三菱総合研究所は、日本を代表するシンクタンクである。それも企業だけでなく、官庁や自治体にも幅広い影響力を持っている。事実、大阪・関西万博のマスタープランづくりにも関わったように、さまざまな分野で彼らの知見が活用されている。
新聞、雑誌、WEBメディアの記事でも常連の存在だ。気になる話題や新しい技術について解説が必要になると、三菱総合研究所の研究員に取材することが多い。書籍や記事、コラム、レポートの著者になることも多く、経済誌の年末年始号でも未来予測特集に毎年、登場している。しかも三菱総合研究所出身の大学教授や評論家、コンサルタントなども豊富。著名人も多く、人材輩出企業の面もある。いわば、日本の知恵袋のような存在なのだ。
そんな三菱総合研究所の本社は、永田町の東急キャピトルタワーにある。ザ・キャピトルホテル東急と併設されたタワー型複合ビルであり、溜池山王駅や国会議事堂前駅と地下で直結している。丘陵地に位置し、日枝神社とも近く、都心にありながら緑に恵まれた環境でもある。オフィスからは首相官邸を望むことができ、まさに一等地にあるといっていいだろう。
とくに併設されたザ・キャピトルホテル東急は場所柄、政財界御用達の高級ホテルであり、ここで会食や会合が持たれることも多い。ホテル内のダイニングであるORIGAMIの排骨拉麺(パーコーメン)は旧キャピトル東急ホテル時代から愛されており、歴代首相や大臣、多くの政治家や経営者が好んで利用してきた。
こうした政財界の交流場所であるところに本社があれば、アクセス面も含め、シンクタンクだからこそのメリットは大きいのだろう。では、三菱総合研究所では、どんな人々が働いているのか。これから見ていこう。
障壁を乗り越え、社会価値と経済価値を両立させる。
私達だからこそできる役割がある
三菱総合研究所経営・DX事業部門ビジネスコンサルティング本部イノベーション戦略コンサルティンググループリーダーの松浦 泰宏さんは入社11年目。建設コンサルや知財ビジネスベンチャーを経て中途入社した。現在はグループリーダーとして、マネジメント業務のほか、新事業戦略策定・実行支援や技術開発戦略策定支援などを担っている。
ビジネスコンサルティング本部は、民間企業をメインにコンサルティングを行っている。官公庁相手の部署が多いなかで、民間企業に絞り、新事業・技術開発戦略だけでなく、情報収集・分析などインテリジェンス機能の構築支援にも携わる。ちなみに肩書きをコンサルタントと選ぶか、主任研究員と選ぶかは等級にもよるが、基本は個人の判断となっている。社内の雰囲気について、松浦さんはこう語る。
「入社当初はシンクタンクだから鼻持ちならない人が多いかと思ったのですが、実際にはそんな人は全然いなくて、やる気があって、人あたりもいい人ばかり。ここで人間関係に悩むようだったら、他の会社では働けないと思うほど。専門家が多く、分からないことはやさしく教えてくれるし、風通しもよく、一人一人を尊重してくれます」
仕事の試練は楽しむものと言う松浦さんが仕事でやりがいを感じるのはどんなときか。
「私たちが携わる新規事業は社会課題の解決のためのものが多く、時間もかかります。一歩ずつお客さまと進みながら、世の中のために課題をクリアし、認められたときはやり甲斐を感じますね」
松浦さんは社会課題の解決は三菱総合研究所だからこそできるところがあるという。
「国やステークホルダーを味方につけて、さまざまな障壁を乗り越え、社会価値と経済価値を両立させていく。それは私たちだからこそできる役割だと思っています」
同グループのマネージャーである片谷 鉄平さんは、入社11年目。現在は経営インテリジェンス機能の構築、東南アジアを含むグローバル進出支援などを手掛けている。 「新卒で入社した当初は理系の大学院卒がかなり多く、社内は大学院の研究室の延長線上のような雰囲気がありました。ただ、今の部署ではそうした雰囲気はなく、まさにビジネスに注力している感じがあります」
片谷さんは小さい積み重ねによってこそ成果は生まれると語る。自分の意見がお客さまに刺さったときや、アウトプットによって深い付き合いができてくると達成感を感じる。
「もちろん会社の看板はありつつも、コンサルは自分のやったことで如実に差が出る属人性の高い仕事です。アウトプットが認められたということは、自分の努力が認められたこととイコールになるので、分かりやすいのかもしれません」
その一方で、日々アウトプットを出さないといけないので、常に試されている感覚もある。
「仕事で期待されている分、結果を出すまでは緊張感もあります。おいしく見えるケーキを食べたら、確かにおいしかったと思わせなければならないのです」
片谷さんは同社のよさを「風通しがよくフラットな組織。みんな好きな専門がきちんとあって、それに対しては時間を惜しまず、上の人も下の人もよく働くこと」だと言う。
社内はフリーアドレスで、リモートワークも多い。お客さまのところへ直行直帰することもある。それでも同社は皆が能動的に働く。性善説に基づいて社内は動いていると感じる。
「それは自分がやりたいことが明確だからでしょう。とにかく時間をかけるのを惜しまない。私も会社に不満はなく、自分の好きなことを仕事にできる。そうしたことをよしとする文化があることも働くモチベーションにつながっているのかもしれません」
