拠点訪問

2025.12.25

三菱マテリアル

ゴールデン佐渡

「お客さまに満足してもらうこと」
それが佐渡で働く社員達で共有している思い

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佐渡の金の歴史は長く、古くは平安時代末期の「今昔物語集」に能登の金堀集団が佐渡の「西三川砂金山」で金を掘った説話が収められている。佐渡には50以上の鉱山が確認されているが、なかでも「相川金銀山」は先に開発されていた鶴子銀山の技術者によって1601年に開山されたと伝えられ、そこから江戸幕府による本格的な開発が始まった。すぐに佐渡一国が天領となり佐渡奉行所が設置されると、重要鉱山として厳格な管理が行われ、採掘・精錬から小判の製造まで一連の金銀生産システムが確立された。伝統的手工業により99.54%という高品質の金を生産し続け、最盛期には世界の金生産量の10%を誇った。

世界遺産「佐渡島の金山」は大きくこの「西三川砂金山」と「相川鶴子銀山」に2つに分けられ、それぞれの地域で異なる採掘技術と社会組織が発展した。その後時代を経て、1896年に宮内省御料局より三菱合資会社へ払い下げられ、1918年に炭鉱・鉱山部門の三菱鉱業に引き継がれた。1962年には三菱鉱業の流れを組む三菱金属鉱業(現三菱マテリアル)が、佐渡金山の宗太夫坑を観光坑道として観光業を開始。1970年にはその観光会社としてゴールデン佐渡を設立した。1973年に佐渡金山が佐渡金山株式会社として独立。バブル絶頂の1989年に約400年続いた佐渡金山の採掘操業が中止され、ゴールデン佐渡に吸収合併され現在に至っている。

それは四半世紀以上にわたる長い挑戦の成果だった。1997年頃に始まった地元有志による勉強会がきっかけとなり、2006年からは新潟県と佐渡市が本格的に取り組むことになった。2014年には「佐渡金銀山世界遺産登録推進県民会議」が発足、官民一体の動きに発展した。その後も気運醸成の取り組みが続けられ、国内外の専門家や国・地方自治体の関係者、地域住民など多くの方々の尽力により、2024年「佐渡島の金山」として世界遺産に登録されることになった。現在は新潟県内唯一の世界遺産として「佐渡島の金山」の価値を広く発信すべく、さまざまな施策を繰り出している。なおゴールデン佐渡は秋田県鹿角市の「史跡 尾去沢鉱山」も手がけており、観光振興に取り組んでいる。

佐渡金山の売店2階にある展示場では、「佐渡金山絵巻」に描かれた江戸時代の仕事の様子が再現されており、金を採掘・製錬し、佐渡小判を作るまでの工程を見ることができる。目玉は、本物の金塊に触れる体験ができることだ。12.5kg(時価約2.4億円(取材当時))の純金の延べ棒に触ったが本当に重くて持ち上げることができなかった。ただ、金の肌ざわりは不思議と固くなく、やわらかく感じられた。 日々佐渡金山の誘客に励むゴールデン佐渡の社員達は多士済々だ。三菱マテリアル出身の社長をはじめ、元ホテルの従業員、前職は地元TV局佐渡通信部の報道担当、佐渡市の副市長だった方もいる。みんなが佐渡を愛し、地域貢献を考えながら仕事に取り組んでいる彼らはどんな思いを持って働いているのか。これから紹介していこう。

史跡見学は安全が第一、
お客さまの満足度を上げられるようにがんばりたい

ゴールデン佐渡で受付係を務める西埜 美希さんは入社11年目。現在は史跡 佐渡金山の受付で来場者への入場券販売と券売機の管理、案内などに従事している。西埜さんは東京で生まれ、4歳から父親の故郷である佐渡で育った。前職は地元TV局佐渡通信部の報道カメラマン。子どもが生まれたことをきっかけに、「家庭と仕事が両立できる」同社に入社した。
「仕事ではお客さまに安心、安全にご見学いただくために、分かりやすい説明を心がけています。最近はインバウンドのお客さまが多く、とくに中国、台湾、韓国の方が増えていますね」
佐渡金山は江戸から平成元年まで約400年の歴史がある。そのため、もともと金山に興味があり、知識が豊富なファンも少なくない。自分も江戸時代の歴史がまだまだ知識が足りないと今も勉強に励んでいる。 そんな西埜さんがやり甲斐を感じるのは、お客さまが帰るときの反応だ。
「丁寧な対応を心がけています。英語も少し話せるためか、国内外のお客さまを問わず、感謝の声をかけていただけたときはうれしいですね。この仕事をやっていてよかったと感じます。世界遺産になったことで知名度も上がり、今後の来訪者数の増加に大きな期待を寄せています」
西埜さんは今後の抱負をこう語る。
「自分も海外を訪問して困ったとき、地元の方に助けてもらった記憶があります。そうした経験を恩返しする気持ちでこれからも働いていきたいと思っています」

