです。リスペクトしながら互いの考えを表明するコミュニケーション、いわゆる対話の機会は、ゴルフでは得やすくなるのです。


――最後にメッセージをお願いします。

島村皆さまのおかげで今日があると思っています。我々としては、次の50年、100年に向けて三菱ブランドを代表するゴルフ場として維持していくことが大事だと考えています。そのためには次世代の方々に積極的に会員になっていただき、継承していただきたい。そのために会員のなりやすさについても今後考慮していきたいと思っています。
三菱グループ各社の皆さまにもぜひ積極的に会員になっていただき、横のつながりを広げて、大事なお客さまをお連れいただきたいと思っております。


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