アストモスエネルギーは、三菱商事系の三菱液化瓦斯と出光興産系の出光ガスアンドライフ、三菱商事LPガス部門が2006年に合併して誕生。今年で設立20周年を迎える。 同社北海道支店の陣容は7名と少数精鋭だが、担当範囲は北海道全域におよぶ。オフィスは北海道の名所である時計台の近くにビルを構えており、オフィスから時計台を見下ろせる好立地。支店がどこにあるか聞かれても、すぐに分かってアクセスも便利だ。
時計台は観光名所となっているが、もともとは北海道大学の前身である札幌農学校の演武場だった。札幌の中心地付近にあるため、テレビ番組のロケはここから北海道特集がスタートすることが多い。北海道が初めての人にとっても目印となる場所だ。
訪問時は2月だったので天候は雪模様。それでも地元の人は活動的だ。雪が積もっていてもみんな普通に歩いているし、タクシーは通常のスピードで走る。除雪も充実しており、交差点の横断歩道が見えなくなっても、何事もなくスムーズに進んでいく。首都圏なら、雪に慣れておらずすぐに渋滞になるが、札幌では日常だ。
取材時は非常識にもスニーカーで札幌に赴き、雪の多さに驚き、恐る恐る歩いたのだが、コンビニでも靴の滑り止めが売っているので、それほど心配することはない。気温も低いが、雪が多いとあまり寒さを感じない。その原因は雪を降らせる雲が断熱材となって空からの冷気を防ぎ、体感温度が高くなりやすいからだといわれる。札幌の雪はゆっくり降っているように感じられ、何とも幻想的だった。空を見上げると、まるで映画のワンシーンのように見えるから不思議だ。
札幌市は人口約190万人を抱え、ビジネスや観光、飲食店も豊富な街だ。名古屋や福岡と同様に、JR札幌駅からは地下街が充実している。街は碁盤の目のように広がり道が分かりやすく、タクシーに乗るときは目的の建物名を告げるよりも「北1西5」と番地を告げたほうが伝わりやすい。市中心部には大通公園があり、少し歩けば山や自然が広がる。そんな札幌で働くアストモスエネルギー北海道支店の皆さんをこれから紹介しよう。
灯油や重油からLPガスへの転換を図るほか
GXとして牛の糞尿をLPガスのベースにする環境対策にもチャレンジ
吉本 直生さんは、おもにLPガスの卸販売を軸に、札幌・岩見沢圏のガス販売店などの特約店営業や需要開発サポート、支店の損益管理、物流などに従事している。 需要開発とは、灯油や重油と比べてCO²排出量の少ないLPガスに燃料を転換させて、環境に貢献することを目的としている。もともと北海道は灯油の需要が高く、LPガスは灯油と比べてコスト高になりそうだが、今後灯油が補助金の縮小で単価が上昇する方向にあるのに対し、LPガスは災害に強く、企業向けにもBCP(事業継続計画)に適しているため、そうしたメリットをアピールすることで燃料転換を進めている。
「現在、北海道は人口が減少しており、需要も減少していくと見られています。こうしたなか、環境性やBCP対応力を訴求することで、LPガスの強みを示していきたいと考えています」
そう言う吉本さんが仕事でやり甲斐を感じるのはどんなときか。
「昨年、ある物流会社さんとBCP訓練を行ったのですが、当社と物流会社との距離感が縮まったように感じました。こうしたことは多くの特約店でもそうなのですが、自分の努力によって距離感が縮まり、同じ目標に向かって一緒に走っていく。その結果として感謝の言葉をいただいたときは、何よりうれしいですね」
笹谷 房代さんは特約店へのLPガス販売などにかかわる請求業務など、支店経理や一般事務に携わっている。笹谷さんは支店における事務業務のほぼすべてを担当している。
「新しい取引など自分で分からない事務処理については、別の支店のベテランの方に聞くこともあります。また、少人数の支店なので誰の担当か分からないようなときは、ほとんど私が担当することになりますね」
笹谷さんは北海道支店での勤続経験が長いが、どんなときに神経を使うのだろう。
「やはりお客さまに請求をするときですね。お金にかかわる仕事ですから、間違いがないように努めています。また、カレンダーなど販促物の受発注を行うときも、事務職は日頃お客さまとのやりとりがないので、相談を受けたときにできるだけ要望に沿えるよう努めています」
笹谷さんいわく、北海道支店は明るくほがらかな人が多く、働きやすい職場であり、楽しく働けて雰囲気もいいと語る。
佐藤 真悠子さんはLPガス販売に関する事務業務に従事している。事務の笹谷さんや営業さんのサポートがおもな役割だ。佐藤さんも職場はとても働きやすいと言う。
「この周辺は大通駅に近く、通勤に便利でお昼のランチのお店もいっぱいあります。もちろん夜も使いやすいお店がたくさんありますね」
当初は慣れない細かな事務仕事に難儀することもあったが、今はこなせるようになった。そんな佐藤さんがやり甲斐を感じるのは、どんなときだろう。