戸田 涼太さんは入社6年目だ。おもに施設内のメンテナンスや坑道のガイドをする山師ツアーを担当している。ツアーは70分前後。空いた時間で坑道内に設置された人形などのメンテナンスも行っている。
「1人のガイドであれば、最大9名まで。自分のキャップランプの灯りだけで坑道を歩きますので、お客さまに安全に見学していただくことを心がけています。そのうえで、説明は分かりやすく、楽しんでいただけるよう努めています」
戸田さんは佐渡金山のある地元相川の出身。今、仕事でやり甲斐を感じるのは「やはりお客さまに喜んでいただいたときですね」。将来は「もっと仕事ができるようになって、来てよかったと思われるよう、お客さまの満足度を上げられるようにがんばっていきたい」と語る。

やり甲斐はやはりお客さまに来ていただいて、
「素晴らしい」とおっしゃっていただくこと

売店係を務める山口 絵梨香さん。
「商品の発注からレジ打ち、清掃までを担当しています。仕事は忙しいのがいちばん。売店にお客さまがいらっしゃればいらっしゃるほど、とてもやり甲斐を感じますね」
と笑顔を見せる。
「高校の先生からすすめられ入社しました。入ったときは当然ながら、自分がいちばん若くて周囲は大人ばかり。当初はつらくて辞めようかなと思ったこともありますが、なんだかんだで、皆さんによくしていただいて、ここまで来てしまいました。みんな自分の身内のような感じで仲良くさせていただいています」
辞めなかったのは「仕事が楽しかったから」という山口さん。
「幼い頃、小学校の自由研究で佐渡金山を取り上げており、将来は佐渡金山で働きたいと書いているのです。ある意味、希望の仕事に就くことができ、周囲の先輩達に仕込まれてきました。まさに会社が育ててくれたと思っています」
山口さんはこれからもこの会社で佐渡金山のために働きたいと語る。
「常にお客さま第一で考えており、お客さまから『ありがとう』と言われると、『よし! がんばろう』 と思いますね」

営業、広報から総務、アトラクションガイドまで、さまざまな業務を手掛ける名畑 翔さんは、入社13年目。地元出身で佐渡金山への愛情は強く、その献身ぶりには目を見張る。テレビへの出演歴が多数あり、地元ではある意味、有名人。よく声をかけられるらしい。
「すべてはお客さまのために、地域のためにと思っています。集客に向けて、営業活動や広報、メディア出演や商談、イベント開催、行政とのやりとりと多岐にわたる仕事に従事しています」
努力の甲斐があってか、最近では映画『わたくしどもは。』(2023年10月公開)の全編で佐渡が取り上げられたという。
そんな名畑さんは元ホテルの従業員。そのためか挙措動作がスマート。結婚を機に夜勤のない今の仕事を選んだ。今は観光資源として佐渡金山の売り出しに努める。
「行政だけでなく、テレビや映画など、さまざまなところからリクエストがきます。世界遺産であるため、ひとつひとつの案件が本当に実施可能かどうか。そして、会社の利益になるのかどうか。さまざまな調整を行いながら集客していくことにやり甲斐を感じています」
今後は行政や観光関連企業が一丸となって、地域全体に継続的に興味を持たせていく仕掛けが必要になると考えているという。
「2025年10月からはナイトイベントを開催しています。佐渡は夏だけでなく、冬も興味深い。食事がおいしく、繁忙期よりもホテルがとりやすくなります。これからもたくさんの試みにチャレンジして、街全体の観光コンテンツの充実を図っていきたいと考えています」

同社の鈴木 徹社長は三菱マテリアル執行役員総務部長などを経て2024年4月、社長に就任した。これまでマレーシア、北米、バンコク、上海などの海外勤務経験がある。
「社長就任直後の2024年7月に、おかげさまで世界遺産に登録されました。長い時間をかけての悲願の登録実現でした。登録後も社長として果たすべき役割が多く、ドタバタしていたら、瞬く間に1周年。今もお客さまは増え続けています。夏と冬の観光客数には差がありますが、冬期でも多くのお客さまに来ていただきたいと思っております」
金山や街の歴史を学ぶだけでなく、坑道を使ったさまざまなコラボイベントの開催や史跡周囲のライトアップなど、コンテンツを充実させることで、今後も四季を通じてリピーターを増やしていきたいという。 「佐渡全体の文化は金山から波及しており、今もさまざまな場所に歴史の息吹を感じることができます。金山の歴史、佐渡の文化、自然の豊かさに触れていただいて、一年を通して楽しんでいただければと考えております」
三菱マテリアル出身者として、今は佐渡金山が地域発展にいかに貢献できるのか。そうした思いを持って、日々の業務に当たっているという。
「やり甲斐はやはりお客さまに来ていただいて、素晴しいとおっしゃっていただくことです。この思いは従業員達も共有していると思います」。

インタビュアー写真

西埜 美希
MIKI NISHINO
受付係

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戸田 涼太
RYOTA TODA
鉱山係

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山口 絵梨香
ERIKA YAMAGUCHI
売店係

インタビュアー写真

名畑 翔
SHO NABATA
主任

インタビュアー写真

鈴木 徹
TORU SUZUKI
取締役社長

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