コンサルタントの仕事は主体性を持って
自分の責任で仕事を完結できるようにすることが大事
同グループの特命リーダーでシニアマネージャーでもある原田晃次さんは入社17年目。おもに新事業創出支援などに携わっている。原田さんも皆と同じく「やはり人がいい会社で、その人達と働いていたいという気持ちが強いですね。もともと理系の大学院出身ですが、リサーチャーから始めて、外資系コンサルに負けない会社にしたいという思いもありました。今では立派にコンサルと名乗れる会社になっていると思っています」
大学院修了以来、興味・関心も変わらず、仕事とともに成長している感じがある。日々責任というプレッシャーを感じながらも、それを乗り越えていくと成長を実感できる。責任の重い特命リーダーに就いているが、さまざまな部署とコラボしたり、案件をつくっていろんな人と組んだりすることにもやり甲斐を感じる。
「現場経験、実務経験を積み重ねていくことこそ、成長につながると考えています。上司と部下の関係もないに等しく、方向性、目的と期間を示したあとは、部下にどんどん任せます。新人から学ぶことも多いですね」
原田さんが仕事で大事だと思うのは、主体性だ。自分で責任を持って仕事を完結できるようにすること。考えたことを社内で発言し、つくったものを見てもらう。自立的な人がいれば、頼りになるし、成長も早い。
「これからもコンサルとして価値を発揮していきたいと思っています。今後もマネジメント業務のほか、自分の立場だからこそできる大きな仕事をつくっていきたいですね」
同グループ研究員で新卒入社2年目となる菅原 春奈さんは、マクロ市場動向や技術トレンド、政策・制度、顧客ニーズなど多角的な分析から事業戦略や技術戦略の策定支援を行う。
「世に潜在的な技術がたくさんある中で、いい技術なのに社会での評価が低く埋もれている技術をどうにかしたいと思い、入社しました。人間関係はフラットです。そして、先輩方はとにかく部下の見極めがうまい。基本的に部下に任せてくれることが多く、上に対しても意見を言いやすい。とても包容力のあるよい会社だと思っています」
大学院では半導体の研究をしていた。「今はロボット系の仕事が多くなっていますが、まだ自分の専門分野が決まっていないため、とにかく自分が何に興味を持つのか。いろんな案件に関わるようにしています」
仕事がきついのは当然。それくらいやらなければ価値ある結果をお客さまに提供できないと菅原さんは意気込む。
「最近は、お客さまの目線に立って仕事ができるようになったと感じています。将来はお客さまの事業に深く係りながら、信頼を得られるような人材になりたいと思っています」。
同グループのマネージャーである舟橋 龍之介さんは入社10年目。GX・CE(サーキュラーエコノミー)領域における戦略策定・実行のほか、社外活動としてNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委員も務めている。
「大学教授や企業、コンサルの方々とともにNEDO外部委員として評価に携わっています。委員会では最年少ですが、技術開発プロジェクトの採択や中間・終了時評価、さらにはプロジェクト推進に向けた助言などを行っています」
三菱総合研究所に入社したきっかけは、大学院博士課程への進学か家業の建設業を継ぐか悩んでいた時期、製造業を始め、多様な企業を見ることができる点に魅力を感じたからだ。
「コンサルの面白さは、さまざまなお客さまの課題解決に携われることにあります。興味の幅が広くて、異なる分野の知見が交差する場面も多いので、この仕事は自分の性格に合っていると感じています」
GX・CEを中心に社会課題の解決に取り組んでいるが、そこには共通する難しさがある。それは、短期的にはお金になりにくいテーマであること。例えば、環境に配慮した新製品はコスト面から価格が高くなりがちで、ユーザーは価格が下がらないと購入に踏み切らない。一方でメーカー側も、一定の需要を見込めなければコストを下げられない。このようなニワトリとタマゴの関係が社会実装を阻んでいる。このジレンマを克服するハードルは決して低くない。だからこそ、三菱総合研究所の役割がある。
「物事の原理原則を深く理解したうえで、現状の打破に向けて果敢に挑む。高度な専門性と領域を横断して思考・実装できる柔軟性を兼ね備えたT字型人材が、その絶妙なバランスを見極めながらコンサルティングを行うことこそが、私たちの強みです」
不確実性の高い環境下においても、明確な目標を定め、その実現に向けた道筋を具体化していく。それが同社の仕事である。
「GX・CEの取り組みを本格的に拡大していくうえで、これから5年がまさに正念場です。これまでに培ってきた知識と経験を最大限に活かし、社会実装の前進に貢献していきたいと考えています」
松浦泰宏
YASUHIRO MATSUURA
経営・DX事業部門
ビジネスコンサルティング本部
イノベーション戦略コンサルティンググループ
グループリーダー
片谷鉄平
TEPPEI KATATANI
同マネージャー
原田晃次
KOJI HARADA
同特命リーダー
シニアマネージャー
舟橋龍之介
RYUNOSUKE FUNAHASHI
同マネージャー
菅原春奈
HARUNA SUGAHARA
同研究員