「毎月、同じ業務をしながらも、ときには営業さんに頼まれるお仕事があります。どんなに小さな仕事であっても皆さんから感謝されるとやり甲斐を感じますね」
岡本 敬義さんは、支店と本社グリーン戦略室を兼務している。同室では牛の糞尿をベースにしたLPガスをつくるプロジェクトを担当しており、既存の取引先のほか、新規事業を支店発信で盛り上げる業務に携わっている。
「北海道ではGXなど環境対策の新たなムーブメントをつくっていこうという機運があり、ここに身を置き、さまざまなことにチャレンジしようと考えています」
新規事業の企画立案や意見の取りまとめを踏まえた社内調整など、日々仕事に奔走する。そんな岡本さんが試練を感じるのはどんなときか。
「生みの苦しみといいますか、誰もやったことのない新しい企画や仕組みをつくるときは、意見がぶつかり合いますし、他社の協力も得なければなりません。そうやって人を動かしていくことは本当に難しいと思うときがありますね」
岡本さんは環境対策を進めるには、もっと世間にアピールすることが必要だと語る。岡本さんは常にハツラツとしていて、傍らから見ていても仕事がとても楽しそうに見えた。
「脱炭素を含め、業界を革新していく役割があると考えています。
今、いろんなことを仕掛けている最中です」
小倉 孝文さんは、LPガス事業者向けのガス卸販売や特約店営業活動の支援ほか、LPガスへの需要開発を手がけている。LPガスは地域の日常生活に欠かせないものであり、重要な社会的インフラを担っている。そのため、災害時に会社として対応することを常に心がけていると語る。
「北海道や周辺で大きな地震があり、津波警報が出ることがあります。そんなとき従業員の安否確認など、年に数回は緊急体制となります。供給基地が海沿いにあるため、警報が解除されなければタンクローリーで出荷できなくなります。被害はなかったものの、緊急のときにどんな対応ができるのか。常に心がけています」
仕事をやっていてよかったと思うのは、取引先と一緒に仕事を成し遂げ、互いに喜びを分かち合うとき。ともに苦しみ、努力したチームのようで、それが何よりもうれしいという。
奥川 大輔さんもLPガスの卸販売や特約店の営業活動の支援などを手がける。
「北海道の商慣習は信頼関係ができれば変化が少ない一方で、一度信頼関係をくずすと修復が難しくなる場合があります」
支店は少数精鋭であるため、いつもチームで仕事をしている感覚になるという。
「新しい企画を立て、進めようとするときは大変ですね。しかし、最近手がけているCO²削減対策であるJ-クレジットの仕事は、将来的に有望な仕事になると考えています」
奥川さんがやり甲斐を感じるのは、仕事でお客さまに喜んでもらえたとき。「提案して、受け入れてくれて、認められたときは何よりうれしいですね」と語る。
支店長の野村 泰弘さんは、LPガスの販売にかかわる全体統括管理と個別案件のサポートに従事している。北海道勤務は4年前から。旧三菱系の出身で、統合時には当事者として関わってきた。支店長になるまでは本社勤務ほか、M&Aも手掛けた。
北海道における同社の供給シェアは約40%、厨房用や給湯、暖房用のエネルギーの提供を通じて、北海道民のライフラインを支えている。苫小牧の北海道製油所から道内の6割を供給しており、シェアは道内2位。安定したビジネスが継続されている。ただ、近年は守りから攻めの姿勢に転じている。
「脱炭素を含め、当社は業界を革新していく役割があると考えています。今、いろいろなことを仕掛けている最中です。とくに私達は省エネを活用した高効率の商品を売り、LPガスのよさを生かしていこうと考えています。そこでJ-クレジットのプログラム申請を北海道支店自ら行っています。また、灯油や重油からLPガスへの燃料転換の拡大を図っており、こちらも今、注力しているところです」
昨今の降雪や運送問題、BCP対応、人口減少、高齢化などさまざまな問題があるなかで、LPガスの安定供給は大変なことだ。北海道民のライフラインを担っているという責任を忘れずに仕事に取り組んでいきたいと語る。
「現場目線を大事にしています。北海道支店にはガッツのある優秀なスタッフが集まっており、支店長としてはとてもやりやすい。現場から業界を変えていくような取り組みを行っていきたいと考えています。LPガスは災害時でもレジリエンスに強い。現場にいる限りそのメリットをアピールし、ビジネスを盛り上げていきたいと思っています」
吉本 直生
NAOKI YOSHIMOTO
北海道支店
笹谷 房代
FUSAYO SASAYA
北海道支店
佐藤 真悠子
MAYUKO SATO
北海道支店
岡本 敬義
TAKAYOSHI OKAMOTO
北海道支店 マネジャー
小倉 孝文
TAKAFUMI OGURA
北海道支店 マネジャー
奥川 大輔
DAISUKE OKUKAWA
北海道支店 支店長補佐
野村 泰弘
YASUHIRO NOMURA
北海道支店 支